あらすじ
餌付けをしているわけでもないのに猫が寄りつき、「猫寺」と呼ばれていた都内の木蓮寺。若き住職の真道は高校教師だった藤井に声をかけ、猫を専門に扱う霊園を開設する。愛猫を看取ったばかりの瑞季、そして真道と藤井もまた誰にも明せない悲しみと孤独を抱えていた。猫と共に生き、猫に生かされてきた男女の祈りと再生の物語。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
猫は身体のある部分にに星を持っている
(初めて知りました)
猫専門の霊園の住職とセレモニースタッフが紡ぐ、心穏やかな連作短編集
猫のしなやかな肢体と透明な目、神秘と不思議がつまっているみたい
生活の中にとけ込んで癒されていく、読んでよかったなぁと思える作品です
Posted by ブクログ
久しぶりに野中さんの作品を読んだ。野中さんの作品は、やっぱりいいです。心に染み込んでくるような文章。こんな猫寺が近くにあったら毎日でも行きたいです。
Posted by ブクログ
地域の猫が集まるお寺の住職と、そこで運営する猫のセレモニーホールに集う猫と人のストーリー。
どんな時も近くに猫がいた人達。
ゆっくりとあたたかくて…ちょっと淋しくなる話でした。
人も猫も出会っては別れがあって、そしていくたびも、いくたびも帰ってくる。そう思わずにはいられない。
Posted by ブクログ
これまで3匹の猫を送ってきました。田舎なので庭に埋めて。ムーンライトセレモニー、こんなに丁寧に送ってくれる人がいるならば、そこで送ってあげたかった。猫の隠す星を見てみたかった。猫を送りながら、猫と暮らす、しんみりと優しいお話。
Posted by ブクログ
実家で、いま飼っている猫、むかし飼っていた猫たちを思い出しながら読みました。
猫専門のムーンライト・セレモニーで弔ってあげたかったなぁ。
猫が隠し持っている星を見てみたいなぁ。
などなど、しんみりしながら読みました。
実家では、居ついたのら猫を飼っていました。その猫が歳をとり弱ってきた頃から、そっくりなのら猫が姿を見せるようになりました。そして、先代に頼まれたかのように、その猫が実家で暮らすようになりました。
猫って本当に不思議なところがあるんです。
わがままで勝手に暮らしているようで、飼い主さん達のことを大切に思ってるんでしょう。
猫好きの戯れ言ですが…。
Posted by ブクログ
文章がしっとりしている
ねこのお葬式専門のお寺の住職とその周りの人々と集まって来るねこ達の人間 猫模様。
保護されたねこは ねこの方が何かを感じてその人を引き寄せる 人の何かを感じ取るねこたち またそれを愛おしく思う人たちの感情が丁寧に描かれている
Posted by ブクログ
猫を弔う人たちの物語。
タイトルの「おくる」は、見送るの「送る」なんだな。読む前、何となく「贈る」かと思っていた。
猫寺と呼ばれるお寺の住職、真道(こちらは人の法事も行う)。真道が開いた霊園で猫専門の火葬をする藤井。愛する猫をここで弔ってもらった瑞季。
三人の視点で語られる、猫たちを中心とした世界。
猫たちがたくさんいる風景が愛らしくて(愛想はないのだけど)、彼らのためにいろいろしてやる人間たちが微笑ましい。
心痛むエピソードもあるけれど、あれもこれも猫が癒してくれる気もする。
個人的には別に猫派ではないけど、猫いいなぁと思わず感じてしまう、猫だらけの本。
Posted by ブクログ
思っていたのと違っていて肩透かしの印象。
1話目のようなお話が続く連作短編かと思っていたのだけど、タイトルのような猫をおくる話は1話目のみ。
この話はすごく好きで、泣きそうになりながら読んでいて、その分その先への期待が高くなりすぎたかな。
あとは、その猫の葬儀屋を営むお寺の人たちの人生のお話だった。
ちょっと軽い哲学っぽい雰囲気。
でも、色々中途半端な印象でよくわからなかった。
猫がたくさん出てきたのはよかったけど。
Posted by ブクログ
猫専門の葬儀社と霊園を営む通称〈猫寺〉の木蓮寺。
猫の骨を丁寧に火葬する藤井、住職の真道、客だった縁で事務スタッフになった瑞季。
猫寺には今日もたくさんの名前のない猫たちと、少しの人々がやってくる。
てっきり、亡くなった猫にまつわるエピソードが描かれるのかと思っていたら、全然違う話だった。
三人とも身内を亡くしているという共通点と共に、不思議ちゃん? 夢? 妄想? という話が綴られる。
そんな中で、瑞季の彼氏の瀬戸は妙に人間くさい。そして両親の離婚により妹と離れることになった少年も。
『猫は誰の世話になろうが、誰のものにもなりません』
これが猫を表現する全てだろう。
猫のしっぽの骨にこんな秘密があるとは。そこから宇宙にまで話は飛躍し、亡くなった人々へ思いを馳せ、そして今生きている猫たちや通ってくる少年や少女や女性、更に瑞季や藤井や真道の話に戻ってくる。
亡くなった人々と、お寺にやってくる猫たちと人々と、程よい距離感での交流は心地好い。
序盤は取っ付きにくいのかと思っていたが、読み進めるうちにいつの間にか猫寺ワールドに入り込んでいた。