岡田晴恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ感想を一文で申し上げるならば、非常によくまとまっており、面白くためになる作品だったと思います!!
タイトルにもある通り、本作は人類と感染症との絶えざる闘いを歴史的事柄を交えて説明しています。病原菌が種としての生き残りをかけて宿主に感染し子孫を増やすという構図に、私はR.ドーキンスの『利己的な遺伝子』をふと思い出しました。
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例えば天然痘。死亡率は20%程度でクスリもなかった当時、人々にできるのはただ祈ることだけ。その威力はスペイン人ピサロが南米インカ帝国を滅ぼす際に、人口1000万人から130万人までへと激減させたほど。
そんな天然痘を予防することに成功したのは英国の医師ジェンナー。 -
Posted by ブクログ
2020年春から生活に大きな影響を受けているコロナウイルスのこと。
ご多分にもれず私もまた、テレビやSNSを通じて発信される情報の数々に、強く左右されたり憤りを感じる日々を送っています。
そうした状況の中でも、少しでも能動的でありたい、自分なりに基礎知識を身につけて日々を過ごしたい、という気持ちから手にとった本書。
おおお、自分から自然科学分野の本を読みたいと思って購入するのは、人生で初めてかもしれない!
典型的な文系人間なのです。
本書は、感染症学、公衆衛生学、児童文学を専門とする研究者である岡田晴恵先生による、感染症史の入門的解説書。
天然痘、ペスト、新型インフルエンザといった代表的な病 -
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人類が出会ってきた様々な感染症について,概略が書かれています。細菌,ウイルスなどについてです。
欧州の強国が植民地を広げ,アフリカなどから本国に奴隷を連れてくることで,それまでヨーロッパになかった感染症を運んでくることになったという話は,皮肉でしかありませんね。一方で,感染症のパンデミックが,戦争をやめる原因になったり,政治が変化する原因になったりしたというのも,分かる気がします。
この本のことは,YouTubeの「中田敦彦のYouTube大学」で紹介されていたので知ったのですが,読みやすい本でした。
特に破傷風や狂犬病のことはよく知らなかったので,なるほど,そういう病気があったの -
購入済み
この本は、ウイルスや細菌の話だけでなく、それが原因で起きた、
歴史の変革なども書かれていたので勉強になりました。
正直読んで怖くなった&少し気分が悪くなることが書かれていので読むときに注意が必要かも。 -
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中国での新型コロナウイルスの感染が拡大している中で、ふと目に就いたので手に取りました。
今回の件が大きくなる前に出版された本ですから、コロナウイルスによる肺炎についての情報はありませんが、過去に日本国内でも大きな話題となった「MERS」「デング熱」「ジカ熱」「マダニ」「エボラ出血熱」などについて、その症状と治療法、とるべき対策が分かりやすく説明されています。
もちろん、必要以上に怖がるべきではないのかもしれませんが、これまでの人類の歴史の中で、あまりにも多くの人々の命を奪ってきた「疫病」の恐ろしさを目の当たりにし、本当に怖くて眠れなくなりそうになりました。
個人としてとれる対策としては、「感 -
Posted by ブクログ
ハンセン病、天然痘、ペスト、風疹と麻疹、エイズ、鳥インフルエンザ、の順に人類を危機を陥れた病原菌やウイルスについて、非常にわかりやすく解説してある本。
大まかなことは知っているけれど、ときどき驚くようなことが書かれている。
例えば、スペイン人が持ち込んだ天然痘によって、新大陸のインディオたちが数百万から数千万亡くなったとの統計はなんとなく知っていても、半世紀前の天然痘の根絶のために、医師団が紛争地帯や未開の地域に乗り込み、命がけでワクチン接種を続け、ついに根絶した経緯などは知らなかった。
または、第一次大戦時にパリを射程圏内に捉え、敵の4倍の兵力で包囲していたドイツ軍が新型イ -
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H5N1型ウイルスの危機は去っていない。2009年に弱毒型の新型インフルエンザが流行して,日本人の間では危機感が薄れているが,強毒型は全く別物。十分な対策が望まれる,と警鐘を鳴らす。
当時は報道が過熱気味で,いろいろ情報収集をしたものだがもう一度確認の意味で読んだ。鳥インフルエンザをめぐる現状・歴史,発症の機序,強毒型と弱毒型との違い,対処法までまとまっていて有意義と思う。
インフルエンザウイルスが複製して感染性をもつためには,HAタンパク質の特定部分が切れる(開裂)ことが必要だが,弱毒型はその開裂に関与する酵素(プロテアーゼ)が呼吸器と消化管にしか存在しないので,そこでしか感染拡大が起