松永K三蔵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ会社組織の中で誰とも連まず、黙々と仕事をする妻鹿は、山歩きもコースを外れて道なき道を進む「バリ」を好む。
どうしてそんな危険な登山を好むのか。私にはわからず、妻鹿が得体の知れない人物のように思えたが、終盤、そんな見方が逆転した。
仕事も山も、周囲に決められるよりも自分で決める。自分の信念の下に生きる方がスッキリする。
潔いし、カッコいい。どんな条件でも生きて帰って来るバリ山行ができる妻鹿なんだから、生活もどうにかなるでしょ、と思うのはあまりにも楽感的過ぎるかしら。
そしてしがらみだらけの羽多はどうするのかなぁ。バリの面白さに気づいたようだが…。
含みを持たせる終わり方だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても読みやすい文章で、さくさくと読めます。
登山については、自分はやらないものの、動画等で楽しく鑑賞させていただいていて、バリ山行についても知ってはいたのですが、非難の対象にもなっている、というのは吃驚しました。たまたま私が見ていた動画UP主は、ルールをしっかり決めて、それを明言しつつ行動されている方ばかりだったからでしょうか。コメント欄等も友好的なものばかりだったので、初めて知りました。
舞台になっている西宮・芦屋は知っている場所でもあるので、風景を思い出しながら楽しく読ませていただきました。
一方、出てくる人物全員が序盤からどうしても好きになれず、一人称な分、主人公に感情移入も出来な -
Posted by ブクログ
うだつの上がらないサラリーマンの葛藤と山行の緊張感が後半にかけてリンクしていくーー的な小説なんだろうなあと、メタ読みして半ば冷めた目で読み進めていたものの、なんだかんだで惹き込まれて一気読みしてしまった作品。
山の描写の秀麗さに一読の価値あり。「水のあまい匂い」とか、こんなん語感だけじゃんという批判もあると思うが、自分じゃ何年かかっても捻り出せない表現だと思う。
家族すら放り出して山行に明け暮れる主人公の無責任さと、仕事上の哲学も無い様には呆れるが、それもまた良い。妻鹿さんがキャラ立ちしてる分、良くも悪くもどこまでも凡人で、その滑稽さが際立つ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の兄に選ばれなかったカメオと、カメオに選ばれなかった主人公。一人と一匹が同じ様に野山を駆ける。という構図が良い。
正直に言えば、私が「犬を捨てる話」で思い出すのが太宰の畜犬談。あれは別れ際が凄く好きだったため、この二人はどうなるのだろう、と勝手にハードルを上げてしまっていた。さらりと終わる2人の関係性に少し消化不良を覚えてしまった。
カメオの飼い主である亀夫の語られない背景が気になった。
自分を工事現場の人間だと思い込んでいたこと、まともに働いていないこと、以前は陸上自衛隊に所属していた事、それでも犬には良いものを食べさせていたことなどが語られる。本作では悪役でしかなく、因果応報も食 -
Posted by ブクログ
ネタバレまず書き出し、松永K三蔵氏は山歩きだけでなくバイクもこなすのか…これはかなりのレヴェルで乗っているサイクリストしか描けない情景だぞ…と、同じくロードバイクに乗る末端の一人として、その実力にひれ伏すことから始まった。
そして「バリ山行」と同様、私が個人的によく知るエリアが出てくるので、とても馴染み易い。
ラストに至る展開に関しては、この小説を文学作品として成立させるために必要な通過儀礼なのだということは頭では分かるが、バカの付く犬好きとしては理屈を超越して生理的に受け容れ難い…。
また、その文学的な効果についても、高見が憤懣を抱えていく過程があっさりし過ぎているように感じた。
会社員を主人公に