中根千枝のレビュー一覧
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50年前に刊行されていまだに読み継がれているという日本社会を論じた代表的な書籍になります。いままで読む機会がなくようやく読みましたが、納得する点も多々ありました。原則ではなく人間関係がモノを言う、「ウチ」と「ソト」の意識、などの概念は今でも十分通用すると思います。ただ学術書ではなく一般書を意識してあえてそうしたのかもしれませんが、データの裏付けや検証部分については省かれていて、うがった見方をすれば「それは著者の周囲の偏った社会の中だけではないのか?」ということも言えるわけです。また海外との比較もたまに書かれていますが、英国、インドとこちらもかなり限られたサンプルとの比較であることは否めません。
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中根千枝 「 タテ社会の人間関係 」
会社などの社会集団から日本社会の特徴を抽出した本。
否定的な論調だが、会社に関しては、契約や論理より 感情や一体感を優先させる日本的集団の方が、明確な指揮命令や統率のとれた組織行動に 経営合理性があるように思う。
日本的集団の問題点
「序列で物事が決まり、個性が奪われ、法律が無視され、ウチとヨソモノの意識が強まり、ヨソモノ排除へ向かう」
日本的集団の特徴
*2つの集団の合併は、一方による乗っ取りでしかなく、序列により系列化しているだけ
*提携は 表現であって、実態の構造を反映していない
*リーダーは一人であり、リーダーの交代は困難
*集団は 乗 -
Posted by ブクログ
40年以上前に書かれたものとは思えない先見性を感じられる。メイン内容は組織論としてのタテ社会、日本は序列重視の社会であり、西欧、インド、中国とはまったく異なる人とのつながり方を分析されている。(特に本書の著者はインドをよく例にあげられていた)
40年以上経過した現在でも、この考えは廃れるどころか、国際社会の中で日本という国が他国とどう渉りあっていくか、理解しあっていくかを考える上で非常に考えさせられた。
また、いわゆる成果主義といわれる考え方が、序列重視の日本人と相容れることの難しさを実感することができる。
形の上では序列をなくすということは可能でも、日本人である限りは完全に欧米化することは -
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もう半世紀も前に発行されたものだが、内容は全く色あせておらず、社会組織の構造を見事に分析している。
社会集団の構成要因は、資格(属性)の共通性にあるものと、場の共有によるものがある。資格には、氏、学歴、地位、職業などがあり、職業集団、血縁集団、カースト集団などが構成される。場とは、地域、所属機関などの枠のこと。
場の共有による社会集団は、枠によって閉ざされた世界を形成し、構成員の異質性による不安定さを克服するために、集団意識を高揚する必要がある。日本社会では、人間関係の強弱は、接触の長さや強さに比例するため、集団に加わってからの年数が、個人の位置づけを決定する重要な要因になっている。これが -
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ネタバレ社会集団構成の要因を「場」と「資格」の2つと捉え、それぞれの内部メカニズムを分析することで、こと日本におけるタテ社会の人間関係を描写した1冊。
特に印象的だったのは前述の2つの概念整理に加え、会社内における序列意識の一節(原文は下記)。日本社会は場を重んじる社会集団であり、大きくその特徴として①序列意識(年長者など)②集団内のエモーショナルな結びつきの2つが挙げられる。
これらを背景とした際、重視すべきは自分個人の能力ではなく、集団内における自己の立ち位置や結びつきであり、故に下記のようにどこまでいっても「オレだって」という不公平感が拭えないのだと理解できる。他国と明確な比較を行なったことは