金子ゆき子のレビュー一覧

  • 歌う丘の聖職者

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    「塩と運命の皇后」に続く待ってましたの第二弾。中編が二編収録されていて、ファンタジー度と言うか、“物語”度がぐっと増しているように感じる(「塩と運命の皇后」が物足りないというわけじゃなく)。
    特に表題の「歌う丘の聖職者」は、青春であったり、友情であったり、小さい時の思い出だったり、相棒のヤツガシラ(鳥の形態をしている)=オールモスト・ブリリアントとの関係性だったり、主人公のチーのバックボーンと共に、物語自体の世界観が興醒めにならない程度のいい塩梅で垣間見え、物語の可能性が広がったように思う(今後も含めて)。
    また、ふとした一言が、多くの示唆や意味を含んでいるのも読んでいて楽しい。決して涙を流し

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    2025年09月17日
  • 白猫、黒犬

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    おとぎ話を題材に普遍的な愛や憎しみが描かれる。7つの短編はまさに現代の童話といえるだろう。資産家の息子が難題に向かう折、不思議な場所に迷い込む「白猫の離婚」最愛の人が謎の女に連れ去られる「地下のプリンス・ハット」が良かった。

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    2024年11月26日
  • 塩と運命の皇后

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    最近こういうのは読んでなかったのだけど、カバー絵が素敵だったので買ってしまいました。トラと同じ気持ちで、それで?それで?って次の展開が気になって一気に読みました。帯にも書いてあったけど、「皿のように平らな顔」ってのは、我ら平たい顔の一族のことかね。

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    2024年07月29日
  • 歌う丘の聖職者

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    歴史(民話)収集のために旅する僧と喋る鳥。
    がっつりとしたファンタジーだった。
    「塩と運命の皇后」の続きらしい。読んでない。読まなくちゃ。

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    2025年09月21日
  • 塩と運命の皇后

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    1本目は読みにくく、「これは挫折するかも」とすぐに思いました。
    でも内容は、皇后の辛酸を嘗めた歳月の長さを肌で感じるようだったし、舞台となる架空の世界も、西洋よりは私たちにもう少し近い国の話のようであり、なかなか味わい深かった。
    2本目は逆に、どうなるのか先が気になって一気に読めました。聖職者たちと一緒に焚き火を囲み、その話に夢中になって耳を傾ける1人になった気分になりました。

    夜に読んだのも良かったのかもしれない。
    時間がたっぷりある時に、気長に読む本かなぁ。

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    2023年08月03日
  • 塩と運命の皇后

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    ネタバレ

    二篇のうち、一篇目「塩と運命の皇后」は、幻想文学的でわたしには少々難解だった。聖職者チーと記録する鳥や、老女ラビット、その所有する思い出を纏った小物の数々から語り出されていくひとつなぎの話たち、その中で語られる皇后ーーパーツは魅力的なのだが、どうも好きになれそうにないような味で、これが賞を取るならヒューゴー賞も寝ぼけたものだと思ってしまった。しかし、二篇目「虎が山から下りるとき」は三姉妹の虎とチー、スーウィー、古代象の緊迫感、語られ、次第につよくただされていく物語に、ぞくぞくした読書の楽しみを思い出させてもらった。物語の注にもあったので書いてしまうが、雌虎と学者の卵の女学生の恋、スーウィーがチ

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    2023年06月07日
  • 塩と運命の皇后

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    2021年のヒューゴ賞中長編部門を受賞したファンタジー作品。著者であるアジア系アメリカ人女性の描き出す世界は中国やチベット、中央アジア、小アジアに近いような世界観で、まだ亡霊や人に変態する虎や、古代象(マンモス)などが普通に出てくる。内容的にはタイトル作の「塩と運命の皇后」と「虎が山から下りるとき」の二編がおさめられている。主人公となる大寺院の聖職者、チーが物語を語り、そして物語を聞いて記録することを職務としており、その行為が二篇とものキーとなる。魅力的な物語(の中の物語)と、エキゾチックな世界観に、続編の刊行を望まずにはいられない。

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    2023年03月28日
  • 塩と運命の皇后

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    ネタバレ

     こうした枠物語は大好きです。
     一遍は物語りを聞き取る。
     もう一遍は自らが物語を語る。

     カターサリットーナーガラやマハバーラタ・アラビアンナイトがお好きな方にお勧めしたい一冊です。

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    2022年10月18日
  • 白猫、黒犬

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    童話や民話を基に書かれた短編集。
    現代を舞台にした話が多かったが、SFチックな話もあった。
    基になった童話は、「ヘンゼルとグレーテル」と「ブレーメンの音楽隊」しか知らなかった(「タム・リン」はゲームで見かけたことがあるが話は知らなかった)。
    「白猫の離婚」が好みの話だった。

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    2025年10月14日
  • 白猫、黒犬

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    童話を基にしたちょっとホラーで不思議な短編集。もとの童話はほとんど原型をとどめていないので知らなくても大丈夫。不思議でフワフワ、夢の中にいるような感覚だけど、先が読めずどっぷりと世界観に浸ってしまいました。
    「白猫の離婚」「スキンダーのヴェール」が特にお気に入り。おおっ、白猫と黒犬出てくる話2編でした!

