三井美奈のレビュー一覧
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「自分たちの国は自分で守る」ことを真摯に実践しているハリネズミ国家。
そのために国家間ベースでの関係性でのアプローチではなく、全世界のユダヤ人ネットワークを活用して、情報や資金を確保するという強固な民族主義を感じる。同様に中国の華僑という存在があるが、ここまで国家を真剣に支援はし得ないだろうと感じた。
特にロビー活動を通じて、アメリカの親イスラエル政策をコントロールしている点には圧巻。
第二次世界大戦後から、ほとんどゼロベースから経済だけでなく軍事的にも急成長させて現在に至る勢いは、確実に日本を凌いでおりす。間違いなく、核も保有していることでしょう。
年がら年中ほぼ戒厳令体制であり、女性も含め -
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一連のテロリズムの背景にあるヨーロッパとイスラム文化の根強い確執がうまくまとまっており、勉強になった。
本書のいうヨーロッパは、ほぼフランスのことを述べており、元大統領のシラク、サルコジは、政教分離を盾にベール禁止を法律化し、さらに国民の約8割はそのような政策を支持しているというから驚いた。
フランス国家は自由と平等を謳っているイメージが強いが、あくまで「我々に同化する場合にのみ自由と平等を付与する」という姿勢が、ホームグロウンテロリストを育んでしまっているように思う。
憎悪は物事の見方を変える力を持つ。お騒がせB級新聞(シャルリー・エブド)は自由の闘士に、異端扱いされた極右政党「国民戦線」は -
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2006~2009年に読売新聞エルサレム支局長を務めたジャーナリストが、1948年の建国以来世界に例のない極めて特殊な国家として存在しているイスラエルについて、網羅的かつコンパクトにまとめたもの。
イスラエルの特殊性は本書の中でも、
◆中心都市エルサレムは、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の三宗教の聖地であり、合計約40億人、世界人口の約六割が心を寄せる聖都である。
◆第一次大戦中の英国の三枚舌外交が生み出した国家である。
◆厳しいユダヤ教の戒律が生活を支配する、ユダヤ法に根差した「ユダヤ国家」である。
◆人口750万人で、埼玉県並みの規模にもかかわらず、世界中に広がる1,300万人のユダヤ人 -
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日本人にとって、中東問題は難しいことはなんとなく頭ではわかっているものの、イスラエルは遠くてよくわからない国というのが普通の感覚ではないでしょうか。本書はエルサレムに記者として駐在した著者による、イスラエルの内情のレポートで、読み応えがあります。
米国でのユダヤ系ロビー活動の影響力の凄さ、イスラエル国民の戦時意識と防衛力に関する意識の高さには驚きました。また、現代の若者は建国の時代を知らず、イスラエル、パレスチナ双方ともに、相手国の人々を生身で感じたことがない層が増えているという事実は、ロボット兵器の活用の増加ととに、将来への不安を感じざるを得ませんでした。 -
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「イスラエル」
人口750万の小国であるイスラエル。複雑な歴史の上に成り立つこの国は、度重なる戦争を切り抜け、そして現在アメリカを動かすに至る。このイスラエルの国としての強さはどこにあるのか?
先週でしょうか、池上氏のTVでパレスチナ問題を扱っていました。イスラム、キリスト、そしてユダヤの聖地であるエルサレムがあるパレスチナ。この宗教争いに見えて実は土地争い(きっかけは対戦中の英国)であるこの長い問題を見て、この本を読んでみようと思いました。
イスラエルは国際的に嫌われている国です。2008年の世界三十四カ国世論調査では「世界に悪影響を与えている国」という項目でイランに続き52%を獲得 -
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[ 内容 ]
大麻・売春・同性結婚と同じく、安楽死が認められる国オランダ。
わずか三十年で実現された世界初の合法安楽死は、回復の見込みのない患者にとって、いまや当然かつ正当な権利となった。
しかし、末期患者の尊厳を守り、苦痛から解放するその選択肢は、一方で人々に「間引き」「姥捨て」「自殺」という、古くて新しい生死の線引きについて問いかける―。
「最期の自由」をめぐる、最先端の現実とは。
[ 目次 ]
第1章 「死ぬ権利」がある国
第2章 オランダ安楽死の歩み
第3章 世界初の「安楽死法」
第4章 医療・福祉システムの基盤
第5章 制度を支える人たち
第6章 子供と痴呆高齢者
第7章 自殺との -
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超大国アメリカの官民挙げての支援をバックに、中東で孤立を続けるイスラエルの外交、国防や情報収集法を取材したルポ。
イスラエルはその強烈なロビイングパワーのみで米国の対イスラエル政策を動かしている。具体的には反イスラエル」と見られる議員や有識者に対して、落選するようキャンペーン(中傷)を張り、落選・指名撤回に追い込む。かくして、米国議員はユダヤロビーに真っ向から反対できなくなる。また、米国とイスラエルを「同床異夢」と評しているのは新発見であった。
オバマ米大統領が「核兵器廃絶」をめざすのもイスラエルの敵国であるイランの核開発を押し留めたい意欲と現れと聞いて納得した。あらためて、米国におけるユ -
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中東におけるユダヤ人とアラブ人の争いには、日本から遠く離れた地とは言え以前から興味があった。この本でも、イスラエルとユダヤ人について解説することで、また興味を深めてくれました。でも、全然足らない! むしろ、もっと知りたくなっちゃいましたよ。
アメリカの外交を考えるうえでイスラエルの重要性は、日本と比べても高いウェイトを占める。その知識が欠落していると世界の常識を知らないような気持ちにさせられる。イスラエルを語るうえで、アメリカのイスラエル・ロビーの強力さを取材をもとに書いていた序盤が、アメリカ政治という意味でも興味深かったです。
ユダヤ人は迫害の歴史があるけれど、実際はかなりやり手な人種に -
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内容:安楽死について考えましょうの本。有名な話ですが容認している国としてのオランダの事情を中心にいろいろ。ちなみに僕は個人(アイデンティティを選ぶ、引き受ける前の主体)の存在を最近ずっと考えているので、安楽死にも結構興味があります。
感想:分かりやすいのでオススメです。さて、中でもこの問題を考える上で僕が一番重要だと思ったのは、オランダが特殊な国だってことでしょうね。容認派の医者が安楽死の制度化の4条件を語っていました。?誰もが公平に高度な治療が受けられる医療・福祉制度?腐敗がなく信頼度の高い医療?個人主義の徹底?教育の普及。日本は全部ないような気がするけど、少なくとも普遍的に制度化できるもの -
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先進国は軒並み少子化の課題を抱えているが、欧州のドイツや極東の日本は顕著だ。特に日本は現在の出生率がつづけば2060年頃には人口も8,000万人台に落ち込み、日本中の多くの地方自治体が消滅する事が予想されている。現在でも既に働きて不足は顕在化した問題として捉えられ、転職市場では若い世代だけでなく、40〜50台までの管理職クラスまでもが奪い合いの状態だ。ここ数年、欧州の移民問題だけでなく、アメリカのトランプ政権に代表されるような極端な自国第一主義、自国民優先が表に出てきて、外部からの移民流入には各国とも慎重な動きが目立つ。だが、前述した様に日本の少子化対策が上手く進まなければ経済は縮小の一途を辿