北川知子のレビュー一覧

  • 逆境に生きる子たち トラウマと回復の心理学

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    圧倒的な事例の多さと具体的な生きざま。スーパーノーマルという言葉は逆境体験の過酷さをポジティブに塗り替えすぎかとも思ったが、なんとか生きのびてきた生へのまっすぐな肯定の言葉でもあるか。100人いれば100通りのレジリエンスがあり、しかしそのどれもに共感する点がある。負けないでとか相談してねとか、無力な言葉を言われるずっと前から、子どもたちは考え行動しているのである

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    2026年06月15日
  • 海の地政学 海軍提督が語る歴史と戦略

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    海の地政学
    海軍提督が語る歴史と戦略

    著:ジェイムズ・スタヴリディス
    訳:北川 知子
    ハヤカワ文庫 NF532

    NATO軍の欧州連合軍最高司令官まで務めた、US海軍提督の7つの海の見聞録といった内容です。

    超大国には、シーパワ:海軍を中心とした海洋国家と、ハートランドパワー:陸軍を中心とした大陸国家に2種類があります。

    ロシア、ドイツに代表されるハートランドは、広大な国土を持つ大国であるが、シーパワは、スペイン、オランダ、イギリスは小国にもかかわらず、長大な海岸線と良港をもち、効率的に大海を支配している。

    モンロー主義をとっていた、アメリカは、カリブ海で、フィリピンで、スペイン艦隊を打ち破り、シーパワーとしての大国の道を歩み始めた

    アメリカは、ベトナムでは敗れたが、二つの大戦を勝ち抜き、カリブ海を制し、パナマ運河を奪取し、冷戦を生き抜いた。7つの艦隊は世界をカバーしているが、著者は、第8艦隊を創設して世界平和に貢献すべきと称する

    気になったのは、以下です

    ■太平洋

    ・太平洋と命名したのはマゼラン
    ・イギリスは狭い海峡で大陸と接しているに対して、日本は長い間海洋に守られてきた
    ・ペリーは日本に来なければならなかった、なぜなら捕鯨船の補給基地が必要であったから
    ・ロシアが破れたのは、国内情勢が安定し、かつ、新しい技術を日本が導入していたから
    ・アメリカが太平洋を制することができたのは、ハワイ諸島を占有できたから
    ・ミッドウェイの幸運とは、15分のズレで、日本は空母から戦闘機が離陸できず、無防備のまま被弾した
    ・ミッドウェイ以後、米軍は、2つの道をたどった。
     ニミッツは、北太平洋を島伝いの北上し、マッカーサーは、オーストラリアからフィリピンへと、北上した。
    ・中国の防衛支出増加は他の国と不釣り合いなほど、大きな割合を占める。26%の増加
    ・日本は、ミサイル防衛、空中偵察、最新鋭航空機を導入し、事実上世界第二位の海軍力を有している

    ■大西洋

    ・大西洋航海へ始めた乗り出したのは、800年から1000年ごろのバイキングの活躍による
    ・大西洋を海と陸の両方で発見して植民化したのは、ポルトガル人の探検家たちである
    ・14~15世紀にかけて、航海術が飛躍的に進歩した
    ・バスコ・ダ・ガマ、コロンブス、ポルトガル人がカリブ海や南アメリカ大陸を目指したのに対して、イギリス人や、フランス人は北アメリカ大陸を目指した
    ・国王に保護されているイギリスの海賊船は、スペインとの闘いで戦略兵器になった
    ・ルーズベルト大統領は、高性能の戦艦と巡洋艦による外洋海軍を創設した
    ・1916年末にドイツのUボートによる警告なしの攻撃が始まったが、水上レーダや、ソナー、暗号解読などの新技術を生み出し、ドイツに勝利した
    ・フォークランド紛争は、水上艦が空からの攻撃にいかに脆弱かを示す好例となった

