野中柊のレビュー一覧
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子供の頃に母親が弟と心中し、父親は浮気(本気?)相手の方に行った過去を持つ女性の物語
主人公のなつき
教師をしている夫の優
優の教え子の佐野佳奈子
冒頭のなつきの描写からは、日常の中にささやかな喜びを感じながら慎ましく生きているように感じる
しかし、彼女の生い立ちには壮絶な経験が含まれる
弟だけを連れて逝った母親
そんななつきを顧みることなく不倫相手の方にいった父親
彼女はそんな経験に真正面から向き合うことを避けてきた
学校が夏休みに入ってから、夫の教え子の佐野佳奈子が自宅を訪れる
佳奈子は12歳の少女で、美しく大人びていて それでいて傷を抱えていそうなアンバランスな存在
実際、授業中に -
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港町横浜を舞台に、戦前戦後を逞しく生きた異母姉妹の話。
お嬢様育ちの慧子と妾の子蒼はまるで違うタイプですが、2人の持つ芯の強さは、やはり姉妹だからなのか、その時代の女性だからなのか、感じ入るものがありました。
蒼の母鞠、慧子の家の家政婦タツと、魅力的な女性がたくさん出てくる話。
戦時下の状況も、悲惨な様子は描かれてはいるものの、どこか夢のような異世界の様子が感じられるのは、作者の筆力のせいでしょうか。
晩年の慧子の章から、2人がその後も逞しく輝いて生きたということ、そして、曽孫の美帆へとその生き様が受け継がれていくような気配に、嬉しい気持ちになりました。
良い本に出会えました。 -
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大正〜現代を強く、しなやかに生きた女性・慧子の一代記。若くして亡くなった母、おおらかな父、父の妾・鞠、鞠の娘で同い年の妹・葵、父の後妻・多恵、その子どもたち。愛した男たち。結局、結婚もせず、子どももいなかった慧子だけど、人に恵まれ、愛され、波乱万丈ながら幸せな人生、老後を送る・・・。序章が現在から始まり、人生を振り返るかたちで物語が進み、最終章でまた現在に戻る、というのはあまりにも典型的なパターンではあるが、大好き・・!こういうおんな一代記がとにかく好きなのです。時代が昭和をまたいでいるとなおさら。戦前、戦中、戦後を力強くしなやかに生きる物語は、とにかく元気が出る。そして、「二度と戦争をしては
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デビュー作でファンになり、以来小説とエッセイはすべて読んできたけれど常に期待を裏切られてきた感があり、ついに前々作をもって今後は読まないと決意するに至った。
が、そこはやはり過去に好きだった人(笑)
未練がましく今回も読んでしまった...(前作も...)
結果、ついに報われたと感じる作品に出会った。
20余年、長かった!
著者が好んで用いて来たスウィートな言い回し---例えば「心臓、パタパタ」---を読むのがいつからか非常に辛くなっていたし、それらを抑えた少し"大人っぽい"小説は残念ながら単純におもしろくなかったし印象にも残らなかった。
しかし今回は、こちらもきちん -
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久しぶりに野中さんの恋愛小説が読みたくなり、一気に読みました。
6つの恋愛小説はどれも素敵なものばかり。
あたたかくてやわらかなものもあれば、生々しくて官能的なものまで、幅が広い作家さんだなと思います。
その中でも気に入ったのは一作目の「しゃぼん」
物語の冒頭部は、主人公の麻里子の遠い日の記憶。
十三歳年上の貴義さんとの別れ。
彼が別れの際に麻里子に残した予言
「僕たちはまた出会うよ、きっと。」
その後麻里子は年を重ね、結婚、出産、離婚と様々な経験をし、物語の最終部で娘と出かけた先で偶然貴義さんと再会する。
麻里子の恋愛に対するスタンスが自分と似ているところがあり、最初