松永K三蔵のレビュー一覧
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■はじめに
一気読みだった。140ページという中編の分量もさることながら、何より著者の文体が読み手を離さない。
純文学にありがちな、内面へ内面へと沈み込む心象描写を、あえて前景化させずに、状況・行動・やり取りの積み重ねを通じて葛藤を遺漏なく描く。
キビキビとしてソリッド。冷たくもなく、ハードボイルドにも偏らない、絶妙なバランス感覚が「一気読み」へと導いたと見る。さすがは「オモロイ純文運動」を提唱するだけあります!
■内容&構成
①前半─「お仕事小説」としての顔
物語の前半、正確には1/3余りは建設現場を舞台にした、きわめて現実的な「お仕事小説」として展開。
ここでの主役は隣人クレーマー -
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ネタバレめちゃよい。
主人公の気の好さが滲み出ているし、あまりに普通。普通だからこそ、追い詰められた結果、犬を遺棄しようと思ってしまうし、逃げてしまった後になって後悔の念に襲われるんだと思う。
誰にでも起こりうるエピソードだった。
なんやろ、やっぱり理屈であれこれ考えるより、いやそれも大事なんやけど、直感に従うべき瞬間っていうのは人生にいろいろあるよな、と感じた。
大袈裟かもしれないが笑。
自転車仲間の野犬に追われたエピソードから始まり、主人公が会社に命ぜられて用途不明の倉庫を突貫で建てさせられる。その隣地のいちゃもん男・亀男が飼っているブルテリア。突然ぽっくり逝った亀男に代わって、ブルテリアを育て -
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「人生、仕事か山ばかりじゃない。」
と、誰か私の夫に言ってください。
登山家のサラリーマン夫がうちにいるので、非常に面白く読ませていただいた。
(※夫の場合:仕事<山)
破天荒な夫ですら、バリは行かないらしいので、妻鹿さんはよっぽど変なんだと思う。実は、SNSで炎上したおかげで、儲けて退職というストーリーはないだろうか。
波多さんは、もっと視野を広げて生きるといいのになと思うけれど、日本のサラリーマンはこういう波多さんの考え方が王道なのかもね。
王道を行かなくても、何とかなるけど、バリは困難な道だね。
『バリ山行』の続きをもっと読みたい。
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Posted by ブクログ
「バリ」とは、登山における「バリエーションルート」のことで、舗装されていない道なき道を行くルートである。
本物語では、「社会のルールに則った生き方」と「社会から外れた自分の信じる生き方」(=バリ)が対比されて描かれています。
特に、社会での息苦しさを感じる人に刺さる作品だと思います。
"主人公の波多は、職場での人間関係に馴染めずにいます。そんな折に、ちょっとしたきっかけから登山部に入ります。
登山部は、同僚の松浦が仕切っています。松浦は安全第一をモットーに、入念に準備をして登山に臨むスタイルです。このら松浦のもと、同僚の登山部たちはワイワイ登山を楽しんでいます。
新たな趣味 -
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ネタバレ歩かせてもらっていただけの登山から、興味本位でバリに足を踏み入れる主人公・波多。なぜ妻鹿さんはバリに行くのか。会社の内情は気にならないのか。リストラが怖くないのか……。そんな波多の疑問をよそに、妻鹿は鬱蒼とした茂みの先へと進んでいく。
短編でありながら、まるで自分も関西の低山にいるかのような感覚に陥った。
数年前、それもバリにぴったりな冬に、正規ルートから外れて必死に藪を漕ぎ、どうにか辿り着いた六甲山山頂のことを思い出した。私の山行は、主人公が感じた恐怖ほどのバリではなかったが、それでも整備された登山道に出た時は、緊張の糸がぷつりと切れてそのまま道に倒れ込みそうになった。この本からは、僅かに -
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まず、バリ山行って?
登山道ではなく、バリエーションルート
つまり自分で道を探し作り登り進んでいく
波多は会社で登山に誘われ、サークル活動のように六甲山に登る
そんな中、バリ山行をしている妻鹿さんも同行することに
会社での仕事の行く末と、バリ山行の行く末がうまくリンクして面白い
もう、途中から妻鹿さんが気になって気になって仕方ない
ラストまで気になるし、なんなら読後も気になってる笑
自分も山登りしますが、バリ山行してる人なんて見たことない
いや、見えないところを登ってるんだな、きっと
やったら病みつきになるんだろうなぁ
達成感違うんだろうなぁ
(危ないけど)
サクッと読める
だって