【感想・ネタバレ】水木しげる厳選集 虚のレビュー

あらすじ

「あの世もこの世も、過去も現在も未来も同時に存在するかのようにして、救われる」──怪優・佐野史郎の魂の遍歴は常に水木作品と共にあった。俳優としての指針ともなったゆるぎない世界観、幻想文学へ導いてくれた怪異譚の愉悦……「かたときも離れられない」と言わしめた傑作短編群から愛する「鬼太郎」シリーズの好編まで、ニヒリズムをユーモアに包んだ逸品を厳選。選者解説を付す。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

・前半は1960年代前半の作品。背景がちょっと雑。
・後半は1960年代後半からの作品。こちらは背景がとてもよい。こちらは好き。

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2024年08月30日

Posted by ブクログ

水木作品は結構読んだつもりだったが既読は「古道具屋の怪」1作のみだった。佐野史郎の編の短編集だが、なかなか面白い作がそろっている。前月のヤマザキマリ編もそうだが何か選ばれた作品に通じるものがあるような気がする。

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2024年10月11日

Posted by ブクログ

水木先生は、ねずみ男を産んだのがすごく発明だったというようなことをおっしゃっていたが、
ねずみ男…もといそれぞれの話で何らか呼ばれている様子…が登場します。

何らか社会的主張とか、メッセージ性…があるわけではなく、
不思議な(時に不気味な)短編ばかりです。
面白いです。
選者佐野史郎っていうのも…

個人的には水木先生の劇画タッチの漫画も好きですけどね。

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2024年10月04日

Posted by ブクログ

ちくま文庫オリジナルの水木しげるアンソロジーの第2弾。選者は俳優の佐野史郎。

前巻のヤマザキマリとはまた違った貸本時代の短編を中心とした如何にも佐野史郎が好きそうなラインナップ。選者によってここまでテイストの違うアンソロジーが出来るというのが水木しげるという漫画家の凄さとうか捉えどころの無さだなと思う。

水木しげるはヤマザキマリが選んだような割とストレートな社会批判をやったりする一方で、ナンセンスや下ネタ、ねずみ男的なエゴや享楽性の肯定だったり、或るいは全てを突き放したような無常感や諦念、虚無を感じさせるものだったり本当に捉えどころがないが、同時にどれを読んでも「水木しげる」という描かれる内容を超えた普遍的な個性がある。

何だかよく判らない、底の知れない怖さ、何を描いてもその背景に立ち上がってくる「水木しげる」という存在自体が水木しげるの面白さ、魅力なのかなぁなどと思う。

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2024年08月14日

Posted by ブクログ

水木しげる、佐野史郎・編『水木しげる厳選集 虚』ちくま文庫。

『水木しげる厳選集 異』に次いで2ヶ月連続の刊行。俳優の佐野史郎がセレクトした19編の短編を収録。

ちょっと怖い怪異譚から、人間の愚かさを皮肉るユーモラスな短編など幅広い短編がセレクトされている。

『約束』。絵が『ガロ』っぽい青年向けマンガ。昔、友人と交わした約束。

『魔石』。W・W・ジェイコブスの名作『猿の手』をベースにしたホラー。猿の手が奇妙な石に変わっている。ストーリーは『猿の手』とほぼ同じ。

『はかない夢』。欲を張り過ぎれば良いことは無いということか。ある日の、カン太が家に迷い込んで来たねずみ男のような風体のカミサマに自分の身代わりを作って欲しいと頼む。

『空想石』。度々ねずみ男が登場する。水木しげるのマンガ世界では、ねずみ男はダークサイドの象徴なのだろうか。ねずみ男が落とした空想石を拾った農家の倅の茂作がその石を卵だと思い、温めるとカセイジンが産まれる。

『空のサイフ』。またまたねずみ男の登場。ねずみ男の持っていた空のサイフがそれを手にした人びとに次々と不幸をもたらす。

『鳥かご』。何とも奇妙な話。東京郊外の武蔵野で下宿を始めた家に子供が大きな鳥かごを持って、やって来た。

『河童膏』。人間の残酷な所業。打ち身切り傷に効く軟膏の『河童膏』の材料の河童の皿を取る男の話。

『剣豪とぼたもち』。食い物の恨みは怖い、と言うよりも腹が減っては何とやら。とある茶屋で剣豪が雲助たちとぼたもちを巡り、喧嘩する。その剣豪の正体は。

『錬金術』。4度のねずみ男の登場。ねずみ男ではなく、丹角先生という怪しげな男のようだ。この丹角先生の助言で錬金術に没頭する一家の話。

『宇宙虫』。凡太が自分の爪の間に見付けた謎の卵から奇妙な虫が産まれる。母親に注意され、凡太がその虫を河原に捨てるとその虫は短期間で驚くべき進化を遂げる。

『机』。なかなか面白い。水木しげるの家に下宿する男と水木の古い机にまつわる不思議な話。

『古道具屋の怪』。面白い。古道具屋の主人が妻に怒られ、2階の掃除を始めると『ある怪物の日記』というタイトルの奇妙な古書を見付ける。そこに書かれていたのは。

『不思議な手帖』。ねずみ男ならぬ、ねずみ女が登場したと思ったら、何とねずみ男の妹という設定。山田という冴えない男が手にする手帖の不思議な秘密。

『群衆の中に』。大人向けのマンガだろうか。世の中の本当の恐ろしさ。最近マンガが面白くなくなったと言われる漫画家の花森が抱える悩みとは。

『不思議町三番地』。あの世とこの世、どちらが夢で、どちらがうつつなのか。製薬会社で不老不死の薬を研究する山田がある晩、タクシーで家に帰るとタクシーが道に迷い、奇妙な場所に辿り着く。

『深夜のバス』。飲み過ぎて終電を逃した山田っぽい男がやって来たバスに乗ると。

『目ひとつの神 新・雨月物語』。上田秋成の『秋雨物語』より。都を夢見る男が年老いた母親を置いて出奔する。母親がひとつ目地蔵に息子の帰りを祈ると。

『丸い輪の世界』。肺炎で亡くなった妹と会える丸い輪の中の世界。水木しげるが戦争体験者だからこそだろうか、生と死、この世とあの世を意識した短編が多い。

『笠地蔵』。ゲゲゲの鬼太郎より。貧しい老夫婦の家に住みついた、ざしきわらしが真面目で正直に慎ましく生きる老夫婦の窮状を見かね、鬼太郎やぬりかべに相談する。鬼太郎が活躍すると冬でも虫たちが鳴き声で鬼太郎を讃えるのであった。

本体価格900円
★★★★

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2024年08月11日

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