野中柊のレビュー一覧

  • 草原の輝き

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    子供の頃に母親が弟と心中し、父親は浮気(本気?)相手の方に行った過去を持つ女性の物語

    主人公のなつき
    教師をしている夫の優
    優の教え子の佐野佳奈子

    冒頭のなつきの描写からは、日常の中にささやかな喜びを感じながら慎ましく生きているように感じる
    しかし、彼女の生い立ちには壮絶な経験が含まれる
    弟だけを連れて逝った母親
    そんななつきを顧みることなく不倫相手の方にいった父親
    彼女はそんな経験に真正面から向き合うことを避けてきた

    学校が夏休みに入ってから、夫の教え子の佐野佳奈子が自宅を訪れる
    佳奈子は12歳の少女で、美しく大人びていて それでいて傷を抱えていそうなアンバランスな存在
    実際、授業中に

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    2023年09月23日
  • 猫をおくる

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    猫は身体のある部分にに星を持っている
    (初めて知りました)

    猫専門の霊園の住職とセレモニースタッフが紡ぐ、心穏やかな連作短編集

    猫のしなやかな肢体と透明な目、神秘と不思議がつまっているみたい
    生活の中にとけ込んで癒されていく、読んでよかったなぁと思える作品です

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    2021年07月23日
  • 波止場にて

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    ネタバレ

    p.366
    人間、どこでどんなご縁があって、周りのひとたちの思惑や心配なんて知らない顔で、勝手に幸せになってるかもしれないわけでしょう?

    波止場にてというタイトルとジャケットに惹かれて手に取った本です。
    優しくて温かい気持ちにさせてもらえました。
    なんかよく分からないけど、すごくよかったです。

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    2021年01月14日
  • 波止場にて

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    腹違いの姉妹、慧子、蒼の昭和。
    震災、戦争、復興。
    勉強して、恋もして、働いて、出会いあり、別れありの二人のドラマチックな人生。
    そしてその生は現在へとつながっていく…。
    昔の豊かさは物や情報ではなく、なんかもっと根っこが豊かだなーと思った。よい話だった。

    谷村志穂さんの本だっけ?と途中思った。

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    2020年06月26日
  • 猫をおくる

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    久しぶりに野中さんの作品を読んだ。野中さんの作品は、やっぱりいいです。心に染み込んでくるような文章。こんな猫寺が近くにあったら毎日でも行きたいです。

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    2019年10月17日
  • 波止場にて

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    港町横浜を舞台に、戦前戦後を逞しく生きた異母姉妹の話。

    お嬢様育ちの慧子と妾の子蒼はまるで違うタイプですが、2人の持つ芯の強さは、やはり姉妹だからなのか、その時代の女性だからなのか、感じ入るものがありました。
    蒼の母鞠、慧子の家の家政婦タツと、魅力的な女性がたくさん出てくる話。

    戦時下の状況も、悲惨な様子は描かれてはいるものの、どこか夢のような異世界の様子が感じられるのは、作者の筆力のせいでしょうか。

    晩年の慧子の章から、2人がその後も逞しく輝いて生きたということ、そして、曽孫の美帆へとその生き様が受け継がれていくような気配に、嬉しい気持ちになりました。

    良い本に出会えました。

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    2017年10月06日
  • 波止場にて

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    大正〜現代を強く、しなやかに生きた女性・慧子の一代記。若くして亡くなった母、おおらかな父、父の妾・鞠、鞠の娘で同い年の妹・葵、父の後妻・多恵、その子どもたち。愛した男たち。結局、結婚もせず、子どももいなかった慧子だけど、人に恵まれ、愛され、波乱万丈ながら幸せな人生、老後を送る・・・。序章が現在から始まり、人生を振り返るかたちで物語が進み、最終章でまた現在に戻る、というのはあまりにも典型的なパターンではあるが、大好き・・!こういうおんな一代記がとにかく好きなのです。時代が昭和をまたいでいるとなおさら。戦前、戦中、戦後を力強くしなやかに生きる物語は、とにかく元気が出る。そして、「二度と戦争をしては

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    2016年03月29日
  • 波止場にて

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    昭和初期から朝鮮戦争までの横浜を主な舞台に、同い年の異母姉妹の心の交流を描いた作品。

    人物配置がすばらしく、刻々と移り変わる時代背景の中で自らの人生を切り開いていく主人公たちが生き生きと描写される。

    序章と最終章の舞台となる現代に妹は既にいないが、独身を貫いた姉と子孫を残した妹という設定が秀逸。その姉と妹の子孫が親しく交わる場面がいい。

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    2015年09月30日
  • 波止場にて

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    デビュー作でファンになり、以来小説とエッセイはすべて読んできたけれど常に期待を裏切られてきた感があり、ついに前々作をもって今後は読まないと決意するに至った。

    が、そこはやはり過去に好きだった人(笑)
    未練がましく今回も読んでしまった...(前作も...)

    結果、ついに報われたと感じる作品に出会った。
    20余年、長かった!

