ジル・ペイトン・ウォルシュのレビュー一覧
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『ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎』
著者 ジル・ペイトン・ウォルシュ
訳者 猪俣美江子
学寮付き保健師〈イモージェン・クワイ〉シリーズ二作目になります。前作よりもストーリーの組み立て方が好みで、テンポも良かったです。とても面白く読ませて頂きました。
今回のお話は、イモージェンが友人のパンジーとシャーリーと共に、キルト作りをするシーンから始まります。三人はキルト作り愛好家のメンバーで、年末に開かれる予定の赤十字の福引大会に寄付する作品のパターンを考えています。この最初の場面だけでも、複雑なパターンから成るキルトの魅力が伝わってくるようです。
そして本筋では、イモージェンの住まいに下宿す -
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キルトの図案をどうしよう、という縫い物友達との楽しいやりとりから、この話がはじまる。
「難破船(ロストセイル)」「バラの羅針盤(コンパスローズ)」など、素敵な名前の伝統模様。
キルト、というと日本人はタータンチェックを思い浮かべると思う。ここでいうキルトはそうではなく、日本でいうと手芸の「パッチワーク」に近い。
日本語で検索しても、このトラディショナルキルトパターンの図柄は、ほとんど出てこず、「patchwork quilt pattern"connpass rose"」などで検索すると出てくる。
めんどくさいけど、検索しながら読んで良かったー!という印象。繰り返しの -
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ネタバレ学寮付き保健師の主人公が下宿人が巻き込まれた厄介な伝記の執筆に関わっていくお話。
退屈な伝記のゴーストライター、キルト作りにテストの不正と色んな事が並行して出てくる。
後半から色々と情報が繋がりだしてきて面白い。
主人公のバイタリティと行動力がすごい。後、地味に色んなコネクティングがあるし警官の友人が有能すぎる。
フランの熱くて猪突猛進な所すごい。海外だなと思うのは普通の会話のやり取りで男女平等とかが出てくる所。
この話、主人公が肉体的にも精神的にも痛めつけられ過ぎてちょっと可哀想になる。
犯人達も利己的で地位にしがみついた哀れな人達って感じ。
ラストの終わりが気持ちいい。
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ネタバレイモージェン・クワイシリーズ第三弾。
カレッジの卒業生である大企業の経営者の死亡事故に不信感を抱いた主人公が元彼と独自に捜査に乗り出す話。
二弾読んでないけど先に読んじゃった。
イモージェン、地味に色んな人と繋がりがあって話術もあるし探偵向いてる。
アンドルーも悪くない奴なんだろうけど終始イライラする。イモージェンに甘えすぎだろ。主人公は早く吹っ切れて忘れた方が良いよ……。
犯人当てとか考えずに読んでたけど、真相が分かると結構伏線がいろいろと散らばってたなって感じ。
マックスが本当にただのクズ男でちょっと笑った。経営者としても駄目だったし。
サラッと前科持ち医師が出てきたり情報量多 -
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『学寮付き保健師〈イモジェン・クワイ〉』シリーズの三冊目ですね。
イモジェン・クワイはセント・アガサ・カレッジのディナーに招待された。カレッジの卒業生で、大会社の会長ジュリアス・ファランを招待してのディナーで、女性の参加者を学寮長が探していたのだ。
もちろん、イモジェンは参加することに…♪
ところが、元セント・アガサ・カレッジの経済学者だったのが、ファランに引き抜かれて、〈ファラングループ〉のエージェントになっているアンドルー・ダンカンが、イモジェンの家に転がり込んでくる。
アンドルーは、イモジェンの元恋人で、今は結婚しているはずだが……?
これ以上は、ネタバレになるので、差し控 -
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「イモージェン・クワイ」シリーズの二作目ですね。
イモージェンはケンブリッジ大学のセント・アガサ・カレッジのカレッジ・ナース(学寮付き保健師)。
彼女の家の二階に下宿している、カレッジの学生フランセス(フラン)・ブリャンが、お金に困っていたが、新任の伝記文学講座の教授レオ・マヴェラックから、ある数学者の伝記を書く仕事を依頼される。
ところが、この伝記は、先任が三人もいて、いずれも仕事を投げ出して、急死したり行方不明になったりしていた。不審に思ったイモージェンが調べだすと、数々の疑問や、厄介事が出てくる…………?
二作目なので、登場人物に馴染みが出て来ている分、物語に集中して、スピード感の -
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シリーズ第三弾。
ケンブリッジ大学の貧乏学寮・セント・アガサ・カレッジで学寮付き保健師(カレツジ・ナース)として働くイモージェン。
彼女はカレッジが開いたディナーの席で、同カレッジのOBで大規模な金融グループ〈ファラン・グループ〉の会長であるサー・ジュリアスから自身が誰かに命を狙われている旨を打ち明けられます。
その数ヶ月後、サー・ジュリアスが崖から転落死したというニュースを聞いたイモージェンは、その死に疑問を抱いて調査に乗り出しますが・・。
今回はカレッジ内の事件ではないので、前二作のような大学ならではの情景描写は控えめで、大企業〈ファラン・グループ〉のゴタゴタというかドロドロした内幕が -
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シリーズ第二弾。
ケンブリッジ大学のカレッジ・ナース(学寮付き保健師)・イモージェンの家に下宿する学生・フランが、担当教授のゴーストライターとして、今は亡き数学者・ギデオンの伝記を執筆することに。
ところがその伝記は、前任の執筆者たちが死亡や行方不明などで次々と頓挫していた曰くモノで・・・。
今回はいきなり死体が発見された前作と異なり、序盤は穏やかなのですが、件の数学者の経歴の不可解な部分を追求していくうちに、色々不穏になってきて結果事件と繋がっていくという展開です。
冒頭でイモージェンが友人達とパッチワークの制作している場面があり、その後もパッチワークキルトのテキスタイルについてのパー -
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古典ミステリー、いや1992年は古典なんだよ……そうだよな…30年前じゃん…
とあとがき読んでひきつった。
元はYA系作家ということで1990年代のコバルトミステリーを読んで育った読者の私はすごく入り込みやすい。
コバルトミステリーの主人公ってざっくりいうと「正しい」人間。
理不尽なおとなのやりかたとかいじめがけったくそ悪いと思える人間であることが多い。弱虫だったりこずるかったりするけど読者にストレス与えないように設計されている。
この主人公イモージェン・クワイもそう。
ケンヴリッジの住人(生徒・講師・スタッフ・教授)にある特権意識を批判的に見ているし、被害者であるフィリップを思いやるちゃんと