    ■インド洋

    ・イギリスの湖、オマーン、ケニア、インド、イギリスはインドへの道にある海洋を自国の海とした
    ・地政学的な重要地、それは、スエズ運河、そして、シンガポールだ
    ・アメリカは第二次世界大戦後、シンガポールと密接な関係を築き上げ、太平洋から、インド洋へ海上航路は確保した
    ・インド洋の不安定要素、それは、イランとサウジの対立、インドとパキスタン、インドと中国の確執だ
    ・インド洋は、世界の郵送量の50%、原油の70%が通過する重要な海域だ

    ■地中海

    ・地中海の重要度は、東西文明が交差する海であり、シチリア、サルディニア、マルタ、クレタ、どれもが海域に点在する重要拠点となりうる
    ・ギリシア、ペルシア、ローマ、そして、イスラムとキリスト教徒との対立は、十字軍という災厄を生むことになる
    ・18世紀、イギリスが地中海の覇権争いに加わる。いうまでもなく、インドへの道を確保するためだ
    ・第二次世界大戦で、連合国は、北アフリカから、シチリア島、イタリアを攻略してドイツの背後から迫った
    ・冷戦時代を通じて、アメリカは、イタリアの第六艦隊が地中海を哨戒した。NATO軍とソ連原潜との追跡、それから、スエズ運河を超えれば、直接ペルシャ湾や、インド洋にも展開することができる
    ・黒海は、ウクライナやシリアへと向かうロシアの生命線だ

    ■南シナ海

    ・中国のプレゼンスが、南シナ海を危険な海としている
    ・かつての南シナ海の重要度は、ベトナム戦争にあった
    ・南シナ海の北端に位置する台湾は、中国を押さえるための重要な拠点である、冷戦時代をふくめて、アメリカは、台湾を軍事的に支援しつつけている
    ・もう1つのリスクは、北朝鮮の存在だ。日本、韓国、ロシア、北朝鮮、中国、台湾の領域は、冷戦終結後も軍備拡張を続けらえている、危険の海域である

    ■カリブ海

    ・もっとも危険な海、犯罪率が非常に高く、人口10万人当たり暴力による死亡率が最大である
    ・カリブ海を通じて、麻薬はアメリカ本土のもたらされている
    ・カリブ海はアメリカの内海である、カリブ海からパナマ運河を経由して、太平洋へ艦隊を展開できる
    ・そのために、アメリカは、パナマ運河を奪取した
    ・そしてカリブ海諸国は、アメリカの干渉をうけていて、政変や経済援助を受けている

    ■北極海

    ・北極海は、いまだに闘いを経験していない海洋である
    ・原油や天然ガス、ニッケル、ぷらちな、コバルトなど、北極海には豊富な資源が眠っている
    ・地球温暖化の影響で、氷にとざされていた、北極海は、北西航路として通行実績が急速に高まっている
    ・北極海は、ロシア、カナダ、ノルウェー、アメリカ、デンマークの利害がひしめていて、統治が混乱している
     そのため、国連海洋法条約に加えて、北極評議会がある

    ■ソマリア近海

    ・ソマリア沖での海賊行為は、アル・シャバブとアルカイドの結びつきも垣間見えた
    ・東北アフリカでは長い間内戦がつづけられていて、対立や略奪行為が絶えないため、合法的に生計を立てるのがむずかしい、しかも、かれらは、多く漁民であった
    ・NATOの取り締まりが強化された結果、海賊は減ったが、反対側のギニア湾での活動が盛んになってきた

    ■アメリカの海軍戦略

    ・海軍少将であったマハンは、アメリカ海軍にシーパワーという概念をもたらした。
    ・シーパワーを適切に使用すれば、イギリスのように、世界を制することができる。いわんや、アメリカしかり
    ・マハンはオープン・グローバル・コモンズという考えを提唱した。それは公海の航行や、通行の権利、国際海洋法条約の重要性である
    ・マハンから今日にかけて、戦争行為が陸、海、空の個別にではなく、統合一体運用というシームレス指揮統制、それを可能とするものは、情報通信技術、サイバー戦争などの高度技術だ
    ・海洋に敷設されている海底ケーブルを切れば、強力な攻撃手段となる。インターネットの大半は、海底ケーブルを通じて通信されている
    ・アメリカのもっとも強力な海軍は、第7艦隊であり、グアム・沖縄を中心に配備されている。その対象は南シナ海であり、拡大しつつある中国海軍だ。

