野中柊のレビュー一覧
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戦前から戦後の横浜を舞台に、二人の腹違いの姉妹がお互いどのように接しながら生きていったのか、またそれぞれその時代をどのように過ごし生きたのかが描かれた物語だった。
激動の時代を背景に描かれた、二人の腹違いの姉妹の距離、そして二人の人生が、とても興味深くて面白いストーリーだった!
p389の、
「自分の好きなこと、楽しいと思えることをやっちゃった方が、結局のところ、道は拓けていくものだって気がするわ。-予想もつかないかたちで、ね」
⇒無心にやりたいことをやっているほうが、ものごとはなるようになるのだ
この部分が「きっとそうだ」というような気持ちになり、とても印象に残りました。 -
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新しい住まいに引っ越しをする、勘吉と沙可奈と、彼らが飼っている9歳のネコのチビコの物語です。
勘吉と沙可奈の、かわいらしい会話を中心にストーリーは進んでいきます。そんな二人と生活を共にするチビコは、「沙可奈がベッドに横になれば隣で眠り、カウチに腰かけてTVを観ていれば、その傍らにうずくまって画面を見つめ、食事を始めれば食卓の上にちょこんと坐り」という、かなり積極的な「参加型猫」です。けれども、チビコがほんとうのところいったいなにを考えているのか、二人にもわかりません。そんなチビコを見ながら沙可奈は、「猫のちっぽけな脳味噌は宇宙に通じているからね」と語ります。
勘吉と沙可奈の二人の関係も、捨て猫を拾った沙可奈の「参加型」のかかわりによってはじまりました。そして今も勘吉は、沙可奈に引っ張られるようにして、引っ越し業者の男の子たちや、近所のパスタ店のおしゃべりな店主、引っ越したマンションの1階で焼肉屋を経営しているおじいさんといった、一癖ある周囲の人びとと、相手のことがはっきりとわからないままに、「参加型」の交わりを結んでいきます。
著者の作品を読むのははじめてですが、予想していた通りの可愛らしい物語でした。ただ、説明過多で少々粘着性の高い文体は、ちょっと意外に感じました。 -
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猫専門の葬儀社と霊園を営む通称〈猫寺〉の木蓮寺。
猫の骨を丁寧に火葬する藤井、住職の真道、客だった縁で事務スタッフになった瑞季。
猫寺には今日もたくさんの名前のない猫たちと、少しの人々がやってくる。
てっきり、亡くなった猫にまつわるエピソードが描かれるのかと思っていたら、全然違う話だった。
三人とも身内を亡くしているという共通点と共に、不思議ちゃん? 夢? 妄想? という話が綴られる。
そんな中で、瑞季の彼氏の瀬戸は妙に人間くさい。そして両親の離婚により妹と離れることになった少年も。
『猫は誰の世話になろうが、誰のものにもなりません』
これが猫を表現する全てだろう。
猫のしっぽの骨にこんな秘密があるとは。そこから宇宙にまで話は飛躍し、亡くなった人々へ思いを馳せ、そして今生きている猫たちや通ってくる少年や少女や女性、更に瑞季や藤井や真道の話に戻ってくる。
亡くなった人々と、お寺にやってくる猫たちと人々と、程よい距離感での交流は心地好い。
序盤は取っ付きにくいのかと思っていたが、読み進めるうちにいつの間にか猫寺ワールドに入り込んでいた。 -
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少しせつない恋物語6編。連作短編集と書いてあったけれどつながりがあるのは最初の2編だけか。
久しぶりにドストレートな恋愛小説を読んだ感。
どれも今は亡きティーンズハートにありそうな話だった。
「だから何」って思ってしまうのは恋心だけを描いた話では物足りなくなってしまったからかもしれない。
『オニオングラタンスープ』
16歳で自分の父親よりひとつ年上の三十男と結婚した主人公。
周囲の陰口も気にせず幸せな新婚生活を送っていた。
初めての結婚記念日に、両親と夫と食卓を囲んだとき、自分だけが子供で仲間はずれにされた感に襲われる。
『光』
オニオングラタンスープの主人公の担任である女教師と、生徒会長の恋愛。
『イノセンス』
手軽な恋愛ばかりしているバーテンダーの女の恋愛。
『片恋』
兄の妻に恋する男の話。
煮え切らないのだが、人間相関的に一番おもしろかった。
『運命のひと』
結婚9年目の夫婦と夫の愛人の話。
『さくら咲』
再婚直前に母が死に、血の繋がらない男に育てられている主人公の可愛らしい恋物語。
年齢も性別もバラバラな登場人物なのだが、書き分けができていないな。
どれも似たような話に感じた。
文章と構成も上手じゃない。
こういう60点ぐらいの本を読むと、いかにうまい作家がクオリティ高い作品を書いているかがわかる。 -
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【経緯】
二年前くらいに積本にしてて満を持して!
