【レビュー】
小学五年で起きたとある事故。そこに居合わせた三人はそれぞれ一つずつ失った。
その事故で身体の自由を失った少年は全身麻痺患者として三年間の入院生活を強いられる。
事故以来、本名を呼ばれると発作として重度のパニックを起こす少女は”菜々子”という仮名で三年間を過ごし、そのほとんどを少年への
...続きを読む見舞いに費やす。
発端は少女のある日の発作。半年ぶりのその発作をきっかけに、少女は少年へある疑念を抱く。
やがてその疑念は少年から少女のそれへ。
きっかけは疑念。
結末は呪い。
その過程にあるのは、少女の推理と少年の思考。
***
読んでいて少しつらい。
しかし、展開的な不安、いわゆる鬱展開は特にない。
たぶん、書き方か編集の問題。おそらく後者。
前者としては、少年の回想部分が個人的にきつかった。なんだか『この道を通れ』と歩き方を指定されているような窮屈感がある。もっと抽象的でもよかった気がするけれど、読者が作者のリード(といえるレベルかすらわからない何か)の先に到達すること前提の結末なので、たぶん仕方がないだろう。
悪く言えば中途半端。ミステリとはいわないと思う。
良く言えばそんなことがどうでもよくなるくらい魅力的な会話が多い。
ほかのタグにあるミステリとして読んだら損をする気がする。良い意味でストーリー展開が素直なので、馬鹿みたいに疑ってかかるとかえって損をするパターン。まあ、こんな読み方をするのは中毒者だけだと思うけど。素直に読むべき。
普通に面白かった。
繰り返すが、個人的には会話がとても魅力的だった。
【感想】
完全にタイトル/ジャケ買い。後悔しないレベルで面白かった。
途中、『埒外』という言葉をつかう小学生に違和感。まあ、小説へのこんな感想は最低レベルの指摘なんだけれど。
”菜々子さん”の特異性を表す目的としても、さすがに……。
続刊が出るらしい。期待したいが不安もある。自分はこれをシュガーダークでも感じた。
いったい、どんな続編を書くのだろうか?
最近、こういった『とりあえず続編』が多い気がする。おそらく、気のせいだと思うが……。
イラストの菜々子さんが可愛い。だからジャケ買い。
こういうイラストからのインパクトの強さが、ラノベの良いところだろう。