    目次

    日本の読者へ
    はじめに 海はひとつ
    第1章 太平洋 すべての海洋の母
    第2章 大西洋 植民地支配のはじまり
    第3章 インド洋 未来の海洋
    第4章 地中海 ここから海戦は始まった
    第5章 南シナ海 紛争の危機
    第6章 カリブ海 過去に閉じ込められて
    第7章 北極海 可能性と危険
    第8章 無法者の海 犯罪現場としての海洋
    第9章 アメリカと海洋 二一世紀の海軍戦略
    謝辞
    解説 海を知り尽くした提督の描く海洋地政学
    参考文献および世界の海洋に関する推奨文献

    ISBN:9784150505325
    出版社:早川書房
    判型:文庫
    ページ数:400ページ
    定価:960円(本体)
    2018年11月20日印刷
    2018年11月25日発行

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    2025年01月08日
  • 道徳感情論

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    人間道徳の本質は何なのか。そしてそこにおいて大きな役割を果たす共感とは何なのか。

    アダム・スミスはこの著作で明らかにしていきます。

    私がこの本を読んで驚いたのはアダム・スミスの観察力の鋭さでした。

    読んでいて思わず「よく観てるな~この人は」とうならざるをえない場面が何度もありました。


    これは名著です!ぜひ読んで頂きたい作品です!おすすめです!

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    2024年08月19日
  • 逆境に生きる子たち トラウマと回復の心理学

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    大きな傷を負ってしまった人やその家族に合う本。大変な思いをしている時はこんな上手くいく訳ない…なんて思う部分もあったが、時間が経ってみると大切なことがしっかり書かれていたと感じる。自分たちの持っている力を信じ粘り強く、時にはストレスから距離をとり自分たちを守り、1人で抱えず相談し、健康やストレス対策を大切にして過ごしていきたい。

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    2023年08月04日
  • 道徳感情論

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    何とも言えない満足感が得られる書籍でした。ただ中身が非常に濃いので(ページ数も700ページほどある)、正直最初の方の議論がほとんど頭から抜けつつあり、なんとか時間を見つけて2度目に挑戦したいと思います。

    冒頭にノーベル経済学賞受賞者でもあるアマルティア・センの序文がありますが、これだけでもお金を取れるレベルです。アダム・スミスの代表作である「道徳感情論」と「国富論」、表面的に読むと、同一人物が書いたとは思えない、あるいは互いに主張が矛盾しているという印象を持つ人は多いかもしれません。前者が「徳」「正義」「共感」などを論じているのに対して、後者はそのような感情を排した「利己心」を中心に経済メカニズムを論じているように見えるからです。しかし私自身は本書を読んで、道徳感情論こそがアダム・スミスの包括的な書であり、その中の「交換メカニズム」について詳細に分析したものが「国富論」であるという見方をしたいと思います。実は「道徳感情論」は、「国富論」に先立って執筆されましたが、その後亡くなる直前までスミスは「道徳感情論」を加筆・修正しています(日本語版も最終版をもとにしています)。つまり、アダム・スミスは若かりし頃に道徳や共感のメカニズムを本(道徳感情論)にしたけれども、宗旨替えをして利己主義が経済メカニズムの中心だ(国富論)と論じるようになったわけではないのです。むしろスミスの頭の中心には「道徳感情論」で書いたこと(あるいは書ききれなかったこと)があって、その中の極めて狭い領域について詳細に議論したのが「国富論」だと考えるべきです。