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    2025年08月07日
  • 白猫、黒犬

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    読める人は最初から楽しめるのかもしれない。
    個人的には一読しただけではわかったような話とわからなかったような話があり、解説を読み、改めて本編を読んでやっとなんとなく理解できた気がする。
    早く理解するなら、本編より先に解説に書いてある元の童話を理解した方がいいのかもしれない。

    個人的には"白猫の離婚""貴婦人と狐""スキンダーのヴェール"がおもしろく、粉砕と回復のゲームはいまひとつ掴めなかった。
    他の解説や感想を読みたい。

    基本的には救いがある話…だと思うが、そうでない話も、すっきりしない読後感の話もあった。
    悪魔や異形の描写はかな

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    2025年04月26日
  • 白猫、黒犬

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    童話からインスピレーションを得た短編集とのこと。
    『ヘンゼルとグレーテル』はSFのような幻想文学だった。
    『ブレーメンの音楽隊』はホラーのような幻想文学だった。
    著者は以前、世界幻想文学大賞を受賞されたそうだ。なるほど。

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    2025年03月06日
  • 白猫、黒犬

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    童話をもとにした短編集。2024年のローカス賞短篇集部門受賞作品とのことだが、正直何がいいのかよくわからなかった。
    【目次】
    白猫の離婚
    地下のプリンス・ハット
    白い道
    恐怖を知らなかった少女
    粉砕と回復のゲーム
    貴婦人と狐
    スキンダーのヴェール

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    2025年01月13日
  • 白猫、黒犬

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    童話や伝承が元ネタとしてあるようだが,そのつながりが登場人物に少しは関連しているようだがお話の展開は全く違っていて,中にはストーリー自体よくわからないものもあった.首を切るたびに生まれ変わる「白猫の離婚」連れ去られた伴侶を探して地獄へいく「地下のプリンス・ハット」そして熊も訪ねてくる「スキンダーのヴェール」が良かった.

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    2024年12月13日
  • 白猫、黒犬

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    古くから伝わる童話や民話を下敷きに、まったく新しい物語に仕立てた短篇集。超有名な作品を含む7篇が収録されている。
    明確に読んだと言えるのはグリム童話の2作品だけだが、この2作品すら内容はおぼろげにしか覚えていないので、元作品との違いはよくわからなかった。ただ、元ネタを知らなくても幻想・怪異譚として十分に楽しめると思う。
    初読みの作家さんだが、世界幻想文学大賞をはじめ、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞などを受賞しているらしい。過去作の翻訳もあるようなので読んでみたい。

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    2024年11月23日
  • 塩と運命の皇后

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    ファンタジー世界のなかで語られる伝承や伝説を聞き取るという、入れ子構造のような濃密なファンタジー作品集。

    舞台となる現在の時系列のファンタジーの世界観ですら全容が語られていないのに、さらにその世界のなかの伝承や伝説にフォーカスを当てます。
    書く側からするとかなりの想像力と強固な世界観が必要となる作品に違いない。

    それなのに作品の世界観に破綻を感じることもなく、自然と話に入っていけました。
    何気ないふうに物語は展開していくけど、実はこれって相当すごいことをしている作品なのではないかと思います。しかも中・短編のページ数で……

    収録作品は2編。追放された皇女の伝説をかつての侍女が語る表題作と、

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    2022年11月15日
  • 塩と運命の皇后

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    きっとこれから長く続くでしょう。
    翻訳がチョット残念に感じる。
    英語をカタカナで表記していることに意味があるのだろうか?

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    2022年10月14日
  • 塩と運命の皇后

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    これはこれは極上のシノワ風味ファンタジー。転生したら後宮の悪役令嬢みたいな流行りのエセ中華とは違います。
    2編の中編からなり、これがほぼデビュー作とちうから恐るべし。歴史伝承を記録する役割で各地を旅する年若い聖職者チーを中心に、愛と裏切りの逸話が語られていく。
    世界観や道具立てもよいが、女性が徹底的に主役であるところがうれしい。時には女つーか雌虎と愛を交わしたりね(姿は人だが)。
    これは漫画にするなら、諸星大二郎先生にオドロエロく描いてほしいわあ。

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    2022年09月28日