【書き出し】
開け放した窓から、微かな風が吹いてくる。朝の十時。この部屋には初夏の光が溢れている。
【感想】
野中柊と江國香織は同じ匂いがするように感じている。
殊に三角関係を描いているときに強くそう思うのだけど、何故なんだろう。
それは、三つの辺でうまく支え合っているバランスのいい形に見えるのだけど、いつかその辺のひとつひとつが変化して、崩壊してしまうことを予感させる危うさにあるのかもしれない。
【共感】
・安定の世界に住む美和に地震をおこさせようとする絵梨とミチルの稚拙さ。そして美和に見放されることを恐れていること。
・男が女を抱くときの残忍と好奇の気持ち。そして優しさの波に流されること。 -
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ネタバレ野中柊さんは恋人との食べ物の描写がピカイチな作家さん。
悲恋よりもいちゃらぶの話が好みです。
今回は登場人物が次回予告みたいなかんじでちらっと出てきて次の話へつながる構成で、少女マンガを読んでるみたいでした。
●オニオングラタンスープ
菜名(高校生)と春生さん(菜名の父より2個上)の結婚記念日1年目。
じぶんよりも、料理上手でチャーミングな母と春生さんのほうがお似合いに見えてしょんぼり。
【共感】
・バージンロードで父とどこまでも歩いていきたい気持ち
・焼きたてのパンの香りを日当たりのいいベランダで吸い込む幸福感
●光
生徒会長の松本一樹くんと恋に素直な美人教師の雪絵先生の、今。
未来も共にしたいと相手に夢中の少年と、今このときを大事に考える年上の彼女。
先のことを考えずに、「今正しいと思うことをする」適切さ。
【共感】
もちろん未来を考えて建設的に生きることは大事だけど、恋と趣味は「今」を大事に積み重ねていけばいいだなって思う。
●イノセンス
バーを経営する恋多き瞳子の、少女時代に亡くなった妹で癒しの手を持つ瑛子に馳せる思い。
【共感】
・死んだら、化けて出るのは怖いけど、何かで合図をしてほしい。桜を咲かすとか雪をふらすとか、素敵。
●片恋
緒方勇輔が、兄の嫁である衿子と惹かれあってしまった冬。
【共感】
・クリスマスツリーを囲んでうちで二人で過ごす豊かな夜の素敵さ。
・揺らいでいるときに占いで確定されて何かが壊れることに対する怖さ。
●運命のひと
デザイン事務所を夫婦で営む沢村恭子と俊。大きな犬のような恋人の吉田くんや俊と関係のあるバイトの椿ちゃんがいて、かつての楽園の時期が過ぎたのだとしても運命のひとであるという思いは揺らがない。
【共感】
・椿の恭子に対する憧れと嫉妬。すきだけどそれがじぶんではないという失望感。
・恭子の、夫と関係があると分かっても抱く椿に対する愛情。慕ってくれているかわいい女の子って憎めないものだ。
●さくら咲く
聡の、美也に対する愛が溢れてとまらない話。笑
義父の診療所を経営する明信と、千鳥のマイペースな両思いを歯がゆくてくっつかせようとするのがほほえましい。
【共感】
・やっとキスができるね
・目に映るすべてのものを魂に刻み付けておこう。 -
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主人公は、小学校の教師をしている夫と、平穏で幸せな暮らしを営んでいます。けれど主人公には、忘れられない辛い過去がありました。その記憶は重荷となり、常に主人公を苦しめ続けているのですが、正面から向き合うことを彼女はずっと避けてきたのです。ある日、夫の教え子である12歳の少女が彼女のもとを訪ねてきます。少女はとても美しく、妙に大人びた雰囲気を持っていました。年齢の差を越え、少女と対等に心を通わせるうち、やがて主人公は、胸に秘めたわだかまりと、知らず知らず向き合うようになっていきます。
死は悲しい。けれど生きることは、尚更に辛くて悲しいものです。人生は自ら選び取れるものではありません。それぞれが置かれた環境の中で生きていくしかないのです。主人公の背負ってきた過去も、半端な重さではありません。でも、必要なのは救いを求めることではなく、受け入れることなのかもしれません。悲しいと思えるのは、実は幸福なことなのですね。
少女の台詞があまりにシッカリしすぎていて、少々違和感はありましたが、不思議な魅力のある小説でした。 -
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可愛い猫のチビコは、家族と何でも一緒にしようとする参加型の猫。
チビコと暮らす勘吉と沙可奈の若夫婦の一時期を描きます。
沙可奈がひき逃げに遭い、半年のリハビリの後、仕事を辞めることに。
しゃれた現代的なマンションから、エレベーターのない6階に引っ越す。
引っ越し屋さんはヤンキー風で余り体格も良くなく、内心不安になる二人。
片づけが終わらないうちに散歩に行きたがり、焼き肉を食べる前にお菓子を買いに行くと言い張る妻に、内心戸惑いながらも~言うとおりにする夫。
1階が焼き肉屋という環境が、じつは肉好きな勘吉にはお気に入り。
焼き肉屋のオヤジさんや、そこの韓国海苔巻きというメニューなど、ちょっとした楽しさがいっぱい。
気のいい若い二人は、あまり世間を知らない様子で、後々どうなるかわからない危うさも秘めていそうだが、今のところはかなり幸せ。
猫は大して出てこないんですけどね。
適度に心地良く読み通せます。