西岡文彦のレビュー一覧
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いわゆる「前衛」芸術を前にした時、何でこれが芸術?、という疑問を感じる人は多いのではないだろうか。
このような疑問を抱く人の多さに対して、答えを見つけられる人はごく一部に限られていた。
誰でもピカソのキュビズム絵画のような作品を前にして、こんなのが○億円!?、だとか、こんなのだったらうちの六歳の娘の方がずっとうまいよ、というようなやり取りを目にしたり耳にした事があると思う。
本書を読めばこの答えが(もしくは自分が前衛芸術を前にした時に抱く疑問が芸術史においてどのように論じられて来たのか)が明らかになる。
本書では芸術家の地位向上、絵画ビジネスの隆盛、「美」の解釈の変遷という三つのテーマ -
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あの有名なピカソである。誰でも知っているようで知らないピカソだ。
画家は貧乏、と云うのがある意味で定説になっているし、ゴッホのように今や如何に高額で取引される絵画であろうとも生前は貧乏でなければ物語性が失われるという感じだ。そしてピカソですら若い頃は貧しくてさまざまな色の絵の具を買うお金が無いことから「青の時代」は生まれたと、貧乏物語が一人歩きしている。
だが、本書によるとピカソは貧乏だったことは無いと断言する。強いて言えばスペインからパリに出てきた最初の2年間がそうとも言えるが実家からの仕送りも加えスポンサーも付いていたので必ずしも食うに困っていたわけではないのだという。へっ?伝説ってそ -
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ネタバレ『ピカソは本当に偉いのか?』
★★★★★★★☆☆☆
本書は、以下の疑問を投げかけている。
1. ピカソの絵(「アビニョンの娘たち」を中心として)は本当に美しいのか、どこがうまいのか
2. 見るものにそういう疑問を持たせる絵がどうして偉大な芸術とされるのか
3. どうしてこれほどの高値がつくのか
4. ピカソのような絵は誰でも書けるのではないか
5. そう思わせるような絵を偉大とする美術界はどこかおかしいのではないか
6. そういう絵にこれほどの高値をつける美術市場もどこかおかしいのではないか。
それらに対する返答。
1. ピカソの絵は、それ以前の美術の基準に照らせば美しくな -
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著者は、版画家で多摩美大の教授である。『絵画の読み方』など、多数の本を出している。ピカソについて知りたかったので、読んだ。
ピータードラッガーはいう「問題が解決できないのは、正しいに問いに間違った答えを出すからではなく、問違った問いに、正しい答えを出そうとするからである」
この題名の作り方が、明らかに失敗している。「正しい問い」を作れなかった。ピカソが偉いのかどうかを問うても、ピカソに対する正しい答えを見出すことができない。
「偉い」とは、①普通よりもすぐれている。②人間としてりっぱですぐれている。③偉大でである。
ということなので、この3つ項目で、4人の愛人と2人の妻がいたことを著者は問題と -
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ネタバレ「自分語り性」と「前衛性」
美術史上、ピカソほど生前に経済的な成功に恵まれた画家はいないらしい。そんな彼の「偉大さ」を問い直すといった内容だ。ピカソファンとしては改めて彼の「偉大さ」に敬服することとなった。ピカソの作品は、油絵だけで1万3千点、版画や素描や陶芸など、油絵以外の作品は13万点を超える。
16世紀の宗教改革を契機として、絵画の買い手が教会から市民となる。主題を失った画家たちが描き始めたのが市民の肖像や市民生活の一場面や静物や都市景観や田園風景といった世俗的な題材で、風景画や静物画といったジャンルはこの時期のオランダで生まれた。画商のおこりもオランダである。(17世紀)そして、1 -
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天才画家たちが名画に残した秘密のメッセージはなにか。繊細な取材と果てしない想像力で、人間としての画家達のドラマが表現されている。
ゴッホの晩年、自傷し最後は自殺する狂ったような時期。ゴーギャンは、2ヶ月間をともにする。黄視症を煩ったゴッホは、更に強い黄色を用いてひまわりを描いた。
モナリザは、レオナルド・ダ・ヴィンチが愛人サライに贈ったもの。同性愛だった。
フェルメールの絵画には、背景に絵が飾られている。天秤は平行になっていて、宗教的な意味や性的な意味合いをもたせている。こうした絵画に潜むメッセージは、まだまだ見つかっていないものも多いはず。改めて、美術鑑賞の楽しみ方を教えてくれている -
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芸術の価値というモノは本当に不可解なものである。
特にピカソをはじめとして、「前衛」的なものはその最たるもの。
それらの作品を前にしたとき思う疑問、「これは、芸術なのだろうか。なぜこんなものに価値があるのだろうか。自分でも造れる、描けるのでは。」
などなど、疑問が浮かびつつも
「やっぱり、いいねぇ」
などと、つい知ったかでのたまってしまう。
この本はピカソをはじめとした前衛芸術について、それらの疑問に対してある程度の納得できる答えをくれる。
特に宗教改革、フランス革命やダヴィンチの進化論などの文化・歴史的背景が芸術に及ぼした影響など、なるほど~と。
ピカソがなぜモテるのかといった人生につい -
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現代美術のよくわかなさについて、ピカソを題材にしながら解説した美術論。
だけど、平易な言葉で、わかりやすく、ピカソってなんでそんなに偉いの?という、庶民の素朴な疑問を解き明かしている。
美術論、などというと、まず言葉の意味が全く分からない。現代美術館に行ったときなんかは、絵も大体意味不明だし、横の解説も競うように意味が分からない、というようなもので、まるで相手にされていないというような淋しい気分で帰ってくることが多い、私のようなど庶民において、この本は非常に痛快であった。
ピカソは父親からの英才教育と天才的な画力、それから時代の波を機敏に感じ取る感性と、ビジネスマン的手腕、そしてなにより本人