湯川秀樹のレビュー一覧

  • 目に見えないもの
    湯川秀樹のエッセーは、たいがい素晴らしい。理論物理学者であるからといって、過度に抽象的な論理や言葉の綾を使ったりせず、真っ当な人の真っ当な言葉で素直に綴られている感じを受ける。
  • 旅人 ある物理学者の回想
    ノーベル賞の発表シーズンに日本人初の受賞者である湯川先生の前半生を振り返った回想記があることを知り、手に取りました。

    湯川先生の生い立ちや学生時代について詳しく振り返っていて、人格の形成を理解することができます。

    特に印象的だったのが、下記二点でした。
    ・数学を得意としていた著者が、高校時代の教...続きを読む
  • 旅人 ある物理学者の回想
    湯川秀樹博士の自伝です。
    中間子論の発見の物語を期待して読むと肩透かしを食らいます。最後の10ページくらいにならないと出てこない。
    どちらかというと教科書に出てくる偉人が、幼少期からノーベル賞級の発見に至るまで、どんな人生を送っていたのか、どんな性格で、どんな人との関わりがあって、時代の空気はどんな...続きを読む
  • 湯川秀樹歌文集
    湯川秀樹さんの「混沌と煩悩」。物理学の天才は、研究の成果が実るまでに、こんなにも多くの、一見、無関係に見えることへ興味と関心があったのだと思う。短歌についての考え方、言語に関する繊細な捉え方、とてもとてもおもしろかった。

    「一日生きることは、一歩進むことでありたい」
  • 目に見えないもの
    第1部は面白かったけど、第2部、第3部はまぁ割と平凡かな。

    観測とは選択すること、という量子力学的できごとのシンプルな表現がとても気に入った。
  • 湯川秀樹 詩と科学
    湯川秀樹先生(1907~1981)、1949年、日本人初のノーベル賞受賞者です。私が生まれた年ですが、そういえば、小学校の同級生に秀樹という友達がいました。「詩と科学」(2017.2)、著者ならではでしょうか、ユニークなエッセイです。詩と科学、遠いようで近く、近いようで遠い。出発点は同じ、どちらも自...続きを読む
  • 宇宙と人間 七つのなぞ
    宇宙・素粒子,生命,ことば,数と図形,知覚・感情 のなぞについて平易な文章で非常に重要なことをまとめてある好著だ.どれも読んでいて感銘を受けたが,特に「ことばのなぞ」ではお孫さんが言葉を習得してく過程をよく観察して,そこから的確な内容を導き出しているのが素晴らしい.「生命のなぞ」でも遺伝子について深...続きを読む
  • 湯川秀樹 詩と科学
    紀行文で述べている「ただ何となく楽しい落ち着いた気分」がよいというところに共感しきり。朝永先生にしろ、仁科先生門下(?)は実に懐が深く学問はもちろん感性も磨きぬかれている方々で尊敬と憧れの感でいっぱいです。
  • 科学を生きる
    「直感的に把握するということは、各部分をばらばらなものとしてではなく、全体として、あるまとまりを持ったものとして摑むことであります。[…]それがある図形として認識されるのは、人間の持つ直観の能力によるといってもよいでしょう。」(127頁)

    「自然は曲線を創り人間は直線を創る。[…]
    自然の創造物で...続きを読む
  • 宇宙と人間 七つのなぞ
    かなり古い本なので現在までの科学の進歩で内容が古くなっている部分もあるが,著者の情熱などはよく伝わる。

    少年少女向けに書かれたものらしいが,大人が読んでもためになるだろう。
  • 旅人 ある物理学者の回想
    なんだかんだと言っても、
    ノーベル賞をとるぐらいの人は、昔から偉かったんだな。

    自分との差を感じる。
  • 旅人 ある物理学者の回想
    湯川秀樹の青年期の回想。勉強、大好きだか、この頃の人は、専門になる物理学だけでなく、数学、老荘思想など、幅広く本を読んでいるなあ、と感心する。
  • 目に見えないもの
    初めて湯川秀樹先生の本(文章)を読んだ。

    終戦の数年前あたりに書かれたものをまとめたもの。
    学徒出陣した学生へ向けて「しばらくの伴侶となれば」などとあり、なるほどそういう時代だったかと改めて考えさせられる。
  • 旅人 ある物理学者の回想
    湯川博士はこう言う。少年の意欲は固定されておらず、何に対しても敏感だ。あらゆるものを吸収して、それらが整理されてくる過程の中で、その人の人格とか個性といったものが形成されるのではないだろうか、と。

    全くその通りだと思いますよね。最近は周囲にも「食わず嫌い」の人間が多すぎる。入試で使わないから勉強し...続きを読む
  • 旅人 ある物理学者の回想
    ノーベル物理学賞受賞者である理論物理学者 湯川秀樹の自伝。
    生い立ちから幼少~青年期にかけて考えていたことや自分の進んできた道について記している。

    この自伝を読んで、物理学会の天才は自然科学の領域においては明晰な頭脳を如何なく発揮したが、逆に対人関係においては子供のころから劣等感を感じているような...続きを読む
  • 旅人 ある物理学者の回想
    表紙のイラストの階段が、横から見ると数字になっているのが面白くて買ってみました。
    湯川博士の回想録で、難しいかなと思いつつ読み始めましたが、意外とすんなり読めました☆
    挫折しそうな気持ちが、もう少し粘ってみようという気持ちに変わりました。この道しかないという決心も大事ですね~☆
  • 旅人 ある物理学者の回想
    文学賞を受賞した方だっけ?って思うぐらい、作家顔負けの教養溢れるとても美しい文章でした。そのまま文学の道に進んだとしても成功したんでしょうね。人柄が文章に出ているのか読んでてとても静かな空間にいるような不思議な感覚に包まれる。現時点で物静かなのか謙虚なのかわからないが、また日を置いて再読し直して理解...続きを読む
  • 旅人 ある物理学者の回想
    徴兵官は書類に目を通すとすぐに、
    「丙種合格」
    と言った。それからいくらか、表情をやわらげて、
    「君たちは若い大学生だ。兵隊としては役に立たんが、学問の道にはげんで、その方面で、日本の存在を世界に知らせるようにしてほしい」
    と言う。

    未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である。地図は探...続きを読む
  • 旅人 ある物理学者の回想
    湯川秀樹が、若かりしころの自分とその周辺について記述したエッセイ。

    読んでみると、彼はやはりすごい、という気持ちと、彼にもいろいろ悩みや欠点はあったのだ、とほっとする気持ちの両方が生まれた。

    彼は自分の向き・不向きや性格をよく把握しており、将来の進路に悩む自分にとってはうらやましい限りである...続きを読む
  • 目に見えないもの
    P118 人間は未来に対して無力である。小数の人にのみ付与された洞察力、ごく稀に現れる創意とによって、初めて現在の中に未来を見、未来が創り出されるのである。・・・そういう未来への考え方をしているところに共感した。簡単に夢を見たり、将来こうなりたいと言うけど、本当は、現在にしか生きてなんだと思った。ま...続きを読む