小池水音のレビュー一覧
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ネタバレ「今の神崎の状況について、俺の口からは何も言えない。けれどな、とにかく、じぶんの頭で考えるんだよ。うまいやり方を探すんじゃない。今の神崎だけができることを、神崎の頭を使って考えるんだ。そして考え抜いたら、それを伝えに行くんだよ。じぶんの言葉でな。俺たちにできることは、神崎、てだそれだけなんだ」
望まない方向へと向かわせているものは、一体何なのか。
「じぶんの頭で考えるんだ」
育てているはずの親が、むしろ子どもの方から、多くのことを教わっている。舞がまだ幼い頃には、日々、そんな風に感じて過ごしていた気がする。そう感じなくなったのはきっと、舞が変わったためではなかった。いつの頃からか自分たち 親の方が、舞にたくさんのことを教えなければいけない、正しい道を示してやらなくちゃいけないと、姿勢を変えてしまったのだと思った。 -
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女性の書き手が綴る身体や性にまつわるエッセイ「私の身体を生きる」の、男性版。
女であり女であることに違和感なく生きてきた私にとっては、女性の書いたものの方が当然共感するところは多かったけれど、男性たちの綴る文章もとても興味深かった。
男女問わず、どんな属性の人だってそれぞれ尊重されるべきではあるけれど、同質である必要は全くないなと改めて思う。
女性と比べて、身体やジェンダー、性のことを直接的に書いている人がかなり少ない印象を受けた。
と同時に、男性が男性性を語ることの難しさとはこういうことかと納得させられる。社会において強い側とされる側が何をどう語るのか、語って良いのか、難しいのかもしれないけれど、もう少し踏み込んだ内容が読みたかったな、というのが正直な感想。
身体より社会、に意識が向いているように感じた。
その中でも田中慎弥さんの偏屈さが滲む文章がとても好きだった。好きだったとかも言われたくないのかなとか思っちゃう。なんだかいじらしい愛しさがある。
最後の最後で朝井リョウが‘やっている’。
両手を掴んでいたはずなのに、その手を掴んだまま大きく振り回されて、遠心力で吹っ飛ばされたような気持ちで本を閉じた。
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新潮新人賞受賞作『わからないままで』を収録したデビュー作。
表題作の『息』は、大人になって頻繁に再発するようになった喘息の症状に苦しめられる女性の話。幼少時に同じく喘息を患っており、一年前に亡くなってしまった弟の春彦をめぐり、父親と母親、主治医の娘であり春彦の恋人でもあった女性とも関わりながら、息苦しい中で少しずつ彼の死を受け入れていく。緊張と緩和を行き来しながら、いずれ訪れると信じたい家族の再生の手前のような静けさを感じさせる作品です。
普段はとくに意識することもなく繰り返している“呼吸”という動作が、実はとても豊かで、神聖なものに思えた。春彦はずっと苦しいまま死んでしまったのだろうか。
そして『わからないままで』は、ひとつの家庭の離散がもたらす長きにわたる影響や変化を、妻、夫、その息子の三者の視点から抑制の利いた筆致で描く。
〈出会って、家庭を持って、そうしてどちらかが死ぬまで添い遂げることができたら、もちろんそれはひとつの、喜ばしいかたちだと思う。わたしたちは、そうはならなかった。〉
〈あなたのお父さんとわたしにとって、きっとこれもまたふさわしいかたちのひとつだったのだと、そんなふうに思う。〉
納得のいかなさや不条理な思いを噛み締めながらここまで生きてきて、私もようやく最近はその手応えを得ている。
今はまだわからなくてもいい、わからないままでも大丈夫、いつかきっとわかるのだから、と。根拠のない自信で言い聞かせて、延命するみたいに。 -
Posted by ブクログ
一息一息の呼吸が文字を追うごとに感じて、登場人物たちのリアルな息が伝わって感じました。
二つの物語が収録さてれいる本作ですが、共通しているのが、死に向かっていく人間たちの心情、憂いさがダイレクトに表現されているところで、表題作の「息」は、喘息に悩む姉弟が、日々の生活で、感じる息苦しさを色濃く表現していて、私自身も小児喘息に罹っていた経験があるので、共感する部分も数多くありました。もう一つの「わからないままで」は、両親が離婚し、母と共に生きた男性の物語で、母に末期の腫瘍が見つかり、母との最期の日々を描いた物語で、死に近づくにつれ感じる寂しさなどが、母から感じてきて、別れた夫や息子に対する想いなども表現さてれいて、
涙が出てきそうでした。