三日市零のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれまで読んできたシリーズの中で、私にとって最も心を揺さぶられた一作だった。
読み終えた後、静かに胸に余韻が残り、「これが一番良かった」と素直に思えた。
最初の復讐は、どこか“緩い”印象を受けた。
やろうと思えば、もっと徹底的に追い込むこともできたはずだ。
それでも主人公はそうしなかった。
そこには怒りに任せない“大人の対応”があったのだろう。
しかし同時に、その温情こそが、二つ目の事件を引き起こしてしまったのではないかという思いも拭えない。
もしあの時、容赦なく復讐していれば、磯田幸之助が再び会長に復帰しようなどとは考えなかったのではないか、2つ目の事件も発生しなかった。
そんな「もしも」を考えずにはいられなかった。
復讐において情けを残すことの是非を、読者に突きつける展開だったように思う。
そして迎える終盤、そこには驚くべき大逆転が待っていた。
「そう来たか」と思わずうなってしまう鮮やかな展開である。
それまで張り詰めていた緊張が一気に回収され、心地よい後味を残して物語は幕を閉じる。
この爽快感こそ、本作がシリーズの中でも際立っている理由の一つだろう。
また、本作で最も印象的だったのは、主人公エリスの変化である。
これまでのシリーズでは、彼女は常に冷静沈着で、どこか余裕を漂わせる存在だった。
しかし今回は違った。精神的に追い詰められ、メンタルがボロボロになるまで苦しむ姿が描かれる。
そこには“完璧なヒーロー”ではない、人間としての弱さがあった。
私は、強いばかりのスーパーマンよりも、どこかに弱みを抱えた人物の方に惹かれる。
弱さがあるからこそ、立ち上がる姿に意味が生まれ、応援したくなる。本作のエリスはまさにそうだった。
傷つき、迷い、それでも前に進もうとする。
その姿に強く心を打たれた。彼女は単なる有能な主人公から、感情を共有できる存在へと成長したように感じる。
『復讐は感傷的に』は、復讐の是非を問いながら、人間の弱さと強さの両方を描き切った作品だ。
感傷的でありながら、最後には鮮やかな逆転で読者を救い上げる。
その構成の巧みさと、エリスという人物の深化によって、シリーズの中でも特別な一作になったと感じている。 -
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派遣社員である主人公は彼氏に裏切られるが、そこに居合わせた法律事務所を経営するエリスから合法的な復讐を持ちかけられる…
エリスなんて名前ですがちゃんと現実のお話です笑
エリスのキャラの濃さ、絵のうまさ、話の設定、どれもいい。
これから面白い展開が待ち受けていそうな作品です! -
Posted by ブクログ
ネタバレギリシャ神話に登場する女神エリスは「不和と争いの女神」といわれている。招待されなかった結婚式会場へ「最も美しいあなたへと書かれた金の林檎」を放り込んで皆を混乱へ陥らせる。最終的にはトロイア戦争にまで発展した。この混沌を生み出した彼女は、たった一つの林檎を放っただけで、悪いことをしたわけではない。
この作品は、法律知識に長けた衿須(エリス)が「合法復讐屋」として、社会のグレーゾーンを突いて、①バレても言い逃れできるように上手く立ち回り、②法律の範囲内だけど道徳の範囲外で、様々な依頼を解決していく。
1話目は、6年間付き合った恋人に浮気や金銭問題・暴力などで裏切られた女性が依頼人。法律に触れない方法で元恋人の社会的信用を失わせ、さらに女性が受けた金銭的被害を取り戻す。
2話目は、息子が起こした事件について「息子は誰かに利用された」と訴える父親が依頼人。"バレても言い逃れできるように上手く立ち回る"を実行する犯人だが、エリスには及ばず完敗する。
3話目は、とある事件を調査中の記者が依頼人。法律では十分に裁けない権力者を相手に、潜入捜査を行い、意外な犯人に辿り着く。
4話目は、暴露系SNSアカウントに追い詰められて殺害された娘の母親が依頼人。電車の乗り換えとBluetoothをうまく利用したトリックを見抜き、アカウント主達を罠に嵌めて捕まえる。 -
Posted by ブクログ
連作短編4作それぞれが、物語の起承転結のパターン化の枠にとらわれず、どれも異なる展開を紡いだ物語で、読み応えあっておもしろかったです!!
復讐をテーマにされている分、作中の雰囲気は後ろ暗さがあるものの、文章自体に癖が少なくて読みやすく、読後感もすっきりしました。
章のタイトルの付け方も、きっとこんな話なのかな〜と読む前に話をイメージしやすいタイトルだったので、展開にドキドキしながらも、謎の安心感を持って読み進められました(笑)
正義のヒーロー的な弁護士ではなく、法律を題材にしたギリギリの綱渡りをする法律探偵事務所って目の付け所が良いですよね!
読めて良かったです!
書籍化していただき、ありがとうございます!!