湯川秀樹のレビュー一覧
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・『学問することの喜びがこの頃はことさら身にしみて感ぜられる.くる日もくる日も研究生活を続けていけるということは,「喜び」などというにはもったいない,本当に有り難いことである.』:同じ気持ちを持っている点では,自分もアカデミア向きの人間なのだと思った.
・『大学に勤めているおかげで,若い純真な人たちと一緒に教えつつ教えられつつ研究していけることである.(中略)数多くの新しい弟を持ったような喜びを感ずる.』:企業で研究するか?大学で研究するか?この気持ちを持てるかどうかではないか.
・湯川先生が中間子論を発表したのは27歳の時で,同じ歳なのに,こうも差がついているのかと思うと自分の凡才を痛感する -
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日本人で初めて物理学でノーベル賞を受賞した、湯川秀樹氏自身による回顧録。40代の頃書いたようだ。
少年の頃のことから、ネクラで引っ込み思案な中学時代、そして物理学と出会った高校時代、海外の物理学者の研究に刺激されて物理学にのめり込んでいく京都大学時代。
湯川氏は大学を卒業するまで一貫して京都に居住していた。兄弟も多く、彼は7人きょうだいの5番目に生まれた。父親も兄たちも分野は違うがそれぞれ学者で、当然のように学問の道を志したようだ。そして物理学に出会ってから、いい教授たちに導かれ、次第に研究分野で第一人者になっていく。
物理学以外のことに関してはとても謙虚で、今でいうオタク的な青年だったようだ -
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日本人初のノーベル賞受賞者、言葉にうっとりする。難しいところもあるけれど、すごく面白い。論理の進め方が、物理をはじめとする理系だからかなぁ。仏教や文学、短歌の話もあり、とにかくエレガントな印象がある。湯川秀樹さんのような会話が出来る友だちが欲しいなぁ。読み進めながら「そうそう」と愉しい時間を過ごした。
わたしは、言葉がうまく紡げないときは、数式やおんがくなど、国語とは遠いものへ目を向ける。新聞だったり、絵画だったり、自然だったり。遠いようだけど、詩や短歌、文学に近付いている感じがする。湯川秀樹さん、ありがとう。もっともっと、読みたいなぁ。 -
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ネタバレ今週おすすめする一冊は、湯川秀樹著『目に見えないもの』です。
理論物理学者であり、わが国初のノーベル賞受賞者である湯川博士
の戦前・戦中の文章を集めた啓蒙書で、初版は昭和21年。ノーベル
賞受賞の3年前に出版された博士の初めての著書でした。
物理学の理論やものの見方を解説した文章を集めた第一部、自伝的
的な文章をまとめた第二部、そして短めのエッセーと書評からなる
第三部という構成です。いずれも一般向けの平易な文章なので、物
理学の素養は全くいりません。
湯川博士の専門は量子力学や素粒子物理学で、中間子という物質の
存在を理論的に証明したことが評価されてノーベル賞を受賞してい
ます。この中間 -
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ネタバレ日本人初のノーベル賞を取った湯川秀樹博士の随筆集。
名作の誉れの高い作品で、私は40年ほど前に中学生の頃学校で紹介されて知ってはいたものの、読む機会はありませんでした。
昨年、角川ソフィア文庫から改訂版が発行され書店に平積みになっているのを偶然見つけて買って読んで見ました。
とても読みやすく親しみやすい文章の中に、美しく整った格調の高さを感じる表現があります。
また古き良き日本の時代の様子が、湯川博士の生活や日々の思いや、また博士に関わりのあった家族、友人、恩師との思い出を通して、たいへんよく伝わってきます。
読み進めながら、自分自身の幼少の頃や少年時代の思い出がどんどん引き出されて