あらすじ
「飯田さん──いらっしゃいませんか? 警察のものなんですけど」相手が『飯田さん』と呼びかけたことに、志穂はぎくりとした。チェーンを掛けたままドアを開くと、相手の女は一枚の紙をドアの隙間から差し入れてきた。『中に誰かいますか? イエスならウインクを』何かあったのかと訝る志穂に、女は『殺人事件の容疑者が、この建物に逃げ込んだんです』と告げる。慌ててチェーンを外しドアを開けた志穂に、女は──。二人の女のスリリングな心理闘争を描く充実の傑作「幻の男」など、サスペンスの名手が贈る七つの巧緻な逆転劇。記憶は、感覚は、秘かにあなたを裏切るかもしれない。
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Posted by ブクログ
この短編作品ほど、覆面作家・北川歩実を体現した作品は無いのではないか?
タイトル「虚ろな感覚」。
彼(あるいは彼女)の作品は人の感覚そのものを虚ろに変える。
長編のどんでん返しに次ぐどんでん返しの果てに顕れる不確定な感覚。
短編でも劣る事なく、我々を陥れる。
我らの感覚を虚ろに変える氏への入門書。
あなたはそこにいますか・・・・・・