ジル・ペイトン・ウォルシュのレビュー一覧

  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎

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    『ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎』
    著者 ジル・ペイトン・ウォルシュ
    訳者 猪俣美江子

    学寮付き保健師〈イモージェン・クワイ〉シリーズ二作目になります。前作よりもストーリーの組み立て方が好みで、テンポも良かったです。とても面白く読ませて頂きました。

    今回のお話は、イモージェンが友人のパンジーとシャーリーと共に、キルト作りをするシーンから始まります。三人はキルト作り愛好家のメンバーで、年末に開かれる予定の赤十字の福引大会に寄付する作品のパターンを考えています。この最初の場面だけでも、複雑なパターンから成るキルトの魅力が伝わってくるようです。

    そして本筋では、イモージェンの住まいに下宿す

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    2024年11月17日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    懐かしく温かみがあるミステリ。最後の2行でなんとも満ち足りた気分にさせてもらったが、ああそういえば殺人事件だった…と、良い読後感を持ったことがちょっと後ろめたかった^^;
    主人公がとても好ましく、やたらに背伸びしたり出しゃばったりしない。常識がありきちんと世間に向き合っている。皆に信頼されている様が良い。
    なんといっても、イモージェンという名前が素敵。ジェーンでもケイトでもメアリーでもなく、イモージェン!個性的で覚えやすく、こんなに主人公の名前に注目したのは初めてかも。

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    2023年03月04日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    ネタバレ

    登場人物が少しずつ関与して起きてしまった事件。みんなの思い込みや思惑によってフィリップは未来を奪われ、主人公が解明しなければ汚名まで背負うことになるところだった。
    イモージェンにいいひとが現れてくれることを祈りたいですね。

    最後、未来が繋がれるところに悪いことばかりじゃなくてうるっときました

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    2025年11月22日
  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎

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    キルトの図案をどうしよう、という縫い物友達との楽しいやりとりから、この話がはじまる。
    「難破船(ロストセイル)」「バラの羅針盤(コンパスローズ)」など、素敵な名前の伝統模様。

    キルト、というと日本人はタータンチェックを思い浮かべると思う。ここでいうキルトはそうではなく、日本でいうと手芸の「パッチワーク」に近い。

    日本語で検索しても、このトラディショナルキルトパターンの図柄は、ほとんど出てこず、「patchwork quilt pattern"connpass rose"」などで検索すると出てくる。

    めんどくさいけど、検索しながら読んで良かったー!という印象。繰り返しの

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    2025年08月19日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    大学でのミステリー。保健師という立ち位置のクワイ。その地に足がついた 平等さ、良識や プロフェッショナル としての振る舞いは人を信用させ 人の口を開かせる。

    推理はもとより
    誰に何を告げようか
    自分の及ぼす影響や 結果を慎重に 吟味しそれでも 堅実を 良識に基づいて前に進める姿勢。それはとても安心してストレスに満ちた ストーリーを読み進めていける。

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    2025年08月02日
  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎

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    ネタバレ

    学寮付き保健師の主人公が下宿人が巻き込まれた厄介な伝記の執筆に関わっていくお話。

    退屈な伝記のゴーストライター、キルト作りにテストの不正と色んな事が並行して出てくる。
    後半から色々と情報が繋がりだしてきて面白い。

    主人公のバイタリティと行動力がすごい。後、地味に色んなコネクティングがあるし警官の友人が有能すぎる。

    フランの熱くて猪突猛進な所すごい。海外だなと思うのは普通の会話のやり取りで男女平等とかが出てくる所。

    この話、主人公が肉体的にも精神的にも痛めつけられ過ぎてちょっと可哀想になる。

    犯人達も利己的で地位にしがみついた哀れな人達って感じ。

    ラストの終わりが気持ちいい。

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    2025年05月31日
  • 貧乏カレッジの困った遺産

