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デジタル化の波の中で古くなった社会制度やそれを支える哲学をデジタル時代に適したものに根本から見直した方がいいのではないか? 20世紀に大成功した近代工業モデルを修正しながらデジタル経済に合わせてきたが、いよいよ矛盾が大きくなりすぎているのではないか? 過去の成功体験にこだわっていると単に落伍してしまうだけでなく、格差の拡大や監視社会の暴走などの形で不幸な未来につながってしまうのではないか? 明治維新の時に、単に蒸気船や電信を受け入れるだけでなく、政治体制から法律、芸術や言語にいたるまで造り直したように、今回も仕組みを全面的に再構築しないといけないのではないか? それは結局のところ、新しい文明を構築するということではないか?
トレーサビリティ、ネットワーク外部性、ゼロマージナルコスト、複雑系――。これらは、近代工業が生み出した、「大量生産品の排他的所有権を匿名の大衆に市場で販売(金銭と交換)する」モデルから「モノやサービスから得られる便益へのアクセス(利用)権を登録された継続ユーザーのニーズに合わせて付与する」モデルへと移行させる原動力となっている。本書ではそのようなモデルの普及の結果として、個人(法人含む)の交換をベースとした市場経済に替わって、個人が社会に貢献し社会から受け取る、「持ち寄り経済圏」が台頭し 、その経済メカニズムに適合したガバナンスメカニズムの構築が重要になることを論じる。
Posted by ブクログ 2023年01月17日
# 現代のサイバー文明を多方面から的確に評論した一冊
## 面白かったところ
- 農耕文明、近代工業文明を現代のサイバー文明と比較した上で、昨今の世の中が行き詰まっている理由が目から鱗で面白い
- 何気なく無料で利用している身近なサービスが流行っている理由、がただのレバレッジではなく指数関数的...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年10月16日
インフラとしてのインターネットが地球の隅々にまで行き渡り、便利な道具としてだけでなく、意思決定などにも強い影響を与えるようになっている。これをサイバー文明と表現されているがまさにそれだという感じ。ビジネスの勝ち筋を変化させる4つの構造変化やそれに伴う「所有権から利用権へ」という流れ、倫理と統治、民主...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年07月03日
サイバー文明論 國領二郎 日本経済新聞
利己から利他へ
所有権交換モデルから
アクセス権付与モデルだと著者は言うが
信頼関係分配モデルへと考えるべきだろう
物流と利権
親子や家族間では
物々交換が発生しにくく
ただ手伝ったり
あげたりもらったりで
事足りるはず
同じように隣や近所でも
物心のや...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年09月19日
デジタル技術が広く生活に浸透した今日、我々は近代工業文明に代わり「サイバー文明」とも呼べる時代に足を踏み入れている。では、改めて文明論の背景にある哲学まで遡り、今後あるべき経済の姿を描くべきではないか、暗に従来の文明における前提を引き摺り、「サイバー文明」を語るが故に様々な矛盾が生じているのではない...続きを読む
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