小池水音のレビュー一覧

  • あのころの僕は

    Posted by ブクログ

    「僕」は五歳の時、母を病気で亡くした。以来、2軒の祖父母の家、叔母さんの家を行き来して過ごす。
    ある時、通っていた幼稚園にイギリス帰りの「さりかちゃん」が転入してくる。
    両祖父母も叔母さんも、何不自由なくこの上なく僕を慈しみ、大事にしてくれる。
    そんな生活の中のにさりかちゃんが入ってきた。
    外国暮らしが長く、あまり周囲に溶け込めないさりかちゃんとの距離は徐々に縮まり生活の大半はさりかちゃんと過ごすようになる。
    5歳から6歳にかけての半年ほどの期間の出来事やその時の気持ちなどを大きくなった(高校生くらい)の僕が回想している。
    その時々、思っていたこと、考えてきたこと。
    優しく接してくれる大人たちに対する思い、妻を亡くしなかなか立ち直れない父に対する態度、少し大人びてしっかり者のさりかちゃんと過ごす楽しい時間とだんだんずれていく感覚。
    5歳や6歳にしたら決して大人が思う無邪気さもなく、5歳や6歳だから気持ちや思いは十分に言葉にできず、伝えることができないもどかしさ・・・
    そういうすべてのことを大きくなった僕は思い起こしている。
    それはどんな気持ちだろう。
    後悔ではないだろうし、肯定もしないし、当時に戻りたいわけだもないだろうし。
    まだまだ続いていく未来につながるものであって欲しい。

    あの頃の僕は若すぎて
    君の気まぐれが許せなっかた
    そんな君のやさしさは
    大人びていました
    (作詞・伊勢正三)

    こんな歌がずっと頭の中で流れていました

    0
    2025年01月17日
  • 息

    Posted by ブクログ

    [息]15年ぶりに喘息発作が出てしまった主人公タマキは、実家に立寄りながら幼い頃世話になっていた小川医院を訪れます。10年前に亡くした弟春彦に対する、タマキや父母や小川医院の人々の思いが綴られたストーリーだったと思います。情景描写をするような文章で、感情が前面に出過ぎない好印象な作品でした。
    星4つです。

    0
    2024年12月22日
  • あのころの僕は

    Posted by ブクログ

    お母さんはなくなってしまったけど、たくさんの愛情で育てられた主人公。子どもの心情が繊細に描かれていて、文章に惹きつけられた。朝焼け前の青の描写も素晴らしい。あの場面は感動した。
    ゾウのおばあちゃんの娘に対する愛情も切なくなった。
    ラストはさりかちゃんに会えたのかな?どんな話をしたんだろう。

    0
    2024年12月22日
  • 息

    Posted by ブクログ

    ダヴィンチ・プラチナ本から。表題作☆4.5、B面☆2.5で平均3.5からの☆4つ。B面もつまらなくはないんだけど、表題作の次に読まされると、ずいぶん分が悪い。いかんせん、デビュー作たるB面の、良い部分をグッと洗練させて、さらにそこから膨らませての表題作、って感じだから、その差歴然。その分、表題作はずいぶん素晴らしい出来。

    0
    2024年11月06日
  • 息

    Posted by ブクログ

    評価低すぎないか?

    雰囲気も表現もとても良かった。
    新鮮な描写が多く、また読みたい作家さんだ。

    0
    2024年01月20日
  • 小説 こんにちは、母さん

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「今の神崎の状況について、俺の口からは何も言えない。けれどな、とにかく、じぶんの頭で考えるんだよ。うまいやり方を探すんじゃない。今の神崎だけができることを、神崎の頭を使って考えるんだ。そして考え抜いたら、それを伝えに行くんだよ。じぶんの言葉でな。俺たちにできることは、神崎、てだそれだけなんだ」

    望まない方向へと向かわせているものは、一体何なのか。
    「じぶんの頭で考えるんだ」

    育てているはずの親が、むしろ子どもの方から、多くのことを教わっている。舞がまだ幼い頃には、日々、そんな風に感じて過ごしていた気がする。そう感じなくなったのはきっと、舞が変わったためではなかった。いつの頃からか自分たち 親の方が、舞にたくさんのことを教えなければいけない、正しい道を示してやらなくちゃいけないと、姿勢を変えてしまったのだと思った。

    0
    2023年10月21日
  • 息

    Posted by ブクログ

    帯の文章に惹かれ何気なく手に取った一冊だったけれども、表現、描写が胸に迫ってくるようで、所々で涙が溢れるほどだった。
    「わからないままで」の母、息子、夫のそれぞれの視点で描かれているが、それぞれの思いが痛いほど伝わってきた。
    死に際しての母の思いは、私自身の母と重なり、また、私自身が自分の息子に対して感じていることと重なった。
    繊細だけれども、心にぐっと染み入るようなそんな文章でした。

    0
    2023年06月28日
  • 身体を記す

    Posted by ブクログ

    それぞれの作家さんが身体についてをどう考えているか描かれているアンソロジーなのですが少し内容が難しい部分もあり、半分くらいの理解です…。
    でもら中には「自分にもこの感覚あったなあ」ということが言語化されていてさすがでした。

    0
    2026年10月28日
  • 身体を記す

    Posted by ブクログ

    「私の身体を生きる」と対になっている。
    男性からの視点はやはり理解できないことも正直多かった。
    もちろん、硬軟さまざまな内容だったから、ジェンダーを超えた興味や気づきを得られたこともあり。

