もう何度目になるかも分からない、土井先生vs大家さんの壮絶なる契約争いを描いた待望の47巻。というようなことが帯に書いてあったので(?)てっきりそういう話かと思って読んだら、むしろメインは忍術学園のてんやわんやな文化祭。
一年生から六年生、先生方から事務員さんまで、老いも若きも巻き込んだはっちゃけぶりが今回もすごい。しかも今巻は特に懐かしい顔ぶれがそろって、抜けてるところが大変キュートなオニタケの二人組に、狙った獲物は逃さない(はずの)ドスマスコンビ、果ては学園長先生の元カノなどなど、しばらく登場の機会がなかったメンツが一堂に会していたのはまさに壮観だった。それにしても、あの牧之助をこれだけ長い間見ないなんて――今回久々に顔を見て、やたら懐かしい気持ちになってしまったのだけれど、これも昔の落乱だったら到底考えられなかったことだ。それだけ登場人物の数が増え、作品世界も広がったのだなぁとしみじみしてしまう。それでも、ちゃんと昔のキャラを忘れずに(若干忘れられているんじゃないか、というか、話の展開上出しにくくなってしまっているキャラがいないではないが)隙あらばみんなに活躍の場を与えようという作者の心意気が嬉しい。
それにしても、これだけ大勢のキャラクターが入れ替わり立ち替わり登場する作品も他にないだろう。は組中心になるべく偏りのないように、なるべく大勢に台詞を…という尼子先生の気遣いは、ここまでのものになるともう本当に職人技としか言いようのない域にまで達していると思う。
個人的にツボだったシーンは幾つかあるが、とりわけ一番のヒットは「なぜかカメすくいの店をやっている会計委員会」だった。確かに、確かに会計スキルというのは、他の委員会のに比べて文化祭向けの娯楽に置き換えにくいものではある。だからって何も一番普通に文化祭に参加しなくても…(笑)。そのせいかあんまり人も来ていない様子で、それでも当たり前のように二人して店番を務めている文次郎と左門の姿には思わず笑いが漏れてしまった。その後の二人のやりとりも、いかにも先輩後輩という感じでなごなご。直情型に見える文次郎が、後輩の前だときちんとそれなりに先輩先輩して見えるところが面白い。
あとは、これは読むたびいつも感じることではあるけれど、落乱世界の大人たちは子どもに対して本当に優しい。今回お守りをしながらいろいろと大変だった先生方にしても、なぜか団体さんで遊びに来てくれたタソガレ勢にしても、わいわいきゃあきゃあ遊び騒ぐ忍たまたちに当たり前のように付き合ってくれているところには何だかほのぼのとさせられてしまう。伏木蔵も、今やすっかり雑渡さんになついてしまったようで…。あの包帯だらけの顔がぬっと出て来るたび、飛び上がって驚く一年生たちのリアクションが本当に可愛い。
作者コメントにもあったミュージカルに引き続き、今度は実写映画化の話も出ているそうで、ファンとしては昨今の急激なメディア展開に正直面喰ってしまう部分もある。それでも結局ミュージカルはチケットを買ったし、映画になったら映画になったで、きっとまたそれを見に行ってしまうのだろう。なぜかと聞かれたら、それはもちろん「落乱」という作品が好きだからだし、いつも元気な乱きりしんが、また大スクリーンで活躍するのをこの目で見たいからということもある。でも、多分一番肝心なところは、要は「世代だから」ということなんだろうなぁ。本当にちいさな頃からすぐ側にこの作品があって(漫画の存在を知ったのはだいぶ後になってからだったけれど)そうしてそれを見ながら大きくなってきたから、いつまで経っても愛着がやむことはないし、結果これからも敬虔なファンでいてしまう。長寿作品の味わい深さというのは、そんな風に作品そのものを出たところにもたくさん転がっているのだと思う。時代性というか、どちらかと言えば懐古趣味に近い感覚?それが良いか悪いかはともかくとして、これからもたくさんの人々に、とりわけ子どもたちに愛され続けていって欲しいと思う作品。