中根千枝のレビュー一覧

  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    日本的な『ウチ』と言う時の西洋的な『私たち』とは異なる自己中心的で排他的な意識や、日本人は働き者や怠け者と言う考えはあっても、個人間の能力の差を認めない素朴な人間平等主義を持つと言う点など、改めて考えるとすごく腹落ちする部分がありましたが、人間平等主義なのに上まで行ける人は一握りで、下層では同じようなレベルの人が足の引っ張り合いをしている、なかなか成長が難しい環境だなぁとも思いました。

    西洋と言う物差しを使わないと言うわりには西洋との比較が出てきたり、その時代に他の人よりも西洋的なものに触れる機会の多かった個人の感想ではかいか?と思われる部分も出てきますが、戦後20年、現代から60年前の本で

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    2025年07月22日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    中根千枝の著書『タテ社会の人間関係』は、日本人の人間関係や集団構造の特質を「タテ社会」という概念によって明らかにしようとした画期的な研究である。本書は、日本社会における人間関係のあり方を、西洋的な個人主義社会と比較しながら、文化人類学的・社会構造的に分析している。

    中根は、日本では個人の資格や能力ではなく、まず「場」への所属が人間関係の基盤になるとする。肩書きや属性ではなく、その人がどの集団に属しているかが、その人の社会的位置を決定する要素となる。これを「場の論理」と呼び、欧米社会のように「資格の論理」(=能力・契約・専門性による個人の位置づけ)とは明確に異なるとする。

    また、日本社会では

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    2025年07月20日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    紛れもなく名著。

    日本の対立軸としてインドを持ってくることで説得力を増している。

    社交、家族、本当の血縁、日本人的一方で所属、ステータスソサイエティ、その組織に一番早く入った人という意味での老人天国など目から鱗だ。

    日本は商売下手で製造が得意というのも、本論の枠組みで理解できる。

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    2025年02月20日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    東大で名誉教授を務めた社会人類学者である中根千枝による書籍。
    1967年発行。

    日本の社会的構造を他国のそれと比較する形で分析し、その特徴を解明することが本書の主題とされている。

    本書における筆者の主張をまとめると、下記の3つである。

    ①日本社会における集団意識では「場」が優先される

    ② 日本人は「ウチ」「ヨソ」の意識が強く、人間関係の機能の強弱は実際の接触の長さ、激しさに比例する

    ③日本の組織の階層は強い「タテ」の関係で構成される

    ①は、一定の個人から成る社会集団の構成の要因は、二つの異なる原理「資格」と「場」の共通性に大分できるという前提に立つ。
    「資格」とは、社会的個人の一定

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    2024年03月20日
  • タテ社会と現代日本

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    本書の本筋ではないが、結婚した男女と生家との関係の分類が興味深い。
    日本が男系でも女系でもないことを明確に示している。
    筆者によれば、祖先崇拝も感情的つながりを重視する日本ならではの慣習らしい。

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    2024年01月27日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    本書は1967年に初版が出されたものではあるが、現代社会の会社の中に、そして政治を動かす政党、官僚組織にも概ね当てはまる内容である。少なくとも私が所属する会社も一般的には社員規模数万人の大企業と言われ、本社組織だけでも1000人以上が働く会社であり、本書の言うタテの構造が全く当てはまっている。今日も誰かが書いた稟議書を眺めながら、誰かが提出してくる企画書を忙しく眺めながら、「そこだけ担当してる立場ではないから、こんなに専門的に(さも知ってるかの様に)書かれても解らないよ」との考えを頭の隅に追いやって、まるで無意識でもある様に書類を決裁者に回す。時折、自分の存在に自信を失うほど、決まりきったタテ

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    2024年01月12日
  • タテ社会と現代日本

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    日本に強く根付いている、先輩と後輩、上司と部下の関係、集団で行動する傾向について書かれていました。
    集団の封鎖性からその集団でしか生活できないと考えてしまい、結果自殺へ繋がることも問題視されていると述べられていました。

    また、日本では同じ「場」を共有することを重要視し、年功序列のようなその「場」に居た長さで集団内の階級が位置づけられていました。
    今では年功序列などの廃止を進める企業もありますが、タテのシステムつまり先輩と後輩などの関係はなくならないと語られています。


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    2021年09月03日
  • タテ社会と現代日本

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    前半部の分かりやすさ、それを読んだ後に、後半部に引用された骨太の理論がすんなり入ってくる。日本の人間関係をインドのそれと比較する。

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    2021年06月06日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    1967年2月に初版が発行されているが、小生が大学1年の時だ.日本社会の形態を見事に描写している好著だと感じた.大学卒業後、会社生活を40年間過ごしたが、本書にある「タテ」社会は本当に実感するものだった.「ヨコ」「コントラクト」に関する記述もあったが、そのような形態をゴリ押しすると、必ず反発があったと記憶している.長い歴史が作り上げてきた組織構成なので、一朝一夕に変化させることはできないが、別の形態もあるのだという発想はぜひ持ち続けたいものだ.

