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Posted by ブクログ
[殻の内幕]建国から数十年の間に、度重なる戦争と紛争を重ねつつその生存を保ってきたイスラエル。ハリネズミのように身を守りながら、今や中東の大国として国際社会の行方を決める要因ともなっているその国に赴任した著者が、あらゆる角度から国の外郭をなぞり、内奥に迫った一冊です。著者は、読売新聞の記者として国際畑を歩まれてきた三井美奈。
歴史、地理、外交、経済、社会と幅広い分野を網羅していることから、イスラエルを知る上での格好の入門書と言えるのではないでしょうか。特にイスラエル国内の問題のみにとどまらず、その視点が米国やアジアまで及んでいるところに好感が持てました。記者さんならではと言いましょうか、第一人者に対するインタビューの様子もしっかりと収められており、手に取りやすくその上内容も充実している作品ではないでしょうか。
著者の目線が徹底して現実主義の上に成り立っているのもイスラエルの「等身大」の姿を記述する上で役立っているのではないでしょうか。遠い国のこと故、つい中東情勢は感情論に流されやすい場合があるのですが、イスラエルという国はそもそもそういう次元で成り立っていないということは著者の指摘するように頭に留めておいて良い点かと思います。
〜今は豊かに暮らしていても、いつ何が起きるか分からない。この危機感は、迫害と差別を受けてきた民族の本能である。〜
ホロコースト博物館に足を運ぶとそのことを痛切に感じます☆5つ
Posted by ブクログ
イスラエルという国の基本的な考え方が良く分かる本。常に迫害を受けてきた歴史から、自分の身は自分の身で守る、やられる前にやるという意識が徹底している。平和ボケした日本とは考え方が根本的に違う。
・全国民の2%以下しかユダヤ人がいないアメリカが、あれほどまでにイスラエルを支持する理由。米国内ユダヤ人に富裕層が多いのも一つだが、政治的な力(対立する候補を徹底的に追い込んで落選させる力)を持つAIPACというロビー団体の存在も大きい。
・ユダヤ教の嘆きの壁(ユダヤ支配のソロモン王の時に建設されたエルサレム神殿が、バビロニア帝国とローマ帝国により破壊された跡)、イスラム教の岩のドーム(ムハンマドが昇天した地)、キリスト教の聖墳墓教会(キリストが十字架にかけられた跡地)、3つの宗教の聖地があるエルサレム。
Posted by ブクログ
イスラエルについて引き続き学んでいる。
読んだ順番が良かった。
実際にイスラエルに行き→西加奈子『i』→遠藤周作『死海のほとり』→山井教雄『まんが パレスチナ問題』、で、本書。
土地勘、興味、キリスト教について、パレスチナ問題の概要を知った上で、イスラエルについて政治ふくめてどっぷり知る。
やっとすんなり読めるようになったのは、この読んだ順によるものと思う。無知すぎて。
アメリカ社会・政治(ロビー活動含め)とイスラエルの関係。イスラエル人の今、などなど。
恐ろしい気持ちになりつつ。勝手だな、アメリカ、イギリス、、、と思いつつ。
それでもやっぱりまるっと「イスラエル」とか「アメリカ」とか「パレスチナ」とか「ユダヤ人」とか括って語ったり考えたりすることは慎みたい、と思う。
括って考えたりすると、まとめて簡略的に語り、短絡的に考え、悪い方向に向かいやすい。
その括りの中にいろんな人がいて、個別に交流すれば、ただの優しい、面白い隣人で、、、と言うことを、忘れずにおきたい。
何事も括っちゃダメだ。
と、改めて思う。
Posted by ブクログ
2010年刊行。著者は読売新聞でエルサレム支局長を務めた記者。
イスラエル=なんとなくブッ飛んでる国くらいの個人的認識だったが、そんな定性的な感覚ではなく、多くの取材を通してこの国のリアルを描く。ユダヤ人票にコントロールされる米国議員、核開発・武器購入に伴う国際社会との駆け引き、ユダヤvsパレスチナ…読者を引き込む構成。
著者はイスラエルのことを「自分たちの国はら自分たちで守るしかない」、「ハリネズミのように身構える国」と書く。イスラエル独自の危機管理手法はユダヤ人迫害の歴史から形成されてきた。今世界で蔓延っている保護主義の先例とも言える。
Posted by ブクログ
「自分たちの国は自分で守る」ことを真摯に実践しているハリネズミ国家。
そのために国家間ベースでの関係性でのアプローチではなく、全世界のユダヤ人ネットワークを活用して、情報や資金を確保するという強固な民族主義を感じる。同様に中国の華僑という存在があるが、ここまで国家を真剣に支援はし得ないだろうと感じた。
特にロビー活動を通じて、アメリカの親イスラエル政策をコントロールしている点には圧巻。
第二次世界大戦後から、ほとんどゼロベースから経済だけでなく軍事的にも急成長させて現在に至る勢いは、確実に日本を凌いでおりす。間違いなく、核も保有していることでしょう。
年がら年中ほぼ戒厳令体制であり、女性も含めた国民皆兵で、自国の安全保障のためなら敵国への先制攻撃や暗殺も辞さず、国連の制裁決議にもどこ吹く風…。
自分も含めて、いまの大半の日本人には腹の底から理解できない国がある。
ただかの国のインテリジェンス体制・仕組みだけは、しっかりと学びたい。
Posted by ブクログ
2006~2009年に読売新聞エルサレム支局長を務めたジャーナリストが、1948年の建国以来世界に例のない極めて特殊な国家として存在しているイスラエルについて、網羅的かつコンパクトにまとめたもの。
イスラエルの特殊性は本書の中でも、
◆中心都市エルサレムは、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の三宗教の聖地であり、合計約40億人、世界人口の約六割が心を寄せる聖都である。
◆第一次大戦中の英国の三枚舌外交が生み出した国家である。
◆厳しいユダヤ教の戒律が生活を支配する、ユダヤ法に根差した「ユダヤ国家」である。
◆人口750万人で、埼玉県並みの規模にもかかわらず、世界中に広がる1,300万人のユダヤ人が心の故郷として支えている。
◆建国以来、ほぼ独力で四度の中東戦争、エジプトとの消耗戦争、二度のレバノン紛争とパレスチナ紛争を切り抜けてきた。
◆奇跡的とも言える成長により、中東最強の軍事国家に変貌し、先進国並みの生活水準を実現した。
などが示されているが、
著者は更に、イスラエルと米国との関係、米国内のユダヤ系社会とロビイストの影響力、聖都エルサレムの今昔、ユダヤ人の苦難の歴史、イスラエル国家の変わりゆく姿などについて、詳しく解説している。
そして、「「自分たちの国は、自分たちで守るしかない」・・・国民全体に危機意識が浸透するイスラエルは、安全保障に対する意識が希薄な日本とは、いわば対極の存在だ。この国を知ることは、国を守るとはどういうことなのかを改めて考えるヒントになる」とも述べている。
2010年の出版だが、取り上げられた切り口は現在でも有効性を失っておらず、現代世界の縮図・中心のひとつである聖都エルサレムとイスラエルの歴史と現状を知るために有用な一冊である。
(2010年10月了)
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