    センが指摘しているように、「道徳感情論」は「国富論」ほど注目されていませんが、その理由は、本書がカバーするテーマの包括性(幅広さ)にあるのではないかと感じました。取り上げているテーマの広さと、それぞれについて複数の説を丁寧に解説しているので、何冊もの専門書を一気に読んでいるような感じがする、つまり悪く言うとキーメッセージが頭に残らないのかもしれません(対照的に、国富論では見えざる手などのキーコンセプトが明瞭に頭に残ります)。逆に言えば本書からは、アダム・スミスの知識の恐ろしいほどの広さ、また視野の広さをうかがいしることができます。視野の広さを示す例として、本書でたびたび登場する「中立の観察者」があります。人が何か行動を行う際に、心の中にいる「中立の観察者」がそれをどう感じるか(称賛するのか、恥ずかしいことだと思うのか、やり過ぎだと思わないだろうか、など)を考えよということなのですが、センはこの概念を「開かれた中立性」と呼び、ジョン・ロールズの「公正としての正義」が論じている「閉じた中立性」よりも優れていると評価しています。

    資本主義の限界が議論されるにつれて、最近マルクスブームがまた起こっているようです。マルクス主義者がマルクスの再評価を試みる本が巷にあふれていますが、私自身ははっきりいって食傷気味です。マルクスではなく、むしろアダム・スミスこそが再評価されるべき人物である、そして「道徳感情論」の中に資本主義の進路変更の答えがあると私は思います。

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    2023年05月06日
  • 海の地政学 海軍提督が語る歴史と戦略

    購入済み

    地政学とは

    50年来のミリオタで、道具・兵器マニアだが、「戦略」というものを意識し出したのは、30才くらいから。その戦略策定の重要なファクターに、「地政」があり、「地政学」という学問があることは、40才くらいから知ってはいたが、関連書籍を手に取ったのは初めてなのだ。
    星五つなのはそのせいもあるが、やはり著者の経歴から、頷かされる事が多々あった。それに、地球規模の戦略策定は、基本的に海洋地政学的アプローチがベースになるのは、妥当な考え方だろう。
    半分偶然だが、良書に出会った、と思っている。
    それに、ハードカバー版のレビューにあったような誤訳も、この文庫版には見受けられない。

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    2020年01月16日
  • 逆境に生きる子たち トラウマと回復の心理学

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    貧困や虐待、家庭の問題など複雑で深刻な生育環境の中で非常に健康で健全な成長を遂げ、優秀な成績を収め人格も立派で努力家…という人が一定の割合で現れ、彼らは「レジリエントな人」と呼ばれる。虐待について少し学ぶとレジリエンスを身につけることがその人の人生をよりよくすることに役立つ、とテキストなどによく書いてある。
    本書はわれわれのような支援者が安易に「レジリエントであれ」と言いたくなる風潮に待ったをかける非常に重要な一冊だった。

    著者はレジリエントな人々のうち、特に社会的に大きく成功するほど高い能力を発揮した人々を「スーパーノーマル」と名付ける。「ノーマルを超えたノーマル」になるための努力、のみならずその孤独、不安、恐れ、他人を信じることの困難、人と親密な関係を結ぶことへの葛藤。これらと戦い息つく間もなく緊張しながら生きているスーパーノーマルたちの姿を冷静かつ誠実に描く本書は対人援助を仕事にするあらゆる人の必読書であると思う。

    何度も読み返して学びたい本。
    翻訳も日本語としてたいへん読みやすく素晴らしかった。読み進めるのにストレスを感じないのは最高。

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    2019年03月14日
  • 帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略

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    ネタバレ

    [その思考,星条旗を支えて]40年以上にわたって米国防総省のネットアセスメント室長を務めたアンドリュー・マーシャルの働きと,その期間における米国の国防戦略をまとめた作品。「ペンタゴンのヨーダ」とも称された人物の頭の中に深く入り込む話題作です。著者は,自身もマーシャルの下で働いた経験を有するアンドリュー・クレピネヴィッチと国防総省で計画分析評価室長等を歴任したバリー・ワッツ。訳者は,アダム・スミスの『道徳感情論』等を翻訳されている北川知子。原題は,『The Last Warrior』。


