佐野史郎のレビュー一覧
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#ツナグ100分de名著
\\ おいっ、鬼太郎! //
頭の中でそう呼ぶ声がする。
目玉のおやじ、
ねこ娘
ねずみ男。
異界のキャラクターたちが作り出す、水木しげるの世界観。
その魅力が大いに語られます✧
◇◇◇◇◇◇
【タイトル】別冊 NHK 100分で名著「わが道」の達人水木しげる
【 著者 】釈徹宗/中条省平/ヤマザキマリ/佐野史郎
【 出版社 】NHK出版
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ゲゲゲの鬼太郎。
私が幼き頃、TVアニメとして放映されていて、毎回真ん前でじっと見入っていた。
鬼太郎が“父さん”と呼ぶ声。
茶碗の風呂につかる目玉のおやじ。
厄介事をもってくるねずみ男。
『また、ねずみ男。』と毎度毎度良いことがないのに、懲りもせず悪いことにそそのかされる。
そして鬼太郎が解決してくれる。
そんな身近なヒーローだった。
◇◇◇◇◇◇
ちなみに、
ねずみ男は風呂にすら入らないなまけもので楽をしてカネを設けたい、いい女と寝たい、うまいものをたらふく食いたい、酒を飲みたい…
という人間のあらゆる欲望を肯定するような人物像。「業の肯定」だったのだ。
それを聞いてねずみ男の存在にぽんっ、と手を打つように納得した。
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水木さんは異界との付き合い方を子どもに教えてくれる大人。
水木さんが描く作品からはどれも「境界」というものを強く感じることができる。
見える世界と見えない、生と死、日常と非日常、エロスとタナトスー。
そんな水木さんの世界に子どもたちが惹かれる理由。
それは死は悪いことではないし、ダメだと大人が言う悪事すらも人間の性として否定していない。
ありとあらゆる現象を総括し、人間という生き物のあり方を俯瞰し、フラットにとらえている。
正統派なものばかりに囲まれて、どこか納得のいかない子どもたちにとって、その世界観に惹かれる理由があるのだという。
確かに!!
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また水木さんは戦場体験者。
だからこそ持つ、根源的・現実的ニヒリズムが作品に表れている。
2009年、世界に残すべき作品として「遺産賞」を受賞した『総員玉砕せよ!』もそのひとつ。
人間は結局、無意味に死んでいくものだという根源的なニヒリズム。
常に生と死の境界線上にある戦場という場所の恐ろしいほどのリアリティを感じるとともに、「生きること」と「死ぬこと」を地続きとしてとらえていた水木先生の死生観を垣間見ることができる。
もうひとつのニヒリズムは戦後日本に帰ってはきたけれど、生活は貧乏で苦しいことの連続で絶望しても生きていかなければいけない。現実の中では、食うためにひたすら働き続けるしかない。という現実的なニヒリズム。
この世が無常であることを受け入れ、漂白する感覚。それは異界にも通じる自然への畏怖の感覚と一体をなしている。
人間には到底はかり知れない自然を絶対的なものとして無条件で受け入れることで、その中に溶け込むようにして救われるという感覚とも通じていると言う。
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戦争の悲惨さを伝えるだけじゃない「人間観察記録」という意味合い。
戦争がひどいものだと伝える以前に、まず人間というものは、これほどまでに狂気をはらんでいて、残虐なことをしでかしてしまう存在だということを伝えている。
理想化されていない人間の本質というものに向かい合えればいい。
知りたいことだけ知ればいいー。
