小池水音のレビュー一覧

  • 息

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    帯の文章に惹かれ何気なく手に取った一冊だったけれども、表現、描写が胸に迫ってくるようで、所々で涙が溢れるほどだった。
    「わからないままで」の母、息子、夫のそれぞれの視点で描かれているが、それぞれの思いが痛いほど伝わってきた。
    死に際しての母の思いは、私自身の母と重なり、また、私自身が自分の息子に対して感じていることと重なった。
    繊細だけれども、心にぐっと染み入るようなそんな文章でした。

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    2023年06月28日
  • あなたの名

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    病に冒された冬香(ふゆか)74歳は、無用な延命治療をやめ、血の繋がらない娘に協力してもらいながら何とか暮らしています。その娘から求められてAIで自分の分身を作ることに。そのためのインタビューを通じて、冬香は自身の過去を振り返り思い起こしていくことになります。妄想のような幻想のような描写で高齢女性の心情が丁寧に語られているように感じました。後悔の気持ちが前面に出ているようで私としては少しだけ読み疲れました。星3つの評価といたしました。

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    2025年08月13日
  • 息

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    文体が美しくリズムも心地よくてスッと読めた。けど、2篇の設定に近しいところがあってその共通点を探ったりなどしてしまい深く物語に入っていけなかった。でも文の美しさなどは好きな感じではあったので、小池さんの別の作品を読みたいと思った。

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    2024年12月24日
  • あのころの僕は

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    母を失った5歳の天(テン)。辛い悲しいといった感情もよくわからないまま、父、叔母、祖父母に囲まれて暮らしている彼が、転入生のさりかと出会う物語りでした。幼少の言語化が拙い時期の気持ちを描いた美しいストーリーと思いました。星3つです。

    #美文

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    2024年12月17日
  • 息

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    喘息の幼少期を共に戦った弟を自死で亡くした姉。当時はお互い何も語らなかったが、父も母もそれぞれ弟のことで心に傷を負っていた。
    ちょっと苦手な文体で読みづらかった。

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    2024年07月25日
  • 息

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    自ら命を断つこと、それがどれだけ身内を苦しめるか、それに心が引っ張られて鬱々しくなってしまったが、でも逆に何もない人がその事実によって何者かになれて日々の意識の向かう先を得ることもできる、こうやって物語にすることもできる

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    2024年06月05日
  • 息

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    「息」と「わからないままで」の二つが収録されている。「わからないまま」の方が新潮新人賞を受賞という帯をみて読んでみた。若い著者の本だがそれを感じさせない本だった。

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    2023年10月09日
  • 息

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    中短編 2編収録。
    「息」
    喘息患者の苦しみや、命の脆さを強く感じた。
    近しい人を失った家族が、悲しみを乗り越え生きる姿に胸が締め付けられる…
    ストーリーや登場人物の状況は重く悲しみを感じるが、 暗さに沈まず、 希望や再生の光を見出す。
    静かで美しい純文学の魅力に満ちた作品。

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    2023年09月13日
  • 息

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    読んでいて息苦しくなった…
    自殺をしてしまった姉の弟、自殺をしてしまった弟がいる姉の話
    そのことをずっとひきずってしまうその苦しさ…
    自殺は、ほんとに周りを不幸にする。

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    2023年09月10日
  • 息

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    新潮新人賞受賞作『わからないままで』を収録したデビュー作。
    表題作の『息』は、大人になって頻繁に再発するようになった喘息の症状に苦しめられる女性の話。幼少時に同じく喘息を患っており、一年前に亡くなってしまった弟の春彦をめぐり、父親と母親、主治医の娘であり春彦の恋人でもあった女性とも関わりながら、息苦しい中で少しずつ彼の死を受け入れていく。緊張と緩和を行き来しながら、いずれ訪れると信じたい家族の再生の手前のような静けさを感じさせる作品です。
    普段はとくに意識することもなく繰り返している“呼吸”という動作が、実はとても豊かで、神聖なものに思えた。春彦はずっと苦しいまま死んでしまったのだろうか。

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    2023年08月01日
  • 息

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    一息一息の呼吸が文字を追うごとに感じて、登場人物たちのリアルな息が伝わって感じました。
    二つの物語が収録さてれいる本作ですが、共通しているのが、死に向かっていく人間たちの心情、憂いさがダイレクトに表現されているところで、表題作の「息」は、喘息に悩む姉弟が、日々の生活で、感じる息苦しさを色濃く表現していて、私自身も小児喘息に罹っていた経験があるので、共感する部分も数多くありました。もう一つの「わからないままで」は、両親が離婚し、母と共に生きた男性の物語で、母に末期の腫瘍が見つかり、母との最期の日々を描いた物語で、死に近づくにつれ感じる寂しさなどが、母から感じてきて、別れた夫や息子に対する想いなど

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    2023年06月08日