    冷戦期から今日に至るまでの著名な数々の戦略がマーシャルの発想に大きく依っていることに驚かされることはもちろんなのですが,そのマーシャルを,国防の中枢にいわば囲い続けた米国という国にも驚嘆させられます。「日本は戦術には長けているが戦略がない」ともよく言われますが,では戦略とそれを生み出せる環境があるということはどういうことなのかを知るためには打ってつけの一冊かと。

    〜「私は,見当違いの問いにもっともらしい答えを出すのではなく,正しい問いに対してまずまずの答えを出したい」〜

    様々な書評で高評価を得ていますが,それも宜なるかな☆5つ

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    2016年12月12日
  • 情熱教室のふたり

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    学力格差とたたかう学校「KIPP」の物語というサブタイトルに惹かれてこの本を手に取りました。実際いい内容の1冊です。「KIPP」の授業を実際に見てみたくなりました。映画化してほしい作品です。

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    2013年04月01日
  • 帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略

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    戦後のアメリカ安全保障を誰よりも予見したアンドリュー・マーシャルの活動まとめ。核戦争を恐れる冷戦からテロとの戦い、軍事革命、中国の台頭までを扱う。本書はアメリカよりも中国で注目されているというから不気味極まりない。敵との戦力差をどう評価するかを徹底するネットアセスメントとは何か、あくまで戦略の提言や解決案を出さない意義は何か。激動で先行き不透明な時代は今に限られた話ではない。しかしロングスパン(10年〜20年)で起こるであろう見通しを予測する方が難易度は低く、それを見越して平時から準備しておくことが求められる。兵器や兵士の静的な数量だけでは勝ち負けを測れないのは古代から歴史が繰り返す通り。兵站や経済力のみならず、組織マネージャーの文化的な背景や嗜好による影響も考慮に入れる。マーシャルがすごいところは、知的好奇心が高く、モノの本質を見極める力。国家も軍も人間の組織であるから、企業の組織分析を横展開するなど、問題の共通点を探る洞察力が鋭い。企業間競争の戦略などに対しても有効な視点を与えてくれる良書だ。マーシャルの分析・評価は素晴らしかったが、実際にアメリカの政策に落とし込まれるまで相当なタイムラグがあるのがもどかしい。すでに空母による打撃群は対艦ミサイルの格好の標的となるし、何ならより安価な機雷やドローンでも十分な損害を出すことができる。アメリカの海外基地に待機する航空機は滑走路近辺に剥き出し状態で警戒も疎かだ。これからは陸上兵器の自動化やAI活用など、技術的には新たな軍事革命の到来となっているが、ハードだけでなく、それを運用していく組織やソフトこそが重要になってくることが本書で分かる。そして先を見越して平時に準備を進めて改革していくことが不可欠だ。
    ネットアセスメントのネットが何か、これはゴルフのネットスコアのネットだとイメージすれば一番多くの人がしっくり来ると思った

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    2026年09月30日
  • 海の地政学 海軍提督が語る歴史と戦略

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     NATO軍最高司令官を務めたことのある著者が、豊富な経験と深い知識により世界の7つの海について語ってくれる。
    世界史が個別の国の歴史ではなく、7つの海それぞれの単位で語られると、違う角度から世界史を見ることになりとても勉強になった。全ての海に実際に行ってそこで仕事をしている経験に基づいているので、机上の伝聞記述ではなく、直接経験記述が書けるのが著者の強みだ。

    最後に「無法者の海」ということで、
    1. 海賊行為
    2.漁業
    3.環境
    を取り上げているのだが、世界の海はとても深刻な問題を抱えている。特に世界の海が急速に汚染されている現実を私たちはまだ十分知っていない。
    全ての汚染は、最終的には海へ流れる。人間が生み出す余分な熱の90%以上が最終的には海に影響する。海水温度に上昇は、海底と海面の海流(湧昇流)を減少させ、そのため深海の栄養分を表層に運んでこないばかりか、塩分濃度も減少して酸性度が高まりオゾンの枯渇を招いている。
    世界中の魚種の60%以上が再構築を必要とされている。

