海野弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
海野弘さんて、どういう人なんだろう……。
数年前に購入した彼の本は「千のチャイナタウン」という今はなきリブロポートから出た本で、ちょうど今から10年ちょっと前、香港が中国に返還される直前、自分の中でちょっとしたチャイナタウンブームが起きていた頃だった。その時もいろいろな引用でモザイクのように彩られた著作にワクワクさせられたものだが……。
で、同性愛。
それも、女性よりはむしろ男性の側に比重をかけたこの世界史は、なんかとにかく凄かった。
ギリシア哲人の「天上の愛」みたいなのはドンと来い、な感じで読み始めたが、世紀末(この場合は1800年代末期)になると、あれもこれもどれも彼も、文学者、芸術家、映画俳優(は、もう少し後代か)を問わず、みんな、ホモセクシャルです。
というか、世界には「ホモソーシャリズム」というものがあって……と、読めば納得なのだが、好きな画家、音楽家、文学者が漏れなく(フォースター辺りは最初から同性愛者だとわかってはいましたが)「ホモです。」というのはなかなか受け入れ難いものが。
まあ、仕事柄、どうしても世の中で言うところの「ホモ」(本当はホモじゃなくてBLなんだけど)と無縁ではないので読んではみましたが、でも実際に、社会性と男性性はちょっと切り離せないものがあるような気がします。
オススメ度が高いのは、目からウロコの面白さと、強引さ、網羅する世界の広さに圧倒されたせいかもしれません。でも、面白いですよ〜。 -
Posted by ブクログ
以前にハードカバーのほうを書店で見かけたとき、えらい背表紙の上部が痛んでいて、かなりの人が手に取った痕跡が見られた。あんたら好きね〜、と思いながら棚に戻した私も同類ですか、そうですか(笑)。
そんな気になるあの本が、このたびお求め安い文庫になりました!
私はBL好きではないし、腐女子というわけでもありませんが、まあ、どちらかというと「隠しておきたい、人に知られたくない性癖(最近この言葉の意味が違ってきてるよなー、と思いながら)」の話というのに興味があるので読んでみたいと思いました。
【買いました!】
面白かった!麻薬のように面白かった!
著者の海野弘さんは美術史が専門なので、この本に心理学的・精神分析的な同性愛についての掘り下げを求めてもあまり意味がない。むしろ、これまでの美術史・文化史では見えてこなかった、あるいはなにか納得のいかなかった部分が、「ホモセクシュアル」というフィルターをかけることによって、隠されていた繋がりが鮮やかに浮かび上がってくることに、著者自身が欣喜雀躍している様子が伝わってくる。文章も読みやすく、「一刻も早くこのことを人々に伝えたい」という意志が感じ取れる。
白眉は後半20世紀に関する記述だが、それを語るのに古代から19世紀末までの同性愛を巡る歴史を俯瞰しなければならなかったので、ずいぶん長い前段になってしまった、とあとがきに書かれている。でも、十分に面白かったです。
それにしても、ホモセクシュアルの男性たちの多くが、恋愛関係が終わってもその後友愛の絆を長く保ち続けたり、結婚して家庭を持ったかつての愛人と家族ぐるみの付き合いをして、深い絆で結ばれ続けていたりするのを知って、静かな感銘を受けました。著者の眼差しも暖かく、好感が持てます。
とにかく登場する人物の数が夥しく、百科全書的な要素もあるかもしれませんが、基本的な世界史、文学史・美術史・文化史に関心があって、ある程度の知識があれば読み進めるに苦労はしないでしょう。(カタカナの名前に混乱しなければ大丈夫)。
文学や美術を語る上で「ホモセクシャル」という新たな視点で読み直すことが、今後タブーではなくなってくるでしょうから、論文を書こうとしている学生さんや研究者の人にはよいヒントを与えてくれているような気がします。
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Posted by ブクログ
20141012
思ってたのと違っていたけど面白かった。
特に第二章の近現代史的なもの。
魔女をどうとらえるかということにもつながるけれど、ジェンダーや女性解放、宗教と結びついた観点から考察するとこうなるのだなと思った。
参考になった。
中世あたりからくる、いわゆる魔女裁判的な魔女の歴史の考察ではなく、世の中の流れの中で、魔女像がどう変化して来たか、どうやって伝えられて来たかみたいなことに興味があったら面白いと思う。
なんだろう、女性がどうとらえられてきたかを知りたければ魔女を知れ、みたいな感じか。
でもって、アニメについてはあまり考察されてなくて、アニメの中に出てくる女性や少女に、時代の流れで変遷されて来た魔女像がいまも息づいているんじゃないか的なことを言ってるだけって感じ。
なんとなくサブタイトルが違うのかもしれない。
おどろおどろしい魔女の話、ではなくて、おどろおどろしくなった歴史的背景を考察しますみたいな話かなー
そういう意味では、文献からの記述が多く、肩すかしかもしれないなと思ったりした。
私はたまたまゴシック文学とかSFとか宗教論とかも好きだったから面白かっただけかも。
”世界史”だし、大きな流れの話だったので、ひとつひとつがもうちょっと知りたいなというくらいで終ってしまってちょっと残念。
でも楽しかった。 -
Posted by ブクログ
魔女とは何者か
魔女。
かぎ鼻に帚、黒い服。
怪しげな呪文に薬草。
そんなイメージのある、「魔女」と呼ばれる女性たち。
一方では恐れられ、迫害の対象となり、もう一方では憧れ、思慕の対象となる。
そんな魔女のイメージを過去から現代において探求し、魔女とは一体何者なのかに言及したのが本書である。
一言で言ってしまえば魔女とは自由な女性の姿だ。
著者はありとあらゆる女性の中に「魔女」の姿を見る。
それは第四章にある『新魔女一〇〇シーン』に詳しい。
ココ・シャネル、イサドラ・ダンカン、きゃりーぱみゅぱみゅ、『アナと雪の女王』.....。
そう、確かにどの女性たちも強く美しく創造的で魅力的。
「魔女」のイメージを持っている。
それぞれの説明は面白い。
彼女たちからイメージするものに異論はなく、その視点は興味深い。
だが、あまりにも連呼されるので読んでいるうちに食傷気味になってきて、興味が薄れてきてしまう。
結局魔女とは何者だったのか。
中世の記録、特に女性に関しては記述が少ないのだろうが、そこを飛ばして近代から話が始まるのでいささか唐突な気がする。
魔女狩りについてももう少し記述があってもよかったのではないか。
そして、東欧で現在も残る「魔女」たち。
できることなら彼女たちの記述も欲しい。
ゴシックはさけては通れない話なのだろうが、今後日本のゴス趣味の少女たちが羽ばたいていく、というのは上滑りなまとめと感じた。
視点は面白い。
ただ、みんな魔女、という結論ありきになってしまっていること、前半と後半で中身の濃さが異なっていることが不満が残る。
史料も多く含まれておりその点に関しては大変面白いのだが、考察が散漫な印象を受けた。