中根千枝のレビュー一覧
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日本的な『ウチ』と言う時の西洋的な『私たち』とは異なる自己中心的で排他的な意識や、日本人は働き者や怠け者と言う考えはあっても、個人間の能力の差を認めない素朴な人間平等主義を持つと言う点など、改めて考えるとすごく腹落ちする部分がありましたが、人間平等主義なのに上まで行ける人は一握りで、下層では同じようなレベルの人が足の引っ張り合いをしている、なかなか成長が難しい環境だなぁとも思いました。
西洋と言う物差しを使わないと言うわりには西洋との比較が出てきたり、その時代に他の人よりも西洋的なものに触れる機会の多かった個人の感想ではかいか?と思われる部分も出てきますが、戦後20年、現代から60年前の本で -
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中根千枝の著書『タテ社会の人間関係』は、日本人の人間関係や集団構造の特質を「タテ社会」という概念によって明らかにしようとした画期的な研究である。本書は、日本社会における人間関係のあり方を、西洋的な個人主義社会と比較しながら、文化人類学的・社会構造的に分析している。
中根は、日本では個人の資格や能力ではなく、まず「場」への所属が人間関係の基盤になるとする。肩書きや属性ではなく、その人がどの集団に属しているかが、その人の社会的位置を決定する要素となる。これを「場の論理」と呼び、欧米社会のように「資格の論理」(=能力・契約・専門性による個人の位置づけ)とは明確に異なるとする。
また、日本社会では -
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東大で名誉教授を務めた社会人類学者である中根千枝による書籍。
1967年発行。
日本の社会的構造を他国のそれと比較する形で分析し、その特徴を解明することが本書の主題とされている。
本書における筆者の主張をまとめると、下記の3つである。
①日本社会における集団意識では「場」が優先される
② 日本人は「ウチ」「ヨソ」の意識が強く、人間関係の機能の強弱は実際の接触の長さ、激しさに比例する
③日本の組織の階層は強い「タテ」の関係で構成される
①は、一定の個人から成る社会集団の構成の要因は、二つの異なる原理「資格」と「場」の共通性に大分できるという前提に立つ。
「資格」とは、社会的個人の一定 -
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本書は1967年に初版が出されたものではあるが、現代社会の会社の中に、そして政治を動かす政党、官僚組織にも概ね当てはまる内容である。少なくとも私が所属する会社も一般的には社員規模数万人の大企業と言われ、本社組織だけでも1000人以上が働く会社であり、本書の言うタテの構造が全く当てはまっている。今日も誰かが書いた稟議書を眺めながら、誰かが提出してくる企画書を忙しく眺めながら、「そこだけ担当してる立場ではないから、こんなに専門的に(さも知ってるかの様に)書かれても解らないよ」との考えを頭の隅に追いやって、まるで無意識でもある様に書類を決裁者に回す。時折、自分の存在に自信を失うほど、決まりきったタテ
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まちライブラリーの女性スタッフに勧められたまちライブラリーにあった本です。
まえがき
プロローグ 日本の先輩・後輩関係
第1章 タテの関係とは?
第2章 タテ社会の「いま」
第3章 「タテ」の発見
第4章 これからのタテ社会
エピローグ 場は一つとは限らない
付録 日本的社会構造の発見――単一社会の理論 1964年中央公論
1序論
2資格と場による集団構成
場を強調する日本社会
3集団成員による全面的参加
集団の結束と孤立を招く一体感の強調
地域的で接触的な人間関係
4「タテ」組織による人間関係
「タテ」の関係 序列の発達 対立でなく並立の関係
5集団内部の構造
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1967年に書かれた本なのに、今となんら変わっていない。日本社会の単一性、「場」による集団の形成は、身をもって感じているが、認識は出来ていなかった。インドや他の国との対比では、こんなにも違うのかと驚いた。
複数の場への所属は、日本人は心理的にすごく抵抗があるが、中国の方はどんどん転職されていた。
親分・子分や序列意識では、笑ってしまうぐらい身の回りで起きている「タテ」の関係だった。能力主義も序列システムの枠内の狭い範囲で、改めて見回してみると確かにそうだと感心してしまった。
「タテ」から抜け出して、生産的な会議が開催される日はまだまだ遠そう。 -
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日本人が大好きな<タテ社会>という言葉を世に広めたすごい本。
人類学者の著者が人間関係や組織・集団について分析したもので、世界的に見て独特な日本の社会構造を丸裸にしてこき下ろし、トドメを刺しつつ最後にお情けでちょっとだけ光を照らしていくスタイルとなっている。
したがって、伝統ある日本的組織に臣従している愛国心に溢れたピュアな企業戦士のような人が読むと、かえって気分を害することになるでしょう。
いっぽうで、ある程度社会経験を積んでおり、会社という組織に違和感を覚えながらもやもやとした社畜生活を送っている大多数の人にとっては、言いたいことを全部言ってくれている気持ちの良い著作です。
初版1963年 -
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名著『タテ社会の人間関係』を著者自らが解説し、さらにその理論を現代日本が抱える問題に適用することを試みた本。
『日本的社会構造の発見 単一社会(ユニラテラレル・ソサエティ)の理論』附録。
以下、『タテ社会の人間関係』の内容整理。
日本の社会的構造を他国のそれと比較する形で分析し、その特徴を解明することが本書の主題とされている。
本書における筆者の主張をまとめると、下記の3つ。
①日本社会における集団意識では「場」が優先される
② 日本人は「ウチ」「ヨソ」の意識が強く、人間関係の機能の強弱は実際の接触の長さ、激しさに比例する
③日本の組織の階層は強い「タテ」の関係で構成される
①は、