    著者が好んで用いて来たスウィートな言い回し---例えば「心臓、パタパタ」---を読むのがいつからか非常に辛くなっていたし、それらを抑えた少し"大人っぽい"小説は残念ながら単純におもしろくなかったし印象にも残らなかった。

    しかし今回は、こちらもきちん

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    2015年08月29日
  • 波止場にて

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    野中さんいまいみ読みにくいイメージ。ダリアとか

    今回のはすっごくおもしろい。
    映画見たみたい。

    戦争前って豊かだったんだなーっておもた。

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    2015年07月22日
  • 草原の輝き

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    読んだタイミングがよかったのか、野中柊さんの言葉が柔らかいからなのか・・・久しぶりに心の深いところまで届いた一冊。

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    2017年01月08日
  • 祝福

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    久しぶりに野中さんの恋愛小説が読みたくなり、一気に読みました。


    6つの恋愛小説はどれも素敵なものばかり。


    あたたかくてやわらかなものもあれば、生々しくて官能的なものまで、幅が広い作家さんだなと思います。

    その中でも気に入ったのは一作目の「しゃぼん」


    物語の冒頭部は、主人公の麻里子の遠い日の記憶。


    十三歳年上の貴義さんとの別れ。
    彼が別れの際に麻里子に残した予言
    「僕たちはまた出会うよ、きっと。」

    その後麻里子は年を重ね、結婚、出産、離婚と様々な経験をし、物語の最終部で娘と出かけた先で偶然貴義さんと再会する。


    麻里子の恋愛に対するスタンスが自分と似ているところがあり、最初

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    2013年06月16日
  • あなたのそばで

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    登場人物がさりげなくリレー式になっていて面白かった。
    短編集であるけれど、ひとつの本としてのまとまりがあり、なおかつ詰め込まれたストーリーはバラエティーに富んだ恋物語で申し分のない作品だった。
    どのストーリーも短篇だからさらりと読めるのに、心に響く『何か』があった。お気に入りの一冊がまた増えて嬉しい!
    しばらく野中柊さんにハマる予感♪

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    2011年10月10日
  • あなたのそばで

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    短編集です。
    全部読み終わると、いろいろな人の恋愛模様がリンクされ、思わずもう一度読み返したくなります。
    「オニオングラタンスープ」「光」「さくら咲く」が特に好き。
    オニオングラタンスープの「少女」の心境や、
    「光」の「少年」の心境、読んでいてかわいいなあと思ってしまう。
    「さくら咲く」は読んでいてホッとする。
    性的なニュアンスがほとんどない小説で、読み終わったときに心が温かくなる一冊。
    文章は女性的で、やさしい印象です。

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    2011年08月22日
  • 祝福

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    バリバリ恋愛体質の人の書いた小説は苦手なのに、柊さんのは大丈夫・・・というか、とても心地よく、自分まで少し恋愛モードに流されてしまう。

    この世にあるのは、運命の『赤い糸』じゃなくて、意志によってつなぐ『銀の糸』。・・・そうだなぁ、と納得した。私も柊さんのように、しっかり浮かされるんだけど意志的な恋愛のできる女性になりたい。

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    2011年02月05日
  • きみの歌が聞きたい

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    愛って色々なものから出来ているから、お互いが同じ愛を分け合うのは難しいのだろう。
    一緒にいられないとわかっていても慈しみあう心は痛いほど感じている。
    慰めあうことでしかお互いを求められなくても、
    慰めしか求めていないとしても、
    一緒にいることが出来る時間はとても大事なんだろうな。

    一緒にいられなくなることがわかってても。

    それも愛って呼べるんだろうな。

    きみの歌が聞きたい、なんとなくそう思うのは
    美しいことだと思う。

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    2010年06月08日
  • あなたのそばで

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    すてきなすてきな恋愛短編小説集。それぞれ、前の短編で脇役として出てきた人が次の短編の主人公で、最後に一周、という趣向。こういうの好き。それを抜かしても、なんか素敵な恋愛小説でした。

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    2009年10月07日
  • 草原の輝き

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    私の人生を変えた一冊。

    きっとこの世で生きる大部分の人たちが、目を背けたり切り取ったりする事でしか消化出来なかった過去を抱えている。

    その切り取ってしまった場所に茂った草原が、こんなにも傷を癒してくれるのです。なんて慈悲深い。

    哀しい部分が、広く青々と輝く草原。この小説は、人の心への希望に満ちている。甘チャンなあたしにとっては本当に素晴らしい小説でした。

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    2009年10月04日
  • 猫をおくる

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    地域の猫が集まるお寺の住職と、そこで運営する猫のセレモニーホールに集う猫と人のストーリー。
    どんな時も近くに猫がいた人達。
    ゆっくりとあたたかくて…ちょっと淋しくなる話でした。
    人も猫も出会っては別れがあって、そしていくたびも、いくたびも帰ってくる。そう思わずにはいられない。

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    2025年11月20日
  • 祝福

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    とても美しい恋愛小説に出会ってしまいました。

    ハッと目が覚めるような言葉。
    静かに染み渡る言葉。
    トゲのように刺さる言葉。
    様々な言葉が溢れていて、胸の中が美しさで一杯になった気分でした。

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    2023年12月09日