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    2021年05月19日
  • 逆境に生きる子たち トラウマと回復の心理学

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    このような本は世にたくさんあるが、この本の良いところは各章の表題になぞらえた実話の数々である。この実話があることで、本来受けたことのない境遇は理解できずに理論だけ読み進めることになってしまう読者を、きちんと境遇を追体験しながら読み深めることができた。体系だってまとまっている本とは言えないものの、子供がいるかたはぜひ読んでほしい本です。

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    2021年04月05日
  • 逆境に生きる子たち トラウマと回復の心理学

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    ネタバレ

    臨床心理士の筆者による様々なレジリエントの事例。
    みんな悩み苦しんでいる。社会に適応するということは周りに助けを自ら求めにいくことでもある。愛情を受け取ると人は成長し幸せになることができる。両親だけではなく、親戚、パートナー、友人、先輩、上司多岐にわたるそれら全て自分にとってポジティブな効果をもたらす。

    ・ファイターとしての自覚を持つこと
    ・秘密を打ち明けられる誰かを見つけよう
    ・おとなとして自分を大切に扱おう
    ・ストレスから心理的距離、物理的距離を取ろう
    ・あなたが人生で出会ったいい人たちの存在を、悪い人たちよりも重視しよう。感謝している人の名前をリストアップし、心のこもった手紙を書こう。大切な人たちを思い出すために毎日写真をみよう。彼らがあなたのために戦ってくれたのと同じように、その大切さ、あなたの人生、脳にとっての大切さを忘れないでいよう。
    ・愛する人、愛してくれる人を見つけよう。
    ・子どもがいるならこんな親が欲しかったと願ったような親になろう。(レジリエンとは幼少期の「こうして欲しかった」という記憶を強く持っている。これは今後の役に立つ)
    わが子を傷つける全てのものから守りたい、わが子を強くしたいという衝動に抗おう。子どもが苦難に見舞われたときは耳を傾け、受け入れよう。見過ごさず、言葉で表現し、問題を解決しよう。愛情を忘れてはいけない。どうすればいいかはわかっているはずだ。
    ・自分を、そして出会う人たちをできる限り大切にしよう。出会う誰もが困難な戦いを続けているわけではないとしても、既にわかっているように、大勢の人たちが今も戦いの最中にいる。

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    2021年02月12日
  • 逆境に生きる子たち トラウマと回復の心理学

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    様々な劣悪な環境に逃げ出したくなる。
    実際逃げ場はなく、スーパーノーマルという鎧を身につける過程に驚嘆。
    世の中には沢山の逆境に生きる子どもたちがいるのだなぁ。



    巻末解説より(香山リカ)

    レジリエンス(打たれ強さ、抵抗力)

    スーパーノーマルはマイナスを大幅なプラスにまで持っていける人

    スーパーノーマルたちが抱えているトラウマが消えることはない。

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    2020年07月11日
  • 海の地政学 海軍提督が語る歴史と戦略

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    覇権国家振り返り記的な。
    歴史経済政治地理の観点から、海戦とその背景を知ることができる。地政学の面白さは、この歴史と地形的優劣がかみ合わさることにあると思う。

    筆者の引用のうまさにも驚かされる。シェイクスピア、テンペストからの引用で始まることからわかるように、文学的要素も楽しめる。また軍司令部にいたような歴戦の猛者のエピソードも出てきてよかった。

    南シナ海への執着、北極協議会、マハンアプローチ、サイバー空間と海軍のつながりの話は知れてよかった。
    ただ、シーパワーを強める根拠の多くは北朝鮮への憂慮だったのは結構ショック。時間の問題か。

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    2020年04月01日
  • 海の地政学 海軍提督が語る歴史と戦略

