北川知子のレビュー一覧
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海の地政学
海軍提督が語る歴史と戦略
著:ジェイムズ・スタヴリディス
訳:北川 知子
ハヤカワ文庫 NF532
NATO軍の欧州連合軍最高司令官まで務めた、US海軍提督の7つの海の見聞録といった内容です。
超大国には、シーパワ:海軍を中心とした海洋国家と、ハートランドパワー:陸軍を中心とした大陸国家に2種類があります。
ロシア、ドイツに代表されるハートランドは、広大な国土を持つ大国であるが、シーパワは、スペイン、オランダ、イギリスは小国にもかかわらず、長大な海岸線と良港をもち、効率的に大海を支配している。
モンロー主義をとっていた、アメリカは、カリブ海で、フィリピンで、スペイン艦隊を -
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何とも言えない満足感が得られる書籍でした。ただ中身が非常に濃いので(ページ数も700ページほどある)、正直最初の方の議論がほとんど頭から抜けつつあり、なんとか時間を見つけて2度目に挑戦したいと思います。
冒頭にノーベル経済学賞受賞者でもあるアマルティア・センの序文がありますが、これだけでもお金を取れるレベルです。アダム・スミスの代表作である「道徳感情論」と「国富論」、表面的に読むと、同一人物が書いたとは思えない、あるいは互いに主張が矛盾しているという印象を持つ人は多いかもしれません。前者が「徳」「正義」「共感」などを論じているのに対して、後者はそのような感情を排した「利己心」を中心に経済メカ -
購入済み
地政学とは
50年来のミリオタで、道具・兵器マニアだが、「戦略」というものを意識し出したのは、30才くらいから。その戦略策定の重要なファクターに、「地政」があり、「地政学」という学問があることは、40才くらいから知ってはいたが、関連書籍を手に取ったのは初めてなのだ。
星五つなのはそのせいもあるが、やはり著者の経歴から、頷かされる事が多々あった。それに、地球規模の戦略策定は、基本的に海洋地政学的アプローチがベースになるのは、妥当な考え方だろう。
半分偶然だが、良書に出会った、と思っている。
それに、ハードカバー版のレビューにあったような誤訳も、この文庫版には見受けられない。 -
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貧困や虐待、家庭の問題など複雑で深刻な生育環境の中で非常に健康で健全な成長を遂げ、優秀な成績を収め人格も立派で努力家…という人が一定の割合で現れ、彼らは「レジリエントな人」と呼ばれる。虐待について少し学ぶとレジリエンスを身につけることがその人の人生をよりよくすることに役立つ、とテキストなどによく書いてある。
本書はわれわれのような支援者が安易に「レジリエントであれ」と言いたくなる風潮に待ったをかける非常に重要な一冊だった。
著者はレジリエントな人々のうち、特に社会的に大きく成功するほど高い能力を発揮した人々を「スーパーノーマル」と名付ける。「ノーマルを超えたノーマル」になるための努力、のみな -
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ネタバレ[その思考,星条旗を支えて]40年以上にわたって米国防総省のネットアセスメント室長を務めたアンドリュー・マーシャルの働きと,その期間における米国の国防戦略をまとめた作品。「ペンタゴンのヨーダ」とも称された人物の頭の中に深く入り込む話題作です。著者は,自身もマーシャルの下で働いた経験を有するアンドリュー・クレピネヴィッチと国防総省で計画分析評価室長等を歴任したバリー・ワッツ。訳者は,アダム・スミスの『道徳感情論』等を翻訳されている北川知子。原題は,『The Last Warrior』。
冷戦期から今日に至るまでの著名な数々の戦略がマーシャルの発想に大きく依っていることに驚かされることはもちろ -
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NATO軍最高司令官を務めたことのある著者が、豊富な経験と深い知識により世界の7つの海について語ってくれる。
世界史が個別の国の歴史ではなく、7つの海それぞれの単位で語られると、違う角度から世界史を見ることになりとても勉強になった。全ての海に実際に行ってそこで仕事をしている経験に基づいているので、机上の伝聞記述ではなく、直接経験記述が書けるのが著者の強みだ。
最後に「無法者の海」ということで、
1. 海賊行為
2.漁業
3.環境
を取り上げているのだが、世界の海はとても深刻な問題を抱えている。特に世界の海が急速に汚染されている現実を私たちはまだ十分知っていない。
全ての汚染は、最終的には海 -
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ネタバレ臨床心理士の筆者による様々なレジリエントの事例。
みんな悩み苦しんでいる。社会に適応するということは周りに助けを自ら求めにいくことでもある。愛情を受け取ると人は成長し幸せになることができる。両親だけではなく、親戚、パートナー、友人、先輩、上司多岐にわたるそれら全て自分にとってポジティブな効果をもたらす。
・ファイターとしての自覚を持つこと
・秘密を打ち明けられる誰かを見つけよう
・おとなとして自分を大切に扱おう
・ストレスから心理的距離、物理的距離を取ろう
・あなたが人生で出会ったいい人たちの存在を、悪い人たちよりも重視しよう。感謝している人の名前をリストアップし、心のこもった手紙を書こう。 -
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ネタバレ『暗流』>『乱流』からの流れで読んだ。
「ペンタゴンのヨーダ」「冷戦のラストウォリアー」
確かに、『ゲームチェンジャー』『概念を生み出すもの』『指針を提供するもの』だな。
勿論、彼のシンの功績は『機密保護の壁』で全貌がわからんのだが(何処まで、彼の提供した者が実際の製作に繁栄されたのかいまいちわからん)それでも、彼の影響を受けた弟子達のそうそうたる面々を聞けば、少なくとも、『ペンタゴンのヨーダ』としての功績は想像が出来る。
そして、合衆国(軍)のような巨大組織が進路/方針を変えるには時間がかかる。時間がかかる以上、更にその先を見据えて『指針』を提供する者は極めて重要であることも。
最後に、解 -
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国富論に並ぶアダム・スミスの主著。
「道徳感情論」と「国富論」前提となる人間観が、共感的か、エゴイスティックかということで矛盾しているみたいに言われることもあるが、「道徳感情論」の初版は、「国富論」出版前だが、「道徳感情論」の第6版は、「国富論」の出版後に出ていることから、アダム・スミスとして、この2冊には、一貫した人間観があると考えて良いはず。
実際に読んでみると、人間の共感性を基本としているが、同時にエゴイスティックな面やしょうもないまでにセコイところ、とほほな面もしっかり観察している。
そして、そういうしょうもなさも含めて、自然、神の大きな意思(見えざる手)のもとでは、全体としてO -
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原題が正しく、The Leading Indicators: A short history of the numbers that rule our world.
経済統計の歴史で、欠乏の時代に作られた、GDPや失業率は現代の先進国にはマッチしていない。また、ITをきちんと使っているわけではなく、恣意性の高いものを高コストで作っている面がある。ただ新しいものにすると、過去との比較ができなくなってしまうのが難点。また幸福のようなものを測る指標はまだ確立されておらず、こういった新しい状況に対しては複数の指標を組み合わせて作ることが今の技術であればできるしそうすべきであるとする。