それが許される社会になりつつあるが、それだけだと人間はいざという時に自分の足で立って行動できない生き物になってしまうかもしれなから。
水木さんの作品を通して、「知ること」でまた世界は広がっていく。
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他にも、水木さんの作品によく表れている糞便についても興味深い考察がされています。
『のんのんばぁ』『悪魔くん』など有名な作品にも触れられていて、水木さんの魅力が詰まった1冊でした✧
そして久々に鬼太郎に会いたくなりました☆新しい作画になった鬼太郎は一体どんななのかな〜とも新たに「気になる」が増えました♪ -
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ちくま文庫オリジナルの水木しげるアンソロジーの第2弾。選者は俳優の佐野史郎。
前巻のヤマザキマリとはまた違った貸本時代の短編を中心とした如何にも佐野史郎が好きそうなラインナップ。選者によってここまでテイストの違うアンソロジーが出来るというのが水木しげるという漫画家の凄さとうか捉えどころの無さだなと思う。
水木しげるはヤマザキマリが選んだような割とストレートな社会批判をやったりする一方で、ナンセンスや下ネタ、ねずみ男的なエゴや享楽性の肯定だったり、或るいは全てを突き放したような無常感や諦念、虚無を感じさせるものだったり本当に捉えどころがないが、同時にどれを読んでも「水木しげる」という描かれる内容を超えた普遍的な個性がある。
何だかよく判らない、底の知れない怖さ、何を描いてもその背景に立ち上がってくる「水木しげる」という存在自体が水木しげるの面白さ、魅力なのかなぁなどと思う。 -
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水木しげる、佐野史郎・編『水木しげる厳選集 虚』ちくま文庫。
『水木しげる厳選集 異』に次いで2ヶ月連続の刊行。俳優の佐野史郎がセレクトした19編の短編を収録。
ちょっと怖い怪異譚から、人間の愚かさを皮肉るユーモラスな短編など幅広い短編がセレクトされている。
『約束』。絵が『ガロ』っぽい青年向けマンガ。昔、友人と交わした約束。
『魔石』。W・W・ジェイコブスの名作『猿の手』をベースにしたホラー。猿の手が奇妙な石に変わっている。ストーリーは『猿の手』とほぼ同じ。
『はかない夢』。欲を張り過ぎれば良いことは無いということか。ある日の、カン太が家に迷い込んで来たねずみ男のような風体のカミサマに自分の身代わりを作って欲しいと頼む。
『空想石』。度々ねずみ男が登場する。水木しげるのマンガ世界では、ねずみ男はダークサイドの象徴なのだろうか。ねずみ男が落とした空想石を拾った農家の倅の茂作がその石を卵だと思い、温めるとカセイジンが産まれる。
『空のサイフ』。またまたねずみ男の登場。ねずみ男の持っていた空のサイフがそれを手にした人びとに次々と不幸をもたらす。
『鳥かご』。何とも奇妙な話。東京郊外の武蔵野で下宿を始めた家に子供が大きな鳥かごを持って、やって来た。
『河童膏』。人間の残酷な所業。打ち身切り傷に効く軟膏の『河童膏』の材料の河童の皿を取る男の話。
『剣豪とぼたもち』。食い物の恨みは怖い、と言うよりも腹が減っては何とやら。とある茶屋で剣豪が雲助たちとぼたもちを巡り、喧嘩する。その剣豪の正体は。
『錬金術』。4度のねずみ男の登場。ねずみ男ではなく、丹角先生という怪しげな男のようだ。この丹角先生の助言で錬金術に没頭する一家の話。
『宇宙虫』。凡太が自分の爪の間に見付けた謎の卵から奇妙な虫が産まれる。母親に注意され、凡太がその虫を河原に捨てるとその虫は短期間で驚くべき進化を遂げる。
『机』。なかなか面白い。水木しげるの家に下宿する男と水木の古い机にまつわる不思議な話。
