松永K三蔵のレビュー一覧
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面白かった。
関西の不動産管理の会社で働きながら、妻と生まれたばかりの子を養う生活をしている主人公が、同僚との付き合いのために会社の登山部に入る。最初は山登りに普通に惹かれるが、登山部にも入らずに毎週末バリ山行をしているらしい会社のあぶれ者のメガさんに興味を持つ。
バリエーションを略してバリ、公式の山道ではない藪を漕いで、崖をロープで下ったりする独自ルートを切り拓く山登りの話だ。
人望の厚い高齢の専務が辞め、若社長が大きな経営方針の変更を打ち出し、新方針がうまくいかず、従業員のうち誰がリストラをされるかという疑心暗鬼の中、メガさんだけは従来の業務を秘密で続けつつ、休みの日はバリを続けている -
Posted by ブクログ
・面白かった〜。
・物語内で出会う人(物事)に関わる事で、物語の入り口と出口で登場人物が変化している(成長している)、振り返ってみると、そうした物語の定型に思いっきりなっていて、読む前からすると意外な程、王道な、清々しい気持ちになった。結構ストレートに面白い小説だと思った。
・話途中のいわゆる「バリ」登山のシーンは圧巻で、主人公の心情も相まって自分も一緒に登っている気に(しんどい)。
・エベレストの様な高名な山でなく、そこらの住宅街が近くにある様な山で、こんな事が行われるんだ、という驚き。めちゃ見慣れた世界の知らない側面、それを垣間見た様な背徳感と喜び、みたいな。 -
Posted by ブクログ
波多は転職して今のそこそこ大手の会社に入り、妻娘と社宅で暮らしているが、自分の生来の付き合いの悪さを反省するところもあり、会社の登山サークルに参加するようになっていく。登山の楽しさをわかり始めた頃、会社でやや浮いた感のある妻鹿さんが登山をやっていることを知る。しかも妻鹿さんの登山はバリという登山道じゃない道を行くスタイル。波多は妻鹿さんの生き方(仕事の仕方)にも山登りのスタイルにも反発しながらも引かれるところがあり、そこが描かれていく。
バリ山行の描写などは楽しく読めたものの、主人公の心持ちが今一つ乗れない(共感できない)タイプで入り込めなかった。そもそも家事育児を奥さんに頼りすぎでイラッとす -
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倉庫の施設保全担当である高見のもとに、本社から新たな倉庫の建設を命じられた。必ず期日に間に合わせなければならない高見の前に、不恰好な白い犬を連れた近所の男:カメオが立ちはだかる。彼のクレームはヒートアップし、現場に座り込み始める。犬を隣に座らせて———
ただただ面白かった。
人間のカメオの死によって、犬を預かることになった高見。彼の義理堅さには脱帽する。押し付けられた犬を、そうするしか無いものの、ペット禁止の自宅へと連れ帰り、その日のうちに数々のペット用品を購入する(餌とかお皿とかだけでなく、おもちゃとかも! )。そんな優しい彼は、犬を無意識のうちにカメオと呼び、なんだか愛着が湧いてきてしま -
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『バリ山行』を気に入った母にプレゼントするために買った。プレゼントの前に読む。
『バリ山行』と同様の読み応えに久々に浸れた。決定的な破滅でもなく、確実な安心感でもない、でも何か吹っ切れたような読後感が同じだ。これは、母も気に入るだろう。そもそも、出てくる地名がいちいちその辺の、よく行く、よく目にする地名だからより身近に思えるのがさらに良い。
タイトルの『カメオ』。あの大理石でできたcameo、装飾品の女性の横顔的な、ペンダントトップのような、それを想起させるのに犬の絵が表紙ってどう言うことだろうかと思いながら読み始めたが。cameoとは全く関係なかった。 -
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『バリ山行』で芥川賞を受賞した松永K三蔵さんの「不条理な可笑しみに彩られたデビュー作」
確かにね。主人公が建築指揮している倉庫の隣家のクレーマー男も、主人公に押し付けられた犬が本性を出してくる様子も、主人公を取り巻くあれこれが全部なんか不条理。でも不気味さではなく、それらに戸惑いつつ苦労している主人公はどこか滑稽です。
ちょっと理不尽な小さな会社や、妙に職人気質な脇役。さらに主人公がきつい運動で自分の存在感を確認しようとする事など、『バリ山行』との類似点も多い。
まだ、小説はこの2作だけの様です。まあ、じっくり面白い小説を書いていただければ。。
ちなみに松永K三蔵さんのHPに以下の様な文章が有