名越健郎のレビュー一覧
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Foresightでおなじみ名越さんの渾身の一作。戦後政治史の影の一面というか、光の当てられなかった部分というか。少なくとも戦後の一定期間においてほとんどすべての政党に外国からの資金が流入していたという認識は持っていてもよい知識なのかもしれません。
しかし、国務省の歴史家が公開しようとする文書についてCIAが反対するのはわかるけれど、わが外務省も積極的に反対するというのはなんとも反応に困るというか、なんというか。もちろんすぐに公開できない事情はすごくわかるけれど、相当程度の期間が経過したら公開し、あとは歴史の評価に委ねるべきではないかと思いますけれど。 -
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実はあまりプーチンのことを知らなかったなと思い、彼の人生を学ばせてもらいました。
KGB出身というだけでドキドキしてしまい、政治もクソもない彼の言葉一つで世界で一番大きな国が動くというのもどこか魅力的に感じました。
当然著書が発行されたのはウクライナを侵略する前なので、今のプーチンの思考を理解することは出来ませんが、とんでもなく過酷な環境の中から皇帝へと成り上がった男がその地位に固執することや、国土を広げようとすること、他国から脅威だと思われることは必須ですし、今回の戦争に関しては、彼の人生を振り返った時に、「プライドと固執」のみなのではと思いました。
人間的に物凄く深みのある男ゆえに、メチャクチャ恐怖を感じる男なのだなと感じました。 -
Posted by ブクログ
旧ソ連はスパイ大国として知られているが、リヒャルド・ゾルゲ程、有名なスパイは他に居ないだろう。スパイであるから、世に名が知られている時点で、スパイとしての意味を失ってしまっているとも言えるのであるが、その活動や成果が研究され、太平洋戦争に突入する以前の日本での様々な活動が、少なからず歴史の流れに影響を及ぼしている。ゾルゲは独ソ不可侵条約下にあるドイツが条約を破棄しソ連へ攻め込む事を察知、再三スターリンに対し警告をしていたし(スターリンは無視したとされるが)、日本の真珠湾攻撃が起こる事も予測していた。
その生い立ちは、ドイツ人の父とロシア人の母の間にロシアの地に生を受け、国籍としては父のドイツ側にあり、第一次大戦時にはドイツ陸軍兵士として大戦に従軍し、3度の負傷を経験している。本書に登場するゾルゲも、そうした背景を経ながら平和主義に目覚めた経緯を説明する。また負傷中の野戦病院内で従軍看護師から聞いた社会主義理論により、社会主義に目覚めたとされ、その後、哲学や国家学を学びベルリン大学の博士号を取得している。命を惜しまず戦場を駆け巡る勇気と行動力、哲学を学び歴史や国家を分析する能力に長じた知的な側面などが、後のスパイ活動に於いて、大いに役に立ったのではないだろうか。その後、ドイツ共産党、ソ連のコミンテルンなどの勤務を経て、スパイとしての人生を歩み始めるゾルゲ。戦後ゾルゲ機関と呼ばれるスパイ網を日本国内で構築し、日本の軍の上層部までをもその情報源とし大いにスパイとして活躍するのである。最終的には日本の特高(特別高等警察)に逮捕され、裁判を経たのち絞首刑となるが、その捜査の過程で名前が挙がった各方面で著名な実力者たちは震えあがったであろう。