『古道具屋の怪』。面白い。古道具屋の主人が妻に怒られ、2階の掃除を始めると『ある怪物の日記』というタイトルの奇妙な古書を見付ける。そこに書かれていたのは。
『不思議な手帖』。ねずみ男ならぬ、ねずみ女が登場したと思ったら、何とねずみ男の妹という設定。山田という冴えない男が手にする手帖の不思議な秘密。
『群衆の中に』。大人向けのマンガだろうか。世の中の本当の恐ろしさ。最近マンガが面白くなくなったと言われる漫画家の花森が抱える悩みとは。
『不思議町三番地』。あの世とこの世、どちらが夢で、どちらがうつつなのか。製薬会社で不老不死の薬を研究する山田がある晩、タクシーで家に帰るとタクシーが道に迷い、奇妙な場所に辿り着く。
『深夜のバス』。飲み過ぎて終電を逃した山田っぽい男がやって来たバスに乗ると。
『目ひとつの神 新・雨月物語』。上田秋成の『秋雨物語』より。都を夢見る男が年老いた母親を置いて出奔する。母親がひとつ目地蔵に息子の帰りを祈ると。
『丸い輪の世界』。肺炎で亡くなった妹と会える丸い輪の中の世界。水木しげるが戦争体験者だからこそだろうか、生と死、この世とあの世を意識した短編が多い。
『笠地蔵』。ゲゲゲの鬼太郎より。貧しい老夫婦の家に住みついた、ざしきわらしが真面目で正直に慎ましく生きる老夫婦の窮状を見かね、鬼太郎やぬりかべに相談する。鬼太郎が活躍すると冬でも虫たちが鳴き声で鬼太郎を讃えるのであった。
本体価格900円
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Posted by ブクログ
ネタバレ「ゲゲゲの謎」という映画が流行っている昨今、水木さん入門書として良い、というトゥートを見かけたので購入。
水木さんの漫画・人生に自分の語りたいことをおっかぶせている様子も、後半ちょっと散見されるが、水木さん本人のおおきさが上回って語りきれない感じなので、たしかにかえって入門書としてはよかったと思う。わたしの手元にはいま「総員玉砕せよ!」があって、このあともしかしたら「のんのんばあとオレ」を買うかもしれない。
嫌いだというのに人間中心主義(ヒューマニズム)の夢を見てしまいがちだったのだが、そこに、人間もひとしく生きて死ぬだけという価値観をぽんっと放り込んでもらったので、ちょっと読み返しながら自分の物語を振り返ろうと思う。 -
Posted by ブクログ
50年前の最初のテレビ漫画のゲゲゲの鬼太郎は見た。実写版の悪魔くんもうっすら覚えている。昭和ヒトケタの父親が鬼太郎は面白いと云っていたなあ。
子供時分は、水木さんの絵は少し苦手だった。手塚さんや石ノ森さんの丸っこい描線が好きだった。今見ると、背景や妖怪の緻密な描写や点描の凄さに驚きつつ、人物、人間側の鬼太郎達の描き方と奇麗な女性やイケメンの描き方にギャップがあるなと思う。
4人の語り手が水木さんを解き明かす。境港での幼少期、食うや食わずの紙芝居描き、貸本時代。死地を彷徨った軍隊時代、幻想怪奇譚好きが水木さんを形づくったとのこと。
成程、改めて、この人は野放図な天才だと知ったよ。 -
Posted by ブクログ
俳優の佐野史郎さんが、10年ほど前に出した本。題名通り、佐野史郎さんがどんなこと考えて演技しているか、というお話です。佐野さんとは会ったこともないですが、まあ仕事的な興味もあって、スマホで読めるし気軽に買って気軽に読みました。まあこれは言ってみればSEさんがJAVAの本を読むようなものでしょうから(と、書きつつ、JAVAが何か僕はわかっていませんが)、僕にとっては面白かったということで。その仕事と全く関係ない人が読んで面白いかって言うと、疑問符ではあります。演劇好きな人、佐野史郎さんが好きな人、テレビドラマや映画が凄く好きな人、は、面白いかもです。
まあ、デジタルな解答の全くないところを、佐野さんなりに格闘してきた考えや思いは、率直に分かります。そういう意味では書き物として、カッコつけた感じはありませんね。好感持てました。