久保尚子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
耐性菌と闘う―感染症医奮闘のドキュメンタリー
著者のマット・マッカーシーはプロ野球マイナーリーグの経験もある医師。感染症医としての著者マットが抗菌薬ダルバマイシンの治験をプロモートしながら、さまざまな人物・患者を通して成長していく過程のドキュメンタリーがメインストーリーです。そして常に、マットの近くにいるのが指導医ともいえる感染症医トム・ウォルシュ(がんの化学療法などの結果起こる重篤感染症の治療の世界的なエキスパート)。
マットがダルバマイシンの治験を企画しそのプロトコールが承認される過程においても、さまざまな困難があります。そんな話の合間に、ペニシリンから始まる抗菌薬の歴史を作ってきた人々の物語が挟まれ、あるいは、人種偏見に基づいた人体実験めいた治験が存在したという話がたくみに挿入されている。それらの結果として現在、マットの時代の治験計画は厳しい審査にさらされるのです。
やっとのことで治験ができることになりその患者を探す過程は、さまざまなバックグラウンドをもつ患者たちの人生、たとえば9・11で化学物質を吸い込んだためにがんになった男性、ちょっとした怪我からオキシコンチン中毒になった男性、白血病の治療で免疫不全になったための感染した女の子、などなど、感染症にも様々な背景の物語が。
治験の結果、感染症を克服する人もいる一方で、指導医のトムは、骨髄移植や最新の免疫療法によるがん治療が引き起こした聞いたこともない細菌や真菌の感染のコンサルテーションに忙殺されます。トムは、そんな「がん治療後重篤感染症」のエキスパートなのです。トム=Tommy Walshについては本文中にも紹介されていますが、実際に子供をトムに助けられた父親が立ち上げたトムの業績を賞賛するサイト(次図)を見ると彼の活躍が多くの子供たちを助けていることがわかります。
ペニシリン以来の抗菌薬の黄金時代にはすっかり克服されたと思われてきた感染症ですが、その黄金時代に大量に投与されてきた抗菌薬により耐性菌が生み出されているのがまさに現代です。そのため、感染症が今なお猛威を振るっているような途上国や、人口密集地域・国、では感染症のコントロールが難しくなっています。さらに、抗菌薬の開発が、例えば新しい抗がん剤としての抗体医薬などに比べて、利益が上げられない分野であることから製薬会社も開発に手を出しにくくなっているという現実があります。また、がん治療の手法の発達はトムが手掛けているような「がん治療後重篤感染症」を急増させてもいます。
感染症医はまさにそうした時代に立ち向かっているのです。その実態を治験や治療の現場レポートとして伝えてくれるのでまさにアメリカ感染症治療の最前線にいるかのような緊迫感をもって読むことができました。
聞いたこともないような病原体や抗菌薬がいくつも出てきますがみな実在しており、例えばカンジダ・アウリスは2008年に日本人女性の耳から発見され、現在インドで感染が広がっているらしいです。目の前のCOVID-19のパンデミックが過ぎ去った後、この耐性菌問題もまた避けては通れないでしょうね。ちょうど、高齢期を迎える自分もひょっとしたら感染症で死ぬことになるかもしれません。 -
Posted by ブクログ
十九世紀までの花形学問は天文学や科学であった。しかし二十世紀のスターは間違いなく物理学だ。相対性理論や量子学など神の領域に触れるアイデアが無数に生まれた。
我々の実感や常識と相容れない理論上の概説を、時に哲学的に、物理学は投げかけてくる。特に量子論の時間や空間を超越した同時性や無限のパラレルワールドの可能性の提示は、あまりに壮大過ぎて途方に暮れるほど圧倒される考え方である。
本シリーズは極力平淡に書かれているものの、決して万人に完全に理解を保証するものではない(例えば本書ならひも理論など)。しかし物理学がこんなにも知的興奮に溢れ魅力的な学問なのだと感じさせるには十二分な本である。 -
Posted by ブクログ
■評価
★★★✬☆
■概要・感想
○生物学の最新の進歩を、その研究を飛躍的に進歩させた人のストーリーに乗せて、説明している本。
○マイクロバイオームについて知りたいと思い手に取った。他で言われているように、良い食品があるというよりもその人に合う食品が何かを正確に捉えるほうが重要。GI値は目安に過ぎず、ケーキをバンバン食べても太らない人もいれば、寿司を食べると血糖値が急上昇してインスリンショックで太る食品となる人もいる。近い未来(既に到来している?)、自分にあう食事という側面で最適化されていくこともあるかと思う。
○プロバイオティクスは、エビデンスが揃っていないので、ウォッチする状態でいいかと思う。食物繊維豊富な野菜などを積極的にとって、腸内細菌に栄養を届けることが、現状わかっている範囲のいいことかと思った。