日本での活動がよく知られるゾルゲではあるが、その活動以前に中国上海での活動、その頃に構築された人間関係の成り立ちなどから本書は始まる。ゾルゲが雇い、教育により育て上げた各メンバーが、あらゆる方面から情報を集め、ゾルゲ自らがそれを分析する。こうした活動は当時のスパイだけでなく、現代に於いても各国のインテリジェンス機関や、身近なビジネスシーンでも日常的に行われる事だ。ゾルゲにとっても信頼できるメンバーとそうでもない人間とで評価を分けていた事は言うまでもない。スパイとしての成功には、こうしたメンバーの中に如何に優れた人材を確保するかに寄るところが大きい。ゾルゲにとってのそのメンバーは朝日新聞社の記者であり、共産主義者の尾崎 秀実である事は言うまでもない。彼自身が近衛文麿政権のブレーンであり、陸海軍の関係者と独自の交友関係を築いていた人物であったからこそ、ゾルゲは正確かつ公には語られる事の無い国家機密へも十分にアクセス可能となっていた。それでも本国の組織に対しては、日本人の独特の気質に於いての情報収集の難しさについて報告しているし、当時日米開戦を前に、外国人に対する厳しい見方がされる中での活動は困難を極めたであろう。だからこそなのか、女性関係者との親密な関係構築についても知られている。ありとあらゆる情報源を駆使して活動を続けた後、前述した様に逮捕・処刑の運命を辿ってゆく。
戦後随分経ってから、フルシチョフ、ブレジネフの体制で、反スターリン機運の中で再び、その活動成果が注目されると共に、現在ウクライナに侵攻するロシアのトップ、プーチン大統領が尊敬する人材として、再び注目を浴びることとなったゾルゲ。戦後80年機運の高まる日本に於いて、失われつつある戦争記憶。本書はその裏側で暗躍したインテリジェンス機関、そしてゾルゲの様なスパイの活動が、如何に大きな戦争であっても、数万、数十万の軍勢に等しい活動成果を挙げる事が出来るかを知る良い機会になるだろう。そして現代ビジネスにも通じる、信頼できる情報収集体制の構築の参考にしてみるのも良いだろう。 -
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公開文書によって、ゾルゲ事件の新事実がいくつか判明し、従来のゾルゲの見方が本書を読むことで変わる。現在、日本の南進論の情報を報告したことで評価されているゾルゲだが、当時は必ずしも肯定的に評価されたわけではない。公開された文書を紐解くと、ゾルゲもスターリンの粛清対象内であった可能性が高く、全面的に信頼されたわけではなかった。またゾルゲはソ連の安全保障という観点から、1941年の日米外交交渉の情報収集に関心を持っており、その分析は正確であったことが本書で明かされる。ちなみにゾルゲの名誉が回復したのは1964年頃、すなわちスターリン批判が盛んだったフルシチョフのときである。
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日本の政治では、政治資金規正法あるいは公職選挙法より、外国からの資金援助は禁止されている。しかしアメリカやソ連で公開された文書に注目すると、自民、民社、社会、そして共産党は、上記二か国のいずれから資金援助されたことがわかる。本書によると、自民党は50年代後半から60年代前半にアメリカから多額の資金を得ていたこと、また共産党は60年代の途中まではソ連から資金援助されて、共産党が自主独立路線を掲げてから、ソ連は社会党の援助へとシフトしたことが公開文書から読み取れる。しかし90年代のアメリカの文書公開でCIAが反対したこと、またロシアはときの政権、政治事情に左右されるというように、本書で紹介された内容は氷山の一角にすぎない。そして大半の情報は真意が明かされないまま依然として謎に包まれている。
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出張先で気の利いたジョークを言いたい願望があって、時々この手の本を読む。鉄板パターンはいくつもあるが、時代とともに少しづつ変化してして行く。
P30
問
新型コロナウイルスの特効薬は、どうやって開発されるか?
