國領二郎のレビュー一覧
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# 現代のサイバー文明を多方面から的確に評論した一冊
## 面白かったところ
- 農耕文明、近代工業文明を現代のサイバー文明と比較した上で、昨今の世の中が行き詰まっている理由が目から鱗で面白い
- 何気なく無料で利用している身近なサービスが流行っている理由、がただのレバレッジではなく指数関数的なネットワーク外部性が効いているという点に合点がいった
- サイバー文明ではどんな人でも追跡可能になるため、適切な報酬体系と権限を設計した上で、アクセス権付与モデルがベースになるという考察に深く納得した
## 微妙だったところ
特になし
## 感想
2023年一発目に手を出した本としては、 -
Posted by ブクログ
ネタバレデジタル技術が広く生活に浸透した今日、我々は近代工業文明に代わり「サイバー文明」とも呼べる時代に足を踏み入れている。では、改めて文明論の背景にある哲学まで遡り、今後あるべき経済の姿を描くべきではないか、暗に従来の文明における前提を引き摺り、「サイバー文明」を語るが故に様々な矛盾が生じているのではないか、という問題意識を起点にした一冊。
特にキーとなる技術の説明等も記載されており、特に認識相違なく読み進めることができたが、やや抽象度の高い情報処理を求められるため、具体論で理解が及ばない点も多分にあった。自分なりに本書をサマライズすると以下の通り。
・ネットワーク外部性により、データは集合・結 -
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サイバー文明論 國領二郎 日本経済新聞
利己から利他へ
所有権交換モデルから
アクセス権付与モデルだと著者は言うが
信頼関係分配モデルへと考えるべきだろう
物流と利権
親子や家族間では
物々交換が発生しにくく
ただ手伝ったり
あげたりもらったりで
事足りるはず
同じように隣や近所でも
物心のやり取りや
棟上の餅撒きのように
余分な収穫を振る舞った筈だ
物々交換や売買や貸借りは
栽培農業と定住に始まる
溜め込むとか所有意識が
芽生えてからのことだろう
更に第三者を通した商業制度が
人間同士のつながりを希薄にして
即物的なモノ意識を強くさせ
都合のいい権力的な価値観による
善悪でつながる -
Posted by ブクログ
我らが親分國領二郎さんの著書。僕の人生の目標の一つに「世の中の仕組みを理解すること」というのがあるのだが、情報技術により世界がどうなっているのかということが網羅的に解説されており、いろいろ腹落ちする。また、(これは國領さんのワザなのだが)ところどころで未来をチラ見せしたり、現象のからくりや本質をチョロっと書いていたりする。もちろん、この一冊で世の中の仕組み全てが分かる訳ではないが、ビジネスは、社会は、コミュニティはどうなっているのか、経営だけでなく、人生の戦略をどう考えるべきかなど、とても参考になる一冊。理事になられたので授業の機会が減ると思うが、こういう話をじっくり聞きたいものだなあ。
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ソーシャルメディア、センサーネットワークなど、ヒトとヒト、モノとモノ、モノとヒト等、様々な繋がりの中で共通性と多様性あるいはオープンアーキテクチャとネットワーク外部性を蓋然性を高めて創発させることが重要と説きその根底は信頼にあると結論付ける。
また、ICT次のように分析しているのもとても納得感がある。
「コンピュータの黎明期には、ハードウエアの性能がまだ低かったので、よりよいハードウェアを持った企業が情報先進企業でした。これが第一期です。1980年代ぐらいになって、ハードウェアの性能が良くなってきて、むしろソフトウェアの優劣や生産性が大きな課題となる時代が始まりました。これが第二期です。より -
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Linuxの誕生から、コミュニティにおけるさまざまな経験を経て、どのようにしてビジネスになったかの経緯が細かく記されており、とても勉強になる。RedHatなどのディストリビューターがなぜLinuxをベースにしたビジネス展開ができるかがやっと分かった(キーワードはサービス)。
オープンソースという言葉は、実はマーケティングタームだということが興味深い。得てしてIT業界において、何か1つの流行が生まれるとき、それを先導するマーケッターがどこかに存在するという。Web2.0旋風を巻き起こしたのが、ティムオライリー氏の論文なく、梅田望夫氏の「ウェブ進化論」であったかのように。今エンタープライズ業界 -
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DX
計画通り、効率的に社会システムの目的実現の合理性から
社会システムの多様なニーズに応える技術システムの統合設計
=ソシオテクニカル経営
ELSI 倫理/法律/社会/課題
機能別ITガバナンス=統制から プラットフォーム型ガバナンス=協働・価値創造へ
フルーガル概念に基づく「デザインプリンシプル」
社会システムと技術システム間の約束事を示す指針
①エコシステムを作る(協働)
②効率化を超えた消費者とのエンゲージメント(体験価値の提供)
③情報とサービスのユーザー視点の個別最適化(文脈化)
④モジュール構造で顧客カスタマイズしたサービス提供
⑤データセントリックによるデ -
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信頼というつながりが持てると強い、ということなのだけど、何かビッグデータのほうに話が行きがち。企業は「見せてもらえる」という強み、と感じたいかもしれないが、消費者は「見られてしまっている」という弱みに感じている、かもしれない。
つながりという名の囲い込み的視点がやや感じられるかな~と思ったけれど、あくまで消費者目線の本ではなく、経営戦略、というサブタイトルからはそれが当然か。
そちらの視点で見ると、創発、蓋然性というのがキーワードで、これは非常に共感する。もうひとつ、「結社」というのが決め手かなあ。
何かを作った、開発した、というのではなく、そういった場作りこそが肝要だとすると、あれこれ直さな