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    オーソドックスな海の地政学。
    著者がアメリカ海軍の船乗りであったために、重要拠点となる港や海洋の経験による描写が良いので、学者の資料至上主義のアプローチとは異なり、ちょっとした旅行気分も味わえる。

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    2018年12月13日
  • 帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略

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    ネタバレ

    『暗流』>『乱流』からの流れで読んだ。
    「ペンタゴンのヨーダ」「冷戦のラストウォリアー」
    確かに、『ゲームチェンジャー』『概念を生み出すもの』『指針を提供するもの』だな。
    勿論、彼のシンの功績は『機密保護の壁』で全貌がわからんのだが(何処まで、彼の提供した者が実際の製作に繁栄されたのかいまいちわからん)それでも、彼の影響を受けた弟子達のそうそうたる面々を聞けば、少なくとも、『ペンタゴンのヨーダ』としての功績は想像が出来る。
    そして、合衆国(軍)のような巨大組織が進路/方針を変えるには時間がかかる。時間がかかる以上、更にその先を見据えて『指針』を提供する者は極めて重要であることも。

    最後に、解説の『ネットアセスメント』のネットは、『ネットの収支』のネットであり、それに即して訳せば『差し引き相殺評価』というのはとてもわかりやすかった。

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    2018年10月14日
  • 道徳感情論

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    国富論に並ぶアダム・スミスの主著。

    「道徳感情論」と「国富論」前提となる人間観が、共感的か、エゴイスティックかということで矛盾しているみたいに言われることもあるが、「道徳感情論」の初版は、「国富論」出版前だが、「道徳感情論」の第6版は、「国富論」の出版後に出ていることから、アダム・スミスとして、この2冊には、一貫した人間観があると考えて良いはず。

    実際に読んでみると、人間の共感性を基本としているが、同時にエゴイスティックな面やしょうもないまでにセコイところ、とほほな面もしっかり観察している。

    そして、そういうしょうもなさも含めて、自然、神の大きな意思(見えざる手)のもとでは、全体としてOKなんだとおおらかに包み込む感じ。

    個人的には昔の哲学は、言葉の定義から初めて、そこから演繹的に展開していくイメージがあるが、ここはイギリス経験論の世界。日常の観察を積み上げながら、論を一つ一つ進めていく感じですね。(なので、この議論って、MECEなんだろうか?とか思ってしまう)

    親しみやすい卑近な例も多いが、時代的になんとなくピンとこないところも。

    色々な日常的なお話の積み上げだし、18世紀のイギリスと21世紀の日本の文脈の調整をする必要があるので、なかなか全体が見晴らせない。

    とりあえず全体を通読したが、まだまだ、その偉大さは見えてこない感じ。

    でも、スミスさんって、いい人だったんだろうな〜、みたいな人柄は伝わってくるな〜。

    次は、「国富論」に進め、もう一度、「道徳感情論」に戻ることとする。

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    2018年08月04日
  • 経済指標のウソ 世界を動かす数字のデタラメな真実

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    原題が正しく、The Leading Indicators: A short history of the numbers that rule our world.
    経済統計の歴史で、欠乏の時代に作られた、GDPや失業率は現代の先進国にはマッチしていない。また、ITをきちんと使っているわけではなく、恣意性の高いものを高コストで作っている面がある。ただ新しいものにすると、過去との比較ができなくなってしまうのが難点。また幸福のようなものを測る指標はまだ確立されておらず、こういった新しい状況に対しては複数の指標を組み合わせて作ることが今の技術であればできるしそうすべきであるとする。

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    2017年06月13日
  • 経済指標のウソ 世界を動かす数字のデタラメな真実

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    経済指標の歴史と限界がよく分かる。

    それにしても日本語のタイトルは詐欺に近い。
    The Leading Indicators --- A Short History of the Numbers that Rule Our World が原題なのだが。
    真の姿を写していないからウソというのはなんだかな~。
    デタラメな真実というのもおかしい。

    書評で知って予約。結構待って入手

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    2017年05月30日