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    ネタバレ

    イモージェン・クワイシリーズ第三弾。

    カレッジの卒業生である大企業の経営者の死亡事故に不信感を抱いた主人公が元彼と独自に捜査に乗り出す話。

    二弾読んでないけど先に読んじゃった。
    イモージェン、地味に色んな人と繋がりがあって話術もあるし探偵向いてる。

    アンドルーも悪くない奴なんだろうけど終始イライラする。イモージェンに甘えすぎだろ。主人公は早く吹っ切れて忘れた方が良いよ……。

    犯人当てとか考えずに読んでたけど、真相が分かると結構伏線がいろいろと散らばってたなって感じ。

    マックスが本当にただのクズ男でちょっと笑った。経営者としても駄目だったし。

    サラッと前科持ち医師が出てきたり情報量多

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    2025年04月26日
  • 貧乏カレッジの困った遺産

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    『学寮付き保健師〈イモジェン・クワイ〉』シリーズの三冊目ですね。
     イモジェン・クワイはセント・アガサ・カレッジのディナーに招待された。カレッジの卒業生で、大会社の会長ジュリアス・ファランを招待してのディナーで、女性の参加者を学寮長が探していたのだ。
     もちろん、イモジェンは参加することに…♪
     ところが、元セント・アガサ・カレッジの経済学者だったのが、ファランに引き抜かれて、〈ファラングループ〉のエージェントになっているアンドルー・ダンカンが、イモジェンの家に転がり込んでくる。
     アンドルーは、イモジェンの元恋人で、今は結婚しているはずだが……?
     
     これ以上は、ネタバレになるので、差し控

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    2025年02月08日
  • 貧乏カレッジの困った遺産

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    ネタバレ

    シリーズ三作目。アガサ・クリスティ系のコージーミステリーを探していて、こちらの作者にたどり着きました。小説は得意でない方ですが、この著者の作品は三作ともスラスラ読めました。
    今回は経済が絡んでいて大学色が薄まっていますが、その分イモージェンの恋愛要素が多くなっています。
    今回もあっという展開があり、前に戻って確認したくなるところがあるなど見所があります。
    個人的には二作目の数学の話が入ってる雰囲気が好きです。最後になる四作目も翻訳されるそうなので発売されたらすぐに購入して読みたいです。

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    2024年12月27日
  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎

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    「イモージェン・クワイ」シリーズの二作目ですね。
    イモージェンはケンブリッジ大学のセント・アガサ・カレッジのカレッジ・ナース(学寮付き保健師)。
    彼女の家の二階に下宿している、カレッジの学生フランセス(フラン)・ブリャンが、お金に困っていたが、新任の伝記文学講座の教授レオ・マヴェラックから、ある数学者の伝記を書く仕事を依頼される。
     ところが、この伝記は、先任が三人もいて、いずれも仕事を投げ出して、急死したり行方不明になったりしていた。不審に思ったイモージェンが調べだすと、数々の疑問や、厄介事が出てくる…………?

     二作目なので、登場人物に馴染みが出て来ている分、物語に集中して、スピード感の

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    2024年12月21日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    ネタバレ

    なんて言ったらよいのか。ヒロインのまっすぐな性格と正義感は好ましかった。でも、ちょっとした悪意と不運な出来事が重なって引き起こされた殺人事件。上手く話はまとまったが、傲慢で不遜な人達が、ろくに反省もせずにのらりくらりと生きのびる。暦のトリック?みたいなものは、後出しジャンケンみたいだが、当時そんな事があったのかとびっくり。

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    2024年05月05日
  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎

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    前作よりは背景に納得できる。伏線に整理があったらな、とは思うものの←超偉そう なかなかのまとまり。いかにもありそうな感じでした。特によかったのはラストシーン。人生最後にこの風景が見られたこと、自分のことのように嬉しかったです。

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    2024年01月14日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    どんでん返しというよりは何層にも重なった謎を一枚ずつめくって真実を探していく感じ。ヒントは至る所に散らばっていたが、最後繋がるところは綺麗だった。それはそれとして基本淡々と進むため、短いのに読むのが苦痛なパートが多かった

