三井美奈のレビュー一覧
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第二次世界大戦後の経済復興を支えたイスラム系移民たちの二世が、ホームグロウンテロリスト(Home-Grown Terrorist)として彼らの祖国の脅威となっている。経済成長が陰りを見せ、ヨーロッパの各国では移民たちを祖国に戻そうと思いこれ以上の移民流入を防ごうと思ったがそれは叶わず、その後増え続け今では各国の10~15%がイスラム系移民が占める現状。
戦後に来た移民たちの子供が出生国で市民権を得て現在二世三世としてヨーロッパで生活をし、約2000万人のイスラム系移民が存在している。
フランスは政教分離政策を取っているため、公共の場での宗教色を排除すべく国民の1割を占めるイスラム教女子の公共 -
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[殻の内幕]建国から数十年の間に、度重なる戦争と紛争を重ねつつその生存を保ってきたイスラエル。ハリネズミのように身を守りながら、今や中東の大国として国際社会の行方を決める要因ともなっているその国に赴任した著者が、あらゆる角度から国の外郭をなぞり、内奥に迫った一冊です。著者は、読売新聞の記者として国際畑を歩まれてきた三井美奈。
歴史、地理、外交、経済、社会と幅広い分野を網羅していることから、イスラエルを知る上での格好の入門書と言えるのではないでしょうか。特にイスラエル国内の問題のみにとどまらず、その視点が米国やアジアまで及んでいるところに好感が持てました。記者さんならではと言いましょうか、第一 -
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過激派テロの戦闘員になる西欧人の特徴。定職がない。イスラム教に帰依する前は、麻薬や窃盗などの軽犯罪に手を染めた不良。自由よりも、導いてくれる確かな存在を求めている。p.40
仏の情報当局はイスラム過激派が集まるロンドンを「ロンドニスタン」と皮肉った。ロンドンのイスラム過激派の二大拠点。フィンスベリー・モスク。イースト・ロンドン・モスク。p.56
イスラム過激派の考え方。アメリカ政府だけでなく、一般のアメリカ人も攻撃せよ。アメリカ人は投票を通じて政府と一体になっている。納税を通じて戦争に金を出している。女性や子供が犠牲になってもよい、それは海水の一滴のようなものだ。p.58
仏サルコジ大統 -
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イスラエルという国の基本的な考え方が良く分かる本。常に迫害を受けてきた歴史から、自分の身は自分の身で守る、やられる前にやるという意識が徹底している。平和ボケした日本とは考え方が根本的に違う。
・全国民の2%以下しかユダヤ人がいないアメリカが、あれほどまでにイスラエルを支持する理由。米国内ユダヤ人に富裕層が多いのも一つだが、政治的な力(対立する候補を徹底的に追い込んで落選させる力)を持つAIPACというロビー団体の存在も大きい。
・ユダヤ教の嘆きの壁(ユダヤ支配のソロモン王の時に建設されたエルサレム神殿が、バビロニア帝国とローマ帝国により破壊された跡)、イスラム教の岩のドーム(ムハンマドが昇 -
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異なる宗教は共存できるのか(イスラム教と、キリスト教)
イスラム抜きに、今の欧州は理解できない
20世紀は、ユダヤ教と、キリスト教、21世紀に入っては、イスラム教の影響も、3大一神教が
中東を発信源として、欧州を揺さぶっている
キーワードは、テロ、移民、文化の衝突、融合しない宗教、移民受け入れに伴う社会福祉費用の増大だ。
気になったのは、以下です。
・建国を宣言したイスラム国は人工増強策に女性を必要とした。男性戦闘員と結婚させ、次世代テロリストを産ませるためだ
・結婚できる歳を9歳としたのは、ムハマンドの妻アイシャが、6歳の時に嫁ぎ、9歳で性交したとの聖典の記述に由っている
・中東にわ -
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東京裁判、判事の中で最年少、オランダのレーリンク、遠い東洋の国で多数派判決と国からの圧力に悩みつつ独自意見を提出する。一人の法学者の日記から見たもうひとつの東京裁判。
東京裁判の管轄権に異議を唱え、文官の5被告の無罪を主張する独自意見を提出したオランダ人判事の日記。妻との確執、単身での来日、次第に日本の文化に魅力を感じていく。連合国でも英米法と大陸法の考えの違いからの意見の相違。パルとの友情などが情緒豊かに丹念に描かれている。
国際法と戦犯裁判の位置付け、母国からの圧力などに奮闘する様子が伝わってくる。
今さら東京裁判史観を否定するつもりはないが、事後の世界平和を願って真摯に活動した法律 -
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イスラエルについて引き続き学んでいる。
読んだ順番が良かった。
実際にイスラエルに行き→西加奈子『i』→遠藤周作『死海のほとり』→山井教雄『まんが パレスチナ問題』、で、本書。
土地勘、興味、キリスト教について、パレスチナ問題の概要を知った上で、イスラエルについて政治ふくめてどっぷり知る。
やっとすんなり読めるようになったのは、この読んだ順によるものと思う。無知すぎて。
アメリカ社会・政治(ロビー活動含め)とイスラエルの関係。イスラエル人の今、などなど。
恐ろしい気持ちになりつつ。勝手だな、アメリカ、イギリス、、、と思いつつ。
それでもやっぱりまるっと「イスラエル」とか「アメリカ」とか「 -
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2010年刊行。著者は読売新聞でエルサレム支局長を務めた記者。
イスラエル=なんとなくブッ飛んでる国くらいの個人的認識だったが、そんな定性的な感覚ではなく、多くの取材を通してこの国のリアルを描く。ユダヤ人票にコントロールされる米国議員、核開発・武器購入に伴う国際社会との駆け引き、ユダヤvsパレスチナ…読者を引き込む構成。
著者はイスラエルのことを「自分たちの国はら自分たちで守るしかない」、「ハリネズミのように身構える国」と書く。イスラエル独自の危機管理手法はユダヤ人迫害の歴史から形成されてきた。今世界で蔓延っている保護主義の先例とも言える。 -
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先に読んだ「言葉と爆弾」とともに、日経新聞で紹介されていた。日本ではその深刻さがよくわからなかったが、本書を読んでいずれ日本でも向き合わなくてはならない問題なのだろうということがよく理解できた。
「イスラム女性を研究するスイス・フリブール大の助手ジェラルディーヌ・カシュトに疑問をぶつけてみた。すると、『女性の多くは抑圧された人たちへの共感が強い。矛盾に満ちた社会に嫌悪感を抱き、正義の社会を作りたいと思っている。それで、『別のすばらしい世界がある』という過激派の訴えに引き寄せられてしまうのです』という答えが返ってきた。」
「欧米生まれの過激派が、シリアやイラクでテロ活動に加わった後、祖国に舞い