西岡文彦のレビュー一覧
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西洋絵画の裏歴史というべきか、画家や作品ではなく世界史から絵画の道具、さらには政治やビジネス戦略から絵画を見るとこうも切り口が出てくるのか、とワクワクした一冊です。
元々は宗教画など崇高で神聖なものとされた絵画は、宗教改革や偶像崇拝の禁止の影響で大口取引だった教会や聖職者を失い、あらたな消費者として市民へ間口へ広げていった。一方で富豪のメディチ家は自身のもうけによる罪から逃れるために、芸術への支援を行いそれが現在のアートにもつながった。
こうした歴史背景から絵画がどのように利用されていったか、続く章で考察されていきます。
絵を描くためのキャンバスの誕生が芸術に与えた影響。
ナポレオンの芸 -
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絵画、彫刻の「恋愛にまつわる物語」をまとめた一冊。
恋愛を描いた名画の物語もあれば、名画を描いた画家自身の物語も。
著者の西岡文彦さんは、版画家、多摩美術大学の教授でもあり、沢山の美術本を書かれている方。
また、『日曜美術館』、『世界一受けたい授業』、『芸術に恋して』、『誰でもピカソ』、『タモリ倶楽部』等、様々なテレビ番組も手がけているようです。
西岡さんの本を読むのは二冊目。文体としては、中野京子さんに比べると真面目な印象だけど、主観をあまり入れないので、俯瞰で美術の世界を見ることが出来る。
だからといって堅すぎもなく、バランスが絶妙です。
収録作品は、モディリアーニを最後まで献身的 -
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【ビジネス戦略から読む美術史】 西岡 文彦 著
編集者が付けたタイトルと思いますが、内容からすれば「西洋史における美術」という感じです。
プロテスタントが偶像崇拝を禁じたことから商業絵画がオランダで開花。当時、「家政は国政の礎」とされて、家政婦の社会的位置づけは高く、フェルメールが「牛乳を注ぐ女(家政婦)」を描いて、パン屋の広告に使われたという話から、ダ・ヴィンチ、ナポレオンなどの史実を踏まえて、19世紀ころまでの西洋史(+米国史)を新書サイズに一気に書き上げた内容になっています。
読んでいるうちに、「これ、歴史の本じゃないの?」と思うときもままあり、金利の話やそれによるユダヤの位置 -
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多摩美術大学教授で、テレビの美術系番組の企画も行う著者による、ビジネスの視点に立った美術史。西洋絵画を主体に、単に画家や美術作品そのものを評価するのではなく、ビジネスの視点から画家やそのオーナーなどが成功を収め、需要に応えることによって宗教画や自画像、印象派の絵画へと移っていったことを説明している。フェルメールもレオナルド・ダ・ヴィンチもレンブラントもビジネス的に上手く時代にはまったからこそ、現在でも高価な値がつく作品を残せたことに納得した。美術には素人である私でも興味深く読み進められた。勉強になった。
「フェルメールのように無名の少女や家政婦を主人公にした絵は、宗教改革が宗教絵画を禁止した -
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絵画ビジネスのバブルという背景。ピカソの英才教育でのデッサン力、破壊性、異常な人格、そこから出来上がる前衛作品。いろんなことがその時代にマッチして大成功したという感じか。
あまり興味がなかった美術の歴史やピカソについていろいろわかって面白かった。
ピカソの絵を自分でも描けると思う人がいるって驚き。私は美術に詳しくないし、わからないけど、あれを見たことのない時に描けるのかと言われたら描けるわけない。
でも、この絵がなんでこんな高価なの?とか、中にはどこがいいんだろう?と思う絵もある。
自分は飾りたい?いや飾りたいとは思わない。
今日でいう芸術家は工事と同じで安い給料で働いていた。19世紀末 -
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芸術家、美術大学教授の筆者が、誰もが思うであろう、ピカソの絵の法外な価格や、その芸術的評価の理由について、ピカソの天才性や、芸術というものの成り立ちなどの観点から教えてくれる。
美術になど全く興味がない自分には、ピカソを始めとした現代芸術の絵というのに、100億という値が付くというのがまず驚き。
そして、ピカソ自身生涯で14万点という作品を制作しており、総資産は7000億を超えるとか。
まさに王。
ピカソがそんな圧倒的な存在だとは、ちょっと想像を絶していた。
現代の美術というものは実用性を徹底的に排し、絵そのものに絵を語らせることに主眼をおいており、革新的な理論を乗せた学者の論文のようなも -
Posted by ブクログ
芸術って、どこか不思議な世界。数学や物理のように明確に説明できるわけじゃないだけに、理解出来ないことも多い。かといって「わかんない」とも言い難いシーンもあったりするので、つい「天才のすることは私のような凡人には理解不能」と、自分を卑下して終わりにしてしまうという経験をしたことのある人も、少なくないだろうと思う。
ピカソのキュビスムも、その際たるもののひとつ。しかもその理解し難い作品に途轍もない高値がつけられているのだから、余計にわけがわからなくなる。
正直、私にとってピカソやブラックのキュビスムは、中学の頃にはトラウマでもあった。セザンヌやゴッホは私に安らぎをくれるのに、ピカソのキュビスム