北川歩実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
10年以上前に読んで衝撃を受けた本作を再読。高校生のときと子どもを持つ立場になってからだと、心が揺れる場面も変わったと思う。
命の重さについて考えさせられるとともに、ミステリ性の高さに驚愕し、読み終わった後に呆然とした読後感は今もそのまま。自分の中にある、健常者の方が生き残るべきだ、という無意識に気づいてしまったときは少しショックだった。
先が気になりすぎて、禁断の「少し先の文章を薄目で見てから先に進む」を何度もやってしまった。登場人物の多さと関係の複雑さはあるが、入り組んだ伏線が最後にするすると解けていく快感は、やはり今まで読んだ小説の中で突出していると思う。映画化してほしいけど、ここまで複 -
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天才能を作ることを目的とした、幼児への早期教育を行うセンターをめぐる物語。
しっかりと重量感のある面白い作品。どんでん返し、どんでん返し、最後にまたどんでん返しで、しかもそれらに全く無理がない。普通に考えたらそう思い当たるだろう、という流れで、どんどんとどんでん返しがなされていくのがすごい。一体こんな話、どこから考え始めるのだろうか。
いくつもの複雑などんでん返しの繰り返しが、二件の殺人と守の母親梨佳の逃走劇などと絡み合い、複雑でいてしかし無理のない見事な作品になっている。
そして、幼児早期教育も普通にこの世にあるんじゃないかというくらいの信憑性ぶりで、センター見学の場面で繰り広げ -
Posted by ブクログ
北川歩実1996年の作品。第2作目。
こんなにもレビューが賛否両論湧かれる人も珍しい。
突然消えた恋人…を探して主人公が行き着いた先は、ダイエットコンテスト。
熾烈な闘いの敵は自分自身。コンプレックスと戦う女の狂気と願望渦巻く世界。
美味しいもの食べたいよね。ガマンしたらそりゃ苦しいよね。
でも太りたくないから多少の運動はしてます。自分。
この人の本は、信じたらいけない!絶対ひっくり返されるのわかってるから!!
自分的には「ミスリードの達人」=ミスリーダーと勝手に思ってる。
これだけボリューミーに細かく、大胆に導かれたら予想なんて、いや予想することができなくなるよ!まぁひっくり返されるのもわか -
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恋人実咲が同級生千夏からの電話をきっかけに失踪した菅見。
そして、一方で激太りから合宿型のダイエットに参加する千夏。
実咲を探す中で、千夏と再開。
そして、ダイエット企画の主催会社の闇の面が見え隠れする・・・
美とダイエットは女性が永遠に追い求めるもの。
本書では、男性が追い求めるから女性も追い求めざるを得ないとし、
そのことが、犯人を狂気に走らせた。
犯人の動機としてはやや異常とも思えるもので、
そこまでの行動に走らせるのか?と思わざるを得ないが、
展開の早さ、謎の広がり等、サスペンス小説としてのレベルは高い。
2人称の視点で進む物語も、内容に厚みを持たせていると思う。
男性として