松永K三蔵のレビュー一覧
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今まで読んだ芥川賞受賞作のイメージと違って、わかりやすくて面白かった。
バリ山行シーンは、自然の描写が素晴らしい。没入感があり、自分もメガさんと一緒にバリエーションルートを歩いているような臨場感と高揚感があった。
藪漕ぎを楽しむメガさんの姿が『クレイジージャーニー』アドベンチャーレースの田中正人さんを彷彿させる。
あの異様なまでの「藪漕ぎ」への情熱を実際に観ているので、メガさんのクレイジーな魅力が解像度高く迫ってきて、一気に引き込まれた。(メガさんは鬼軍曹じゃないけど笑)
人付き合いに不器用で不安を抱えがちな主人公と、周りに流されず自分の道をいくメガさん。
両極端のようでいて、自分の中 -
Posted by ブクログ
ネタバレ仕事が忙しくても、社内で不安な空気感が生まれても、波多が奥さんとの関係で好ましくない状況になりつつある時も、なんの影響もなく山に登り続ける妻鹿さんの異質な感じが読者の気を惹く。職人っぽい有能さもある。
妻鹿さんにバリに誘われ、読者の自分としても語り手の波多と同じく、妻鹿さんの意外な一面に新鮮さを覚え、職場ではわからなかった親しみやすさを自分に見せてくれていることへの喜びを感じていた。
その一方で、波多は道中で何度も妻鹿さんの生き方は玄人とか常人を越えた感覚を持っているというよりは、単に仕事の現場や世の中から目を背けているだけじゃないか(しかも本人はそれに気づいていない)と思い始める。つまり -
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自身も建築に身を置きながら山にも登る人間として、これほど五感に迫り、共感で胸が熱くなった。
道なき道を行く「バリ山行」に憑りつかれた職場の先輩・妻鹿(メガ)さん。周囲からは変人扱いされているが、他人の目に縛られず、自分の思う道をただ突き進む不器用な生き様に強烈に惹かれた。仕事においても経験に裏打ちされた絶対的な安心感があり、「自分もこういう人になりたい」と強い憧れを抱いてしまう。
作中、妻鹿さんの「あれは本物だったでしょ?本物の危機、あれだよ」という言葉が深く刺さった。私自身もかつて山で滑落しかけ、「あ、落ちたら死ぬんだな」と生の輪郭に触れた経験がある。だからこそ、理屈ではなく「深く眠るよ -
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いやあ、面白かった。
芥川賞「バリ三行」に続き、松永K三蔵さんのデビュー作。
ある時、急にある建築現場の進捗管理をすることになったロードバイクが趣味の主人公。
しかしその建築現場の隣には厄介なクレーマーがいた。
その名も亀夫。
やんなるほど厄介だが、その男の傍にはただただおとなしく毎日を過ごしている見た目の変わった犬がいた…。
そしてある時ひょんなことから、主人公はその犬の面倒を数日見ることになる。
仕事のストレスは毎日のように振りかかり、住んでいる家はペット飼育禁止のマンション…
バリ三行と同じく読みやすくテンポよくすいすい読めた。
最後主人公と犬はどうなるのか
犬になんだか自分の -
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■はじめに
一気読みだった。140ページという中編の分量もさることながら、何より著者の文体が読み手を離さない。
純文学にありがちな、内面へ内面へと沈み込む心象描写を、あえて前景化させずに、状況・行動・やり取りの積み重ねを通じて葛藤を遺漏なく描く。
キビキビとしてソリッド。冷たくもなく、ハードボイルドにも偏らない、絶妙なバランス感覚が「一気読み」へと導いたと見る。さすがは「オモロイ純文運動」を提唱するだけあります!
■内容&構成
①前半─「お仕事小説」としての顔
物語の前半、正確には1/3余りは建設現場を舞台にした、きわめて現実的な「お仕事小説」として展開。
ここでの主役は隣人クレーマー -
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ネタバレめちゃよい。
主人公の気の好さが滲み出ているし、あまりに普通。普通だからこそ、追い詰められた結果、犬を遺棄しようと思ってしまうし、逃げてしまった後になって後悔の念に襲われるんだと思う。
誰にでも起こりうるエピソードだった。
なんやろ、やっぱり理屈であれこれ考えるより、いやそれも大事なんやけど、直感に従うべき瞬間っていうのは人生にいろいろあるよな、と感じた。
大袈裟かもしれないが笑。
自転車仲間の野犬に追われたエピソードから始まり、主人公が会社に命ぜられて用途不明の倉庫を突貫で建てさせられる。その隣地のいちゃもん男・亀男が飼っているブルテリア。突然ぽっくり逝った亀男に代わって、ブルテリアを育て