野中柊のレビュー一覧
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新しい住まいに引っ越しをする、勘吉と沙可奈と、彼らが飼っている9歳のネコのチビコの物語です。
勘吉と沙可奈の、かわいらしい会話を中心にストーリーは進んでいきます。そんな二人と生活を共にするチビコは、「沙可奈がベッドに横になれば隣で眠り、カウチに腰かけてTVを観ていれば、その傍らにうずくまって画面を見つめ、食事を始めれば食卓の上にちょこんと坐り」という、かなり積極的な「参加型猫」です。けれども、チビコがほんとうのところいったいなにを考えているのか、二人にもわかりません。そんなチビコを見ながら沙可奈は、「猫のちっぽけな脳味噌は宇宙に通じているからね」と語ります。
勘吉と沙可奈の二人の関係も、捨 -
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猫専門の葬儀社と霊園を営む通称〈猫寺〉の木蓮寺。
猫の骨を丁寧に火葬する藤井、住職の真道、客だった縁で事務スタッフになった瑞季。
猫寺には今日もたくさんの名前のない猫たちと、少しの人々がやってくる。
てっきり、亡くなった猫にまつわるエピソードが描かれるのかと思っていたら、全然違う話だった。
三人とも身内を亡くしているという共通点と共に、不思議ちゃん? 夢? 妄想? という話が綴られる。
そんな中で、瑞季の彼氏の瀬戸は妙に人間くさい。そして両親の離婚により妹と離れることになった少年も。
『猫は誰の世話になろうが、誰のものにもなりません』
これが猫を表現する全てだろう。
猫のしっぽの骨にこ -
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少しせつない恋物語6編。連作短編集と書いてあったけれどつながりがあるのは最初の2編だけか。
久しぶりにドストレートな恋愛小説を読んだ感。
どれも今は亡きティーンズハートにありそうな話だった。
「だから何」って思ってしまうのは恋心だけを描いた話では物足りなくなってしまったからかもしれない。
『オニオングラタンスープ』
16歳で自分の父親よりひとつ年上の三十男と結婚した主人公。
周囲の陰口も気にせず幸せな新婚生活を送っていた。
初めての結婚記念日に、両親と夫と食卓を囲んだとき、自分だけが子供で仲間はずれにされた感に襲われる。
『光』
オニオングラタンスープの主人公の担任である女教師と、生徒会 -
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【経緯】
二年前くらいに積本にしてて満を持して!
【書き出し】
開け放した窓から、微かな風が吹いてくる。朝の十時。この部屋には初夏の光が溢れている。
【感想】
野中柊と江國香織は同じ匂いがするように感じている。
殊に三角関係を描いているときに強くそう思うのだけど、何故なんだろう。
それは、三つの辺でうまく支え合っているバランスのいい形に見えるのだけど、いつかその辺のひとつひとつが変化して、崩壊してしまうことを予感させる危うさにあるのかもしれない。
【共感】
・安定の世界に住む美和に地震をおこさせようとする絵梨とミチルの稚拙さ。そして美和に見放されることを恐れていること。
・男が女を抱く -
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ネタバレ野中柊さんは恋人との食べ物の描写がピカイチな作家さん。
悲恋よりもいちゃらぶの話が好みです。
今回は登場人物が次回予告みたいなかんじでちらっと出てきて次の話へつながる構成で、少女マンガを読んでるみたいでした。
●オニオングラタンスープ
菜名(高校生)と春生さん(菜名の父より2個上)の結婚記念日1年目。
じぶんよりも、料理上手でチャーミングな母と春生さんのほうがお似合いに見えてしょんぼり。
【共感】
・バージンロードで父とどこまでも歩いていきたい気持ち
・焼きたてのパンの香りを日当たりのいいベランダで吸い込む幸福感
●光
生徒会長の松本一樹くんと恋に素直な美人教師の雪絵先生の、今。
未来も共 -
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主人公は、小学校の教師をしている夫と、平穏で幸せな暮らしを営んでいます。けれど主人公には、忘れられない辛い過去がありました。その記憶は重荷となり、常に主人公を苦しめ続けているのですが、正面から向き合うことを彼女はずっと避けてきたのです。ある日、夫の教え子である12歳の少女が彼女のもとを訪ねてきます。少女はとても美しく、妙に大人びた雰囲気を持っていました。年齢の差を越え、少女と対等に心を通わせるうち、やがて主人公は、胸に秘めたわだかまりと、知らず知らず向き合うようになっていきます。
死は悲しい。けれど生きることは、尚更に辛くて悲しいものです。人生は自ら選び取れるものではありません。それぞれが置か -
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可愛い猫のチビコは、家族と何でも一緒にしようとする参加型の猫。
チビコと暮らす勘吉と沙可奈の若夫婦の一時期を描きます。
沙可奈がひき逃げに遭い、半年のリハビリの後、仕事を辞めることに。
しゃれた現代的なマンションから、エレベーターのない6階に引っ越す。
引っ越し屋さんはヤンキー風で余り体格も良くなく、内心不安になる二人。
片づけが終わらないうちに散歩に行きたがり、焼き肉を食べる前にお菓子を買いに行くと言い張る妻に、内心戸惑いながらも~言うとおりにする夫。
1階が焼き肉屋という環境が、じつは肉好きな勘吉にはお気に入り。
焼き肉屋のオヤジさんや、そこの韓国海苔巻きというメニューなど、ちょっとし