答
ドイツ人が発明し、
アメリカ人が投資し、
フランス人がデザインし
日本人が小型化し、
イギリス人が実用化し、
イタリア人が宣伝し、
中国人が海賊版を作り、
韓国人が起源を主張する。
P93
ドイツ人、オランダ人、ギリシャ人、イタリア人がレストランで食事をした。
食事が終わりに近づいた時。
ドイツ人は、全員の食事代がいくらになるか考えた。
オランダ人は、割り勘でいくらになるか考えた。
ギリシャ人は、ご馳走になったお礼を考えた。
イタリア人は、ドイツ人にどう支払わせるか考えた。
P107
神が天地創造した時のこと。
神「イタリアという国をつくろう。世界一美しい風景、世界一うまい食事、世界一温暖な気候を与えよう」
側近「神様、それでは、イタリアが恵まれすぎています」
神様「安心しろ。そこにイタリア人を住まわせる」 -
Posted by ブクログ
このような資料がアメリカやロシアに存在し、一般人が閲覧できることは当たり前のこととは言え、我が国の状況を見ると悲しい気持ちになる.自由民主党、日本社会党、日本共産党が当時の米ソから資金援助を受けていたことは事実だろう.戦後間もないころの各政党の発展のための重要な糧となっていたことは、ある意味で強烈な皮肉だともいえる.戦後の政党史を総括する意味で楽しめた.ソ連の資金が共産党から社会党に移ったことも興味深い.ただ、その金が党として還流していたのではなく、自民党では岸派、共産党では野坂派に集中していたようで、与える側と受ける側の癒着に近い形だったことも注目すべきだ.自民党にはその一派が存在していることから、影響が全く解消されたとは言えないと考えている.勉強になった.
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Posted by ブクログ
ソ連邦崩壊後、大量の機密文書が公になった。日本共産党や
社会党(現・社民党)は、ソ連共産党からの資金援助を必死に
なって否定するが、ロシアの公文書館に保存された膨大な文書
からは日本への資金流入が明らかだ。
ソ連共産党からの援助資金はふたつの党の選挙資金として活用
された痕跡がある。海外からの政治献金は法に触れるので、
ソ連のスパイだったとして100歳にして除名処分になった
元名誉議長・野坂三参個人が勝手にやったことにしちゃって
るしなぁ。
未だ解決の糸口さえ見えぬ北方領土返還にしても、日本側からの
2島返還の提案があったとか、ソ連が売却しようとしていたなんで
話も出てくる。ロマノフ王朝時代に二束三文でアラスカを売却した
国だから、売り払おうとしてても不思議じゃないな。
日本がいかに旧ソ連に振り回されたかが分かる1冊である。
さて、戦前の大女優・岡田嘉子と演出家・杉本良吉が、樺太国境を
越えて旧ソ連に亡命を試みた「恋の逃避行」。しかし、杉本は日本の
スパイとして銃殺され、嘉子も強制労働収容所に送られる。
日本に残された杉本の妻・智恵子は、どんな思いでこの知らせを
聞いたのだろう。肺結核を患っていた智恵子は、ふたりの越境から
9ヶ月後に亡くなっている。合掌。 -
Posted by ブクログ
本書はロシアを率いるプーチン氏に迫ったものです。個人的には今度から彼の声を日本語に吹き替える際には、池田秀一氏に一任していただきたいと思っております。「ダークヒーロー」としても彼は魅力的です。
日本とロシアの政治を比べてみて、気がつけば為政者がころころ変わる一見『平和』な世界と、ロシアのように三権分立もへったくれもなしに一人の独裁的な人間が実質的に国家を動かしていき、その周りには時として命を落としかねないような『愛と嫉妬』の渦巻く政治の世界。政治がむしろダメだからこそ、国民が政治に関心を持つ社会と、安定したいい生活や国家の安全、さらには経済的なものを保障する代わりに政治に関心をできるだけ持たないように『仕向けられる』ロシアの社会。どっちがいいのかは僕は判断がつかないところですが、本書は2012年に大統領に返り咲き、2期12年にわたって長期政権を維持する可能性すら出てきた『ロシア中興の祖』であるプーチン氏の実像に迫ったものです。