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    2023年02月13日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    あっという間に読めちゃった。あまりに幼稚なケンブリッジ大学生にため息、、そして大人たちもそこそこ幼稚、、、。亡くなった方が気の毒になるレベル。ラストの顛末はよかったです。

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    2023年01月25日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    何人かのほんのちょっとの弱さ、ほんのちょっとのイタズラ心が絡み合って事件になってしまった。2人の若者が亡くなってしまう。そしてラスト。正解かどうかわからないけど、未来のために正しい選択をしようとする何人かの人。人間の弱さと美しさ、社会には両方あって、、、面白かった。

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    2023年01月23日
  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎

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    ケンブリッジ大学の保健師・イモージェンを主人公にしたシリーズ2作目。
    大学の数学教授(故人)が有名な数学の賞の候補になった事から、教授の妻が教授の伝記の執筆を伝記学者に依頼する。学者は、それを教え子に書かせる。イモージェンの家の下宿人のフランが伝記執筆をする事になるのだが、既に3人もの人が伝記執筆途中で姿を消している。なぜなのか、フランは大丈夫なのか?

    ケンブリッジでも、女性が学位を取れなかった時代があったことや、女性達の精密な作業から生まれるパッチワークキルトが謎解きの重要なピースになっていて、おもしろい。

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    2025年10月06日
  • 貧乏カレッジの困った遺産

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    シリーズ第三弾。

    ケンブリッジ大学の貧乏学寮・セント・アガサ・カレッジで学寮付き保健師(カレツジ・ナース)として働くイモージェン。
    彼女はカレッジが開いたディナーの席で、同カレッジのOBで大規模な金融グループ〈ファラン・グループ〉の会長であるサー・ジュリアスから自身が誰かに命を狙われている旨を打ち明けられます。
    その数ヶ月後、サー・ジュリアスが崖から転落死したというニュースを聞いたイモージェンは、その死に疑問を抱いて調査に乗り出しますが・・。

    今回はカレッジ内の事件ではないので、前二作のような大学ならではの情景描写は控えめで、大企業〈ファラン・グループ〉のゴタゴタというかドロドロした内幕が

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    2025年03月23日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    ネタバレ

    面白い英国ミステリが読みたくて衝動買いしたが、まあ普通だった。あとがき(三橋暁)に―ー自動文学を寓話の領域から現実の世界に招き寄せた書き手として、フィリバ・ピアス、K.M.ペイトン、ロバート・コーミアと並び称されていきた。—ーという一文を発見してうれしくなる。

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    2024年12月18日
  • ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎

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    シリーズ第二弾。

    ケンブリッジ大学のカレッジ・ナース(学寮付き保健師)・イモージェンの家に下宿する学生・フランが、担当教授のゴーストライターとして、今は亡き数学者・ギデオンの伝記を執筆することに。
    ところがその伝記は、前任の執筆者たちが死亡や行方不明などで次々と頓挫していた曰くモノで・・・。

    今回はいきなり死体が発見された前作と異なり、序盤は穏やかなのですが、件の数学者の経歴の不可解な部分を追求していくうちに、色々不穏になってきて結果事件と繋がっていくという展開です。

    冒頭でイモージェンが友人達とパッチワークの制作している場面があり、その後もパッチワークキルトのテキスタイルについてのパー

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    2024年02月06日
  • ウィンダム図書館の奇妙な事件

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    古典ミステリー、いや1992年は古典なんだよ……そうだよな…30年前じゃん…
    とあとがき読んでひきつった。
    元はYA系作家ということで1990年代のコバルトミステリーを読んで育った読者の私はすごく入り込みやすい。
    コバルトミステリーの主人公ってざっくりいうと「正しい」人間。
    理不尽なおとなのやりかたとかいじめがけったくそ悪いと思える人間であることが多い。弱虫だったりこずるかったりするけど読者にストレス与えないように設計されている。
    この主人公イモージェン・クワイもそう。
    ケンヴリッジの住人(生徒・講師・スタッフ・教授)にある特権意識を批判的に見ているし、被害者であるフィリップを思いやるちゃんと

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    2023年10月07日