    春日太一、済東鉄腸の運動神経考。
    大人になって、運動の良さを知ることが出来たのは僥倖だ。

    0
    2026年10月18日
  • 身体を記す

    Posted by ブクログ

    他者との間で認知される性、身体への戸惑い…。町屋良平、朝井リョウなど、現代で「男性」性を帯びて生きることと真摯に向き合う書き手たちのリレー・エッセイ。「私の身体を生きる」の姉妹版。『文學会』連載を単行本化。

    自分が女性だからか、この本の文章読んで文章自体も含め男ってすごく面倒って思った。

    0
    2026年10月16日
  • 身体を記す

    Posted by ブクログ

    女性の書き手が綴る身体や性にまつわるエッセイ「私の身体を生きる」の、男性版。
    女であり女であることに違和感なく生きてきた私にとっては、女性の書いたものの方が当然共感するところは多かったけれど、男性たちの綴る文章もとても興味深かった。
    男女問わず、どんな属性の人だってそれぞれ尊重されるべきではあるけれど、同質である必要は全くないなと改めて思う。

    女性と比べて、身体やジェンダー、性のことを直接的に書いている人がかなり少ない印象を受けた。
    と同時に、男性が男性性を語ることの難しさとはこういうことかと納得させられる。社会において強い側とされる側が何をどう語るのか、語って良いのか、難しいのかもしれないけれど、もう少し踏み込んだ内容が読みたかったな、というのが正直な感想。
    身体より社会、に意識が向いているように感じた。

    その中でも田中慎弥さんの偏屈さが滲む文章がとても好きだった。好きだったとかも言われたくないのかなとか思っちゃう。なんだかいじらしい愛しさがある。

    最後の最後で朝井リョウが‘やっている’。
    両手を掴んでいたはずなのに、その手を掴んだまま大きく振り回されて、遠心力で吹っ飛ばされたような気持ちで本を閉じた。

    0
    2026年10月02日
  • 身体を記す

    Posted by ブクログ

    他の話は割と身体と(男)性について大切なことを訴えたり、考えを変えなきゃいけないことを真面目に説いていて、正論すぎてやや辟易だったりしたが、尾崎世界観が、自分の心の傷とそれの間違った解消法をプリペイドカードで例えたのが秀逸だったのと、春日太一の身体の見た目からくる運動に対するイメージのギャップと、自分の体なのに思いどおりに動かせていなかったことの気づきに共感した。

    0
    2026年09月30日
  • 身体を記す

    Posted by ブクログ

    「身体を記す」とのテーマでエッセイを読み、テーマとの距離感が掴めない作家がいたり、上から目線で今ひとつ面白くない作家がいたり、なかなか同じテーマで作家それぞれのアプローチが面白い。

    「身体は大きかった」は、幼稚園児で便を垂れた、ペニスなど奔放で話が自虐的で面白い。
    「報酬系との戯れ」は、達成感や快感を刺激するスイッチを押し続けたラットの話はなかなか興味深い。
    「じ論」に至ってはナポレオンと痔、軍隊生活と痔など、痔を語る潔さが面白い。
    ロマンティック恐怖症
    「もしかして体育と運動」の逆上がりのグダグダ感も面白く読んだ。

    0
    2026年09月29日
  • 息

    Posted by ブクログ

    いつか止む風としての息、息という風が吹く間だけの生命。人は各々独立した“装置”であるという孤独。親子、姉弟、夫婦、そばにいても溶け合えぬ身体に分かり合えぬ心を抱きながら、それでも寄り添い生きる人たちの寂しさと幸福が、淡い水墨画のような明るさと陰影を残す作品。

    0
    2026年01月24日
  • あなたの名

    Posted by ブクログ

    病に冒された冬香(ふゆか)74歳は、無用な延命治療をやめ、血の繋がらない娘に協力してもらいながら何とか暮らしています。その娘から求められてAIで自分の分身を作ることに。そのためのインタビューを通じて、冬香は自身の過去を振り返り思い起こしていくことになります。妄想のような幻想のような描写で高齢女性の心情が丁寧に語られているように感じました。後悔の気持ちが前面に出過ぎているようで、私としては少しだけ読み疲れました。星3つの評価といたしました。

    0
    2025年08月13日
  • 息

    Posted by ブクログ

    文体が美しくリズムも心地よくてスッと読めた。けど、2篇の設定に近しいところがあってその共通点を探ったりなどしてしまい深く物語に入っていけなかった。でも文の美しさなどは好きな感じではあったので、小池さんの別の作品を読みたいと思った。

    0
    2024年12月24日
  • あのころの僕は

    Posted by ブクログ

    母を失った5歳の天(テン)。辛い悲しいといった感情もよくわからないまま、父、叔母、祖父母に囲まれて暮らしている彼が、転入生のさりかと出会う物語りでした。幼少の言語化が拙い時期の気持ちを描いた美しいストーリーと思いました。星3つです。

    #美文

    0
    2024年12月17日
  • 息

    Posted by ブクログ

    喘息の幼少期を共に戦った弟を自死で亡くした姉。当時はお互い何も語らなかったが、父も母もそれぞれ弟のことで心に傷を負っていた。
    ちょっと苦手な文体で読みづらかった。

    0
    2024年07月25日
  • 息

    Posted by ブクログ

    自ら命を断つこと、それがどれだけ身内を苦しめるか、それに心が引っ張られて鬱々しくなってしまったが、でも逆に何もない人がその事実によって何者かになれて日々の意識の向かう先を得ることもできる、こうやって物語にすることもできる

    0
    2024年06月05日
  • 息

    Posted by ブクログ

    「息」と「わからないままで」の二つが収録されている。「わからないまま」の方が新潮新人賞を受賞という帯をみて読んでみた。若い著者の本だがそれを感じさせない本だった。

    0
    2023年10月09日