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    2020年05月02日
  • タテ社会の力学

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    「タテ社会の人間関係」が素晴らしかったので、姉妹編の本書を読む。
    「小集団」というのが、本書の一つのキーワードだと思うが、この概念を使って、人材育成のあり方についても論じる事ができるのではないかと思う。

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    2020年04月03日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    1967年の本だそうだが、今でも全く古びてないと思う。社会構造はそう変わらない訳だが、単一社会ではなくなりつつあるので、実は変化が起こりつつあるのかもしれない。

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    2020年04月03日
  • タテ社会と現代日本

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    まちライブラリーの女性スタッフに勧められたまちライブラリーにあった本です。
    まえがき
    プロローグ 日本の先輩・後輩関係
    第1章 タテの関係とは?
    第2章 タテ社会の「いま」
    第3章 「タテ」の発見
    第4章 これからのタテ社会
    エピローグ 場は一つとは限らない
    付録 日本的社会構造の発見――単一社会の理論 1964年中央公論
     1序論
     2資格と場による集団構成
      場を強調する日本社会
     3集団成員による全面的参加
      集団の結束と孤立を招く一体感の強調
      地域的で接触的な人間関係
     4「タテ」組織による人間関係
      「タテ」の関係 序列の発達 対立でなく並立の関係
     5集団内部の構造
      

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    2020年02月13日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    50年前に書かれた本とは思えないほど現代社会にも通じる良書。身分や職業などの「資格」を重視する社会と家や会社など「場」を重視する社会。日本は後者でそれ故よりエモーショナルな繋がりが深くなり、ウチとよそ者の境界が濃くなる。日本が多文化コミュニケーションや共生が苦手な理由もここにあるのだと思いながら読んだ。

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    2020年01月13日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    1967年に書かれた本なのに、今となんら変わっていない。日本社会の単一性、「場」による集団の形成は、身をもって感じているが、認識は出来ていなかった。インドや他の国との対比では、こんなにも違うのかと驚いた。

    複数の場への所属は、日本人は心理的にすごく抵抗があるが、中国の方はどんどん転職されていた。

    親分・子分や序列意識では、笑ってしまうぐらい身の回りで起きている「タテ」の関係だった。能力主義も序列システムの枠内の狭い範囲で、改めて見回してみると確かにそうだと感心してしまった。

    「タテ」から抜け出して、生産的な会議が開催される日はまだまだ遠そう。

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    2019年11月20日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    1967年発刊だが,色あせない.日本のタテ社会(資格ではなく場を強調する社会),ウチ/ヨソ者的発想のムラ社会を冷静に考察.批評や議論する際に,論理より感情が優先されるという指摘は確かに.FBなどTwitterなどコミュニケーション方法が変わっても本質的には変わっていない.

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    2018年10月09日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    去年、働き方改革のセミナーで、これまでの日本社会の特徴を説明した本として紹介されていた一冊。気になって買ったものの1年以上積読。やっと読みました。
    「資格」ではなく「場」で集団構成される日本社会。そこで重視されるタテの関係。
    俺が生まれる前に書かれた本ではあるものの、今でも変わらないところ、この前まえそうだったってところがたくさん。
    いい悪いではなく、組織論を議論する前提として、頭の整理になった。

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    2018年09月29日
  • 適応の条件 日本的連続の思考

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    今から45年前に書かれたとは思えない、日本の社会、人間関係について深く観察、分析された本。海外で様々な国の人と接してきた著者ならではの指摘が数多くあった。

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    2017年11月02日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    日本人が大好きな<タテ社会>という言葉を世に広めたすごい本。
    人類学者の著者が人間関係や組織・集団について分析したもので、世界的に見て独特な日本の社会構造を丸裸にしてこき下ろし、トドメを刺しつつ最後にお情けでちょっとだけ光を照らしていくスタイルとなっている。
    したがって、伝統ある日本的組織に臣従している愛国心に溢れたピュアな企業戦士のような人が読むと、かえって気分を害することになるでしょう。
    いっぽうで、ある程度社会経験を積んでおり、会社という組織に違和感を覚えながらもやもやとした社畜生活を送っている大多数の人にとっては、言いたいことを全部言ってくれている気持ちの良い著作です。
    初版1963年

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    2025年04月13日
  • タテ社会と現代日本

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    名著『タテ社会の人間関係』を著者自らが解説し、さらにその理論を現代日本が抱える問題に適用することを試みた本。
    『日本的社会構造の発見 単一社会(ユニラテラレル・ソサエティ)の理論』附録。

    以下、『タテ社会の人間関係』の内容整理。

    日本の社会的構造を他国のそれと比較する形で分析し、その特徴を解明することが本書の主題とされている。

    本書における筆者の主張をまとめると、下記の3つ。
    ①日本社会における集団意識では「場」が優先される

    ② 日本人は「ウチ」「ヨソ」の意識が強く、人間関係の機能の強弱は実際の接触の長さ、激しさに比例する

    ③日本の組織の階層は強い「タテ」の関係で構成される

    ①は、

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    2025年03月05日
  • タテ社会の人間関係 単一社会の理論

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    なぜ日本では傑出したリーダーが生まれないのか、なぜ日本の労働力の流動性が低いのか、年功序列はどのように機能しているのか、、、そういった疑問について1つの枠組みを得ることができた。
    60年前の本とは思えないほど、現代でも当てはまることが多くあった。社会が変わるということが、それほど難しいということなのかもしれない。

    本書の内容が記憶に新しいうちに『タテ社会の力学』も読むと、筆者の主張がより理解できました。

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    2023年06月25日