野崎孝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
短編を読もう!第三弾はフィツジェラルド。
たくさん短編を書いてる中、新潮文庫では選りすぐりの6遍を収録。
「氷の宮殿」は南部に住む女の子が北部にすむ婚約者について行く話。南北の違いがよく表されていたように感じた。
「金持の御曹司」は、何でも手に入ると思い込んでいる青年が、愛は手に入れられないと悟る話。上流階級の話は新鮮だった。
「乗継ぎのための三時間」は内容を書くとネタバレになっちゃうので…。でも1番面白かったかも。短いので乗り継ぎの時間に読める!
「バビロン再訪」は過去の失態により別居している娘ちゃんを引き取って育てたいと、親戚と話し合いをする話。結論は、なんだかやるせなかったな。
ここまで、スタインベック、フォークナー、フィツジェラルドとアメリカの短編集を続けて読んだけど、フィツジェラルドは自分にとっては異色だったな。黄金期のアメリカでも人間の弱みは変わらない。
読んだフィツジェラルド
なし
読みたいフィツジェラルド
『グレート・ギャッツビー』 -
Posted by ブクログ
ネタバレ世田谷の駒澤にある「snow shoveling」のblind book「美しき、光と影」というキャッチコピーに惹かれ、手に取った。
ギャッツビーの夢、見かけ上の栄光と、それと対局にある彼自身の精神の闇、不安定さを感じさせられ、まさに「美しき、光と影」を感じた。
生前は、多くの人を家に招き盛大なパーティをしていたギャッツビー、しかし彼の死後、葬式には、彼の父と語り手のキャラウェイ、そして書斎にいた男しか来なかった。
愛するデイジーすら訪れなかったのである。
見かけ上の煌びやかさ、華やかさにはなんの意味もない。周りに人がいることが、必ずしも、人望があるということではないのだと気付かされた。
良い時に寄ってくる人ではなく、自分自身が困難な時、辛い時にもそばに居てくれる人を大切にしたいと思ったし、思いもよらぬ人が自分を大切に思ってくれていることもあるんだなと思った。
彼は、彼の夢であるデイジーを手に入れることができないまま、悲劇的に人生の終わりを遂げた。それでも彼は、もしもう一度機会があったとしたら、この結末をわかっていたとしても
同じ道を歩むような気がする。
そんな彼の情熱は少しばかり羨ましい気持ちにもなる。
-
Posted by ブクログ
言葉の扱いが魅力的だと思った人の愛読書だと知り購入
今まで海外文学はシェイクスピアしか読み切れたことがなく、他の小説は読む度に挫折していたが、時間をかけてでも読み切れた。モチベーションが違ったのだろう。
読む前は翻訳独特な言葉選びを期待していたが、読み始めるとドンドンその世界に魅せられて、言葉選びの面白さに注目できなかった。次に読むときはしっかり注目して読みたい。
読んでいるだけでまるでその場にいるように思えた。季節の空気感、雨の冷たさ、現代よりは優しいけれどやはり暑い夏、それが終わるのに妙に寂しく思える秋の始まり。
そこで生きて、近くに生きる他人のような気持ちで読むことができました。
この本による感情の起伏は激しくなかったけれど、確かに心が揺れる、寂しさを強く感じる本でした。 -
Posted by ブクログ
青春時代の情熱の恋愛模様。5組のカップルが登場する。あの青春時代の疑うことを知らない情熱はどこから来るのか、どこへ消えてしまうのか。お祭り騒ぎが終わったあとの余韻と驚き。愛の反対が無関心であるのと同様に、貧乏でも多忙でもなく、世の中からの無関心ーー必要とされないことを、人は一番おそれているのではないか。
編者の意図もすばらしい。バランスのとれた短編集。
1. 氷の宮殿
アメリカの北と南。出身地と男女の相性。
2. 冬の夢
主人公がよい。暗い。女性の虚勢とそれに気付きながらも受け入れる男性。
3. 金持の御曹子
すばらしい。幸せとは何か、問いかけてくる。青春と家庭とその先に待っている老いをも匂わせる。金ピカの中に哀愁ただよう作品。
4. 乗り継ぎのための三時間
まるで星新一のような。おもしろい掛け違い短編。短い中に人生のおかしみが詰まっている。あるある、と思わず膝をうってしまうユーモアのある作品。
5. 泳ぐ人たち
水の中の静けさと心地よさ。それが伝わってくる。伏線や展開がおもしろい。短編だからかもしれないが、この著者は道中がうまく、終わりが若干尻込む。会話もベタベタと男女の会話を書くのではなく、まるですべて見てきたあとのようにさらっと、少しだけ書き出してあとは抽象的な心理描写で終わらせてしまう思いきりの良さがよい。
6. バビロン再訪
この作品のなかで、唯一恋愛ではない作品。みうらじゅんさんが書かれていた「親は子のファン」という言葉通り。うまくいかない人生のいたずら、周りからはそれもすべてうまくいっているように見られてしまうジレンマ、人生の試練が分かりやすく凝縮されている作品。 -
Posted by ブクログ
ギャツビーという人間に対して、驕りと虚栄心の塊(もしくはただのストーカー)として軽蔑するか、それとも不当な手段で名声を得ても一人の女性に愛を注ぎ続けた純真無垢な男として同情するのかは、人によって持つ印象がかなり違うのではないかと思う。
前半ははっきり言って何を言いたい小説なのか理解ができなかった。文体も読みづらく、入り込めない。
後半の劇的な展開を経て、初めてこの男の持つ感性に共感を抱くことができたね。狂気に歪んだ愛を心に刻んでしまった人間として。
解説を読んでみると、この小説がアメリカ社会が持っている(あるいはかつて持っていた)断絶と矛盾を見事に悲劇的に描いた小説だと分かった。
そういう文脈で読むこともできるし、僕がそうしたように純粋すぎた愛の物語として読むこともできるだろう。
いずれにせよ、複雑な小説だった。