もちろん彼の『魅力』は『KGB出身』ということに始まる『ダークヒーロー』とも言うべき「資質」や彼のたどった足跡などを豊富なエピソードや肉声を通じ、その人物像に迫りながら、なぜスパイ出身の政治家が強力無比な「皇帝」に成り上がることができたのか、その謎を追ったという意味であまり日本にいては本来知りうることができないような話が紹介されているという意味で、面白い文献だな、と思って読んでおりました。
彼の政治はバラマキやド派手な政治パフォーマンス。さらには『国民との対話』という『水戸黄門』ばりの演出が尽くされた勧善懲悪の4時間以上にも及ぶテレビ出演など、裏を返せば『衆愚政治』とも取れるようなお話で、事実ここには書かれておりませんが彼の体制になってウオトカが安く手に入るというのもその一例なのでしょう。そんな彼がどのようにして『権力の座』についたのか?それはある種の『運』のようなものも左右しているのではなかろうかと、読んだあとにはそう思っております。
ヨーロッパとの距離を縮め、アメリカに対しては毅然とした姿勢をとり、資源大国として存在感を増し続け、『新・帝国主義国家』として21世紀に『甦る怪物』として君臨するロシアを率いる『皇帝』およびその周辺に鋭く迫ったものとして国際関係、特にアジア・ユーラシア方面に関心のある方は一読なされてみては、いかがでしょうか? -
Posted by ブクログ
「元スパイ」。それだけで充分魅力的なのである。そういう人が
国のトップに立つ。ロシアならではだろう。
ウラジーミル・プーチン。ロシアの国家元首。イタリアの前首相で
あったベルルスコーニも興味深い人物だったが、プーチンの前
ではその影もかすむ。
元KGBとは言え、派遣されていたのは旧東ドイツなのでスパイと
しては決して敏腕ではない。そんなプーチンが何故、ロシアの
トップに立つようになったのか。
本書はプーチンの生い立ちから、実力者が逃げ出して人材不足に
陥っていたエリツィン政権末期に表舞台に登場し、大統領1期目から
現在のプーチンの政治までをかなり批判的に取り上げている。
2期目の終盤、憲法改正をせず子飼いのメドベージェフを後継指名
した時から、大統領へ返り咲くのではないかと思っていた。そして、
事はその通りに進んでいる。
しかし、今回の大統領就任に当たっては前回とは異なりかなりの
逆風が吹いた。大統領選前からロシア各地では大規模な反プーチン・
キャンペーンが繰り広げられ、支持率も1期目・2期目ほどには
上がっていない。
それでも私はプーチンが好きである。夏になるとメディアで取り上げ
られる「プーチンさんの夏休み」を毎年楽しみにしている。
バタフライで泳ぎ、白馬を駆り、釣りを楽しみ、ボートを漕ぐ。大抵は
上半身裸で、柔道やサンボで鍛えた裸体を晒している。こんな国家
元首、他にはいないぞ。
戦闘機を操縦したと思えば、潜水艦で潜り、レーシングカーを操り、
ピアノを弾いて歌う。なんとまぁ、才能に溢れていることか。
私のパソコンの画像フォルダにはプーチンのいろんな画像が詰め
込まれている。
ソ連邦は崩壊し、民主主義国家になったはずのロシアだが、それは
あくまでも建前だ。プーチン流民主主義は、権力の一極集中である。
勿論、それはプーチンが握っているのだ。
「金儲けするのはいいが、政治には口出しするな」とオリガルヒを
脅し、側近は自身の出身地サンクトペテルブルグ出身者で固める。
ロシアの帝政はロマノフ朝で終焉を迎えたが、プーチンは現代に
甦ったツァーリ(皇帝)である。さぁ、プーチン王朝の終焉を見届け
ようではないか。
尚、本書はロシアとプーチンの政治の流れを知るには最適。笑う
ことのないプーチンだが、柔道の金メダリスト・山下泰裕氏といる
時には満面の笑みを見せるらしい。
う~ん、これは見てみたい。山下氏の後ろに隠れてこっそりと
覗いてみたいぞ。あ…でも、うっかり目があったらあの眼力で
秒殺されるかもだ。汗。