ジル・ペイトン・ウォルシュのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ歴史と伝統のあるケンブリッジ大学の雰囲気や、美しい風景、庭園の描写には惹きつけられた。
謎が少しずつ解けていく楽しさもあるのだけど、読後にはモヤモヤが残ってしまった。
ケンブリッジ大学が舞台なのに、学生たちのカーストやいじめがあまりにも幼稚で、私が思い描いていたケンブリッジ大学のイメージとはどうも重ならない。これが中学生の話ならすんなり納得できるんだけど……。
そして何より事件が決着したあとも、どうにも割り切れないモヤモヤが…。
一方で、保健師のイモージェンは誠実で好感が持てた。保健師という立場や知識を活かして事件に関わる設定も面白い。
ケンブリッジの雰囲気と保健師イモージェンの活躍を楽しむコージー寄りの作品として読めば楽しい。
でも、コージーとして読むには陰湿ないじめや殺人など辛くなる場面もある。
結局どこに軸を置いて読めばいいのか掴みきれなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレイモージェン・クワイシリーズの第3弾。今までとは毛色が違う話だった。まず大学が舞台ではなく、アカデミックな雰囲気もかなり削がれて、普通のミステリだった。ちょっと残念。
セント・アガサ・カレッジの卒業生である大企業「ファラン・グループ」の会長が転落死する。さらに後継者も殺されてしまう。内部告発、スキャンダル、株の大暴落が起こり、それがセント・アガサ・カレッジの存続危機に繋がってしまう。周りの人間が会社や大学の一大事に右往左往する中、イモージェンは1人、一連の事件の犯人を探し出す。
期待していた話ではなかったけど、まあまあ面白かった。でもイモージェン、アンドルーに失恋したみたいになっているけれど、彼は落ち着きないし、勝手な奴だし、全く魅力的じゃない。くっ付かなくて大正解。
イモージェンクワイのシリーズはあと1作あるそうだ。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第三弾。
ケンブリッジ大学の貧乏学寮・セント・アガサ・カレッジで学寮付き保健師(カレツジ・ナース)として働くイモージェン。
彼女はカレッジが開いたディナーの席で、同カレッジのOBで大規模な金融グループ〈ファラン・グループ〉の会長であるサー・ジュリアスから自身が誰かに命を狙われている旨を打ち明けられます。
その数ヶ月後、サー・ジュリアスが崖から転落死したというニュースを聞いたイモージェンは、その死に疑問を抱いて調査に乗り出しますが・・。
今回はカレッジ内の事件ではないので、前二作のような大学ならではの情景描写は控えめで、大企業〈ファラン・グループ〉のゴタゴタというかドロドロした内幕がメインに描かれている印象です。
ミステリ的には疑惑の転落死からの、第二の殺人発生といったシンプルな流れで、真相の意外さも含めて普通に楽しめるのですが、個人的にイモージェンと共に調査をする、アンドルーの言動に終始モヤモヤしちゃいました。
このアンドルーが、イモージェンの元カレ的なポジションなのですが、気が多くて軽薄だし、調査の時もイモージェンの足を引っ張るような言動ばかりした挙句、途中からは調査自体をイモージェンに丸投げしちゃうという・・(-_-;)
で、イモージェンもイモージェンでアンドルーのどこがいいのか、彼への未練を断ち切れず、完全に"都合のいい女"になってしまっているので、読みながら"もしコイツとよりを戻したとしても、100%浮気するから止めとき!"と、イモージェンの肩を揺さぶりたくなった私です。
と、いうことでミステリ云々よりもイモージェンの事が色々と心配になった本作でございました。
ラストでの寂しそうな彼女の姿に、しんみりとした気持ちになりながら、いつかイモージェン自身に幸せが訪れるよう祈らずにいられなくなった次第です。
因みに解説によると、著者のジル・ペイトン・ウォルシュさんが2022年に亡くなられている為、このシリーズも次巻で最後になるとか・・うーん、寂しいですね~。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第二弾。
ケンブリッジ大学のカレッジ・ナース(学寮付き保健師)・イモージェンの家に下宿する学生・フランが、担当教授のゴーストライターとして、今は亡き数学者・ギデオンの伝記を執筆することに。
ところがその伝記は、前任の執筆者たちが死亡や行方不明などで次々と頓挫していた曰くモノで・・・。
今回はいきなり死体が発見された前作と異なり、序盤は穏やかなのですが、件の数学者の経歴の不可解な部分を追求していくうちに、色々不穏になってきて結果事件と繋がっていくという展開です。
冒頭でイモージェンが友人達とパッチワークの制作している場面があり、その後もパッチワークキルトのテキスタイルについてのパートがあったりと、“何だかパッチワークに結構ページ割いているな・・”とパッチワークといえばキャシー中島さん(?)位しか思い浮かばない私は、その部分を斜め読みしそうになったのですが、後半でこのパッチワークの図案が謎解きのカギになったので、実はちゃんと繋がっておりました。
というわけで、イモージェンがフランの為に謎を解明すべく奔走するのですが、その間学生の不正疑惑のとばっちりを受けたり、調査の為に訪れた農場で大怪我を負わされたりと、結構受難でお気の毒でした。
そんな災難を受けながらも、様々な布石をちゃんと真相につなげていくイモージェンは流石です。
終盤はちょっとハラハラしましたが、友人の巡査部長・マイケルの協力もあり、事なきを得て良かったですね。
あと、最後にちょっとしか登場しませんでしたが、今回のキーマン(ウーマン)だったと言える、ヴィお婆ちゃんが素敵で、お婆ちゃんの輝かしいラストも清々しくて良かったです。
カレッジの伝統的な雰囲気を楽しめるのも魅力なこのシリーズ。
解説を読むと、原書の方ではさらなる続巻が出ているようなので、翻訳を心待ちにしております~。 -
Posted by ブクログ
古典ミステリー、いや1992年は古典なんだよ……そうだよな…30年前じゃん…
とあとがき読んでひきつった。
元はYA系作家ということで1990年代のコバルトミステリーを読んで育った読者の私はすごく入り込みやすい。
コバルトミステリーの主人公ってざっくりいうと「正しい」人間。
理不尽なおとなのやりかたとかいじめがけったくそ悪いと思える人間であることが多い。弱虫だったりこずるかったりするけど読者にストレス与えないように設計されている。
この主人公イモージェン・クワイもそう。
ケンヴリッジの住人(生徒・講師・スタッフ・教授)にある特権意識を批判的に見ているし、被害者であるフィリップを思いやるちゃんとした大人だ。
事件は4/5くらいのところで真相が明らかになるが、殺人とは別の謎『被害者はなぜそこにいたのか』の真実をイモージェンは追及する。被害者を愛するひとたちや希望をもってこの大学に来た故人のために動く。
何の得にもならないが何故そうしたかというと、彼女はこの学校の住人の健康やこころを護る仕事に誇りをもっているからだと思う。すべてを知った彼女が断固として罪をゆるさない様子は読んでいて爽快だ。
30年前のイギリスの階級主義はまだまだ強固だが今だって似たようなもんだろうなと思う。ただ、こういったいじめは今発覚したら確実に退学らしいけど。
このシリーズはあと3作あるそうだけど同じように「学術的ミステリー+世俗ミステリー」の混合なのかな、楽しみだ。