松永K三蔵のレビュー一覧
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ネタバレ歩かせてもらっていただけの登山から、興味本位でバリに足を踏み入れる主人公・波多。なぜ妻鹿さんはバリに行くのか。会社の内情は気にならないのか。リストラが怖くないのか……。そんな波多の疑問をよそに、妻鹿は鬱蒼とした茂みの先へと進んでいく。
短編でありながら、まるで自分も関西の低山にいるかのような感覚に陥った。
数年前、それもバリにぴったりな冬に、正規ルートから外れて必死に藪を漕ぎ、どうにか辿り着いた六甲山山頂のことを思い出した。私の山行は、主人公が感じた恐怖ほどのバリではなかったが、それでも整備された登山道に出た時は、緊張の糸がぷつりと切れてそのまま道に倒れ込みそうになった。この本からは、僅かに -
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まず、バリ山行って?
登山道ではなく、バリエーションルート
つまり自分で道を探し作り登り進んでいく
波多は会社で登山に誘われ、サークル活動のように六甲山に登る
そんな中、バリ山行をしている妻鹿さんも同行することに
会社での仕事の行く末と、バリ山行の行く末がうまくリンクして面白い
もう、途中から妻鹿さんが気になって気になって仕方ない
ラストまで気になるし、なんなら読後も気になってる笑
自分も山登りしますが、バリ山行してる人なんて見たことない
いや、見えないところを登ってるんだな、きっと
やったら病みつきになるんだろうなぁ
達成感違うんだろうなぁ
(危ないけど)
サクッと読める
だって -
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『バリ山行』を気に入った母にプレゼントするために買った。プレゼントの前に読む。
『バリ山行』と同様の読み応えに久々に浸れた。決定的な破滅でもなく、確実な安心感でもない、でも何か吹っ切れたような読後感が同じだ。これは、母も気に入るだろう。そもそも、出てくる地名がいちいちその辺の、よく行く、よく目にする地名だからより身近に思えるのがさらに良い。
タイトルの『カメオ』。あの大理石でできたcameo、装飾品の女性の横顔的な、ペンダントトップのような、それを想起させるのに犬の絵が表紙ってどう言うことだろうかと思いながら読み始めたが。cameoとは全く関係なかった。 -
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『バリ山行』で芥川賞を受賞した松永K三蔵さんの「不条理な可笑しみに彩られたデビュー作」
確かにね。主人公が建築指揮している倉庫の隣家のクレーマー男も、主人公に押し付けられた犬が本性を出してくる様子も、主人公を取り巻くあれこれが全部なんか不条理。でも不気味さではなく、それらに戸惑いつつ苦労している主人公はどこか滑稽です。
ちょっと理不尽な小さな会社や、妙に職人気質な脇役。さらに主人公がきつい運動で自分の存在感を確認しようとする事など、『バリ山行』との類似点も多い。
まだ、小説はこの2作だけの様です。まあ、じっくり面白い小説を書いていただければ。。
ちなみに松永K三蔵さんのHPに以下の様な文章が有 -
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バリエーションルートの内容が、かなりリアル。顔に絡みつく蔦、落ち葉に足がめり込む感触、崖にへばりつく恐怖などを今、この瞬間、体験しているようだった。バリをやっていなくても、ある程度低山を登ったことがある人なら共感できると思う。
また、すべてを忘れるために山へ来ているのに、いつの間にか仕事の不安が頭から離れないところも、「ある、ある!」と頷いてしまった。
芥川賞の割には読みやすいし、登山経験がない人でもサラリーマン経験者ならば、興味深く読めるはず。
ただし、時間を忘れて没頭するほどドキドキもワクワクもなかった。また、読めない漢字が多い。なので満点にはならなかった。 -
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法律とか、社会規範とか、社内規定とか、明文化されたルールから取り溢れた問題への対応を間違えて、どんどん出口が塞がれていく話。
設定されているルール無視で怒鳴り込んでくるクレーマーや言葉の通じない奴がノルマの障壁になっているときに、ルール通りに進めていると締め切りに間に合わないので、ルールからは少し逸脱するがその方がコストがかからずに解決できる、っていう方法があると、現場としてはそれを選ばざるを得ないときがある。
とても小さな嘘を吐いてしまうようなものだ。
でもその嘘と現実の整合性を保つために立ち回っていると、さらに厄介ごとがまとわりついてきて、仕事のためについた嘘に気がついたら自分の私生活が -
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人生を登山に例えて、とだけいうと陳腐な感じもするが同じ登山でもバリルートという、一般の登山道ではないルートを行く登山と会社人としての生き方を対比させた物語。
道なんていうものは最初からあったわけではなく、誰かが切り拓いてそれが維持されるからこそあるのであって結局は自分が信じた道を行くしかない。バリルートを行く妻鹿さんは仕事でも自分の信じた道を進んでいたのだろう。
会社が危ないのでは?との疑心暗鬼からどこかに道がないかを居酒屋で小田原評定を繰り返すものとか、我先に辞めるものとか色々ある中で妻鹿さんの態度は今風ではないけど一つの在り方と思うし自分と似てるとも思う。会社やそれを支える顧客に対して