中根千枝のレビュー一覧
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ネタバレ西欧の理論ではなく、日本社会を日本から眺めて分析しようという本でした。
まず社会集団の構成要件に、「場」の共有性と「資格」の共通性の2つが挙げられています。場というのは、例えば同じ会社とか同じ学校卒とかそういうもので、資格というのは厳密なルールがあり、同じ職種(例えば旋盤工であるとか)とか、同じ父系一族であるとかというものです。
で、日本の場合は、とにかく「場」が重視されていて、例えば「家」についても、よそに嫁いでいく娘よりも、家に入る嫁が重要であったり、独立した息子よりも番頭やお手伝いさんが一族的な立ち位置になったりと、血族という資格よりも家という場に属しているということが重視されます。で、 -
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ネタバレ日本人は、上からヒイキしてもらいたい…
・「2017/6/28出光興産の株主総会で、出光興産の創業家は、"昭和シェルとは企業文化が異なる"ことなどを理由に合併に反対の考えを示した」とのことです。
これは、この本に示されている「成員の全面的参加、家族ぐるみの雇用関係、ウチのもの意識などタテの関係、序列意識、場を強調する日本の組織」と、ロイヤル・ダッチ・シェル(オランダとイギリスの企業)傘下の日本法人である「昭和シェル」が持っていると思われる「欧米的“ヨコ”につながる階層的な文化」との違いを危惧してのことだろうか?
・この本を読み終えて、感想・レビューをアップしなければ -
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前著『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)で語られたような集団主義に染まった日本人が、他の社会や文化に触れる際に起こる、さまざまなカルチャー・ショックのあり方を分析した本。
とりわけ、当時東南アジアなどに進出していた日本企業の海外駐在員が、現地の人びととの間で相互不信を引き起こしている原因について、詳しく語られています。
現在の日本では、東南アジアの国々の人びとの親日的な姿が多く伝えられているため、ほんの少し前には、日本人と東南アジアの人びととの摩擦が喧しく論じられていたことを忘れてしまいそうになります。現在の東南アジアの人びとの親日的な姿勢にも、「美しい誤解」が含まれているのかもしれな -
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日本の会社が、海外に出て行くときに、
日本人が、その国の文化をどのように受け止めるのか
というようなテーマを追求する。
日本人が異なる環境におかれたり、予知しなかった場面に遭遇した時に、
どのように反応するのか?
その反応の基盤である日本的なシステム、価値観の理論的な特色。
日本は、たて社会の人間関係が主であるので、どのように異文化に対応するのか。
グローバリズムということが、言われる前の論評
1972年の発行。
まずは、海外で仕事をすれば、カルチャーショックがある。
言葉、風俗、習慣の違いに出会う。
日本的な思考のパターンに馴染んでいる。
異なるシステムに、弾力性をかき、正面衝突をしやすい -
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あまり頭に入ってこない文体で分量のわりに読み終わるのに時間がかかった。
学歴・職場といったものに価値を置き評価を決める人は多いのだなあと思った。
正月などでの親戚が集まって食事したときもそういう話が多い。
日本人の法意識と法からの逸脱の許容範囲は全体がやっているかやっていないかで決まるというのは、自分の体験とよく一致するものだった。
似た文章も引用しておく。
パウロ・コエーリョ「アルケミスト 夢を旅した少年」から
「キャラバンと砂漠は同じことばを話していました。だからこそ、砂漠はキャラバンが横切ってゆくのを許してくれるのです。それはキャラバンの一歩一歩をテストして、時間どおりにいっているのか -
Posted by ブクログ
日本社会の構造を分析した書物である。ポイントは日本人の個体識別レベルは家族・仕事場などの「小グループ」であること、「小グループ」では、ある程度「わがまま」が許されフラストレーションが発散できるが、同時に個人の「勝手」を規制する力も働く。この「小グループ」が数珠状につながる点が第二のポイントである。小グループは互いに序列をつけあい、互いに追従・規制をしあうが、上位グループからの権力は届かない。「右みて、左みて」をして、自分たちの行動を規制している。このような軟体構造をもっているために、原則がないので理解しづらいが、同時に変化への対応能力も高い。