真門浩平のレビュー一覧
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面白い。
短編って短い頁に起承転結がギュっと詰め込まれるので普通は長編より読みにくいんだけど、本作はすこぶる読みやすかった。プロットもバラエティ豊かで引き出しが多い。ほっこりするラストが多くて読後感も良い。まだあまり知られてない新人作家さんなので、もっと読まれてほしい。いつか長編も書いて欲しいな。
◆各停十三駅分の帰り道
少年はなぜ急行から各駅停車に乗り換えたのか?
この謎に対して女子大生二人が様々な推理をしてはロジカルに打ち消していく。このやりとりがとても楽しい。
◆悲運の死
もしも家族の死をキッカケに、家族が陰謀論や新興宗教にハマっておかしくなったら?
現実に起きた某事件を思い出した。謎解きというより人生論。不運の受け入れ方の学びになる。
◆天森町は今日も雨
雨が降り続く町で傘を忘れたのはなぜ?
優しいなーヒロ兄。
話は逸れるが、ここ数年日差しが強過ぎるので今夏ついに日傘デビューした。もう日傘が手放せない。
◆夢落ち
知人の手ほどきで明晰夢を見れるようになった由佳。夢をコントロールして予知夢も見れるようになった矢先、殺人事件が発生。由佳は夢で犯人がわかってしまうが…
明晰夢を見たいと思ったことはあるけれど見れた試しがない。これを読みながら試してみようかと思ったけど、やっぱりやめた。何も考えずぐっすり寝るのが一番。
◆写真には写らない
デートで彼女はなぜ急いで帰りたがったのか?
『ぼくらは回収しない』にも登場した内気で繊細な探偵•速水士郎がクラスメートの依頼を受けて推理する。優しいなー速水くん。相方の一ノ瀬くんも。青春やわ。 -
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ネタバレひとつめはSNSでの悪意、一部を見て全体を知った気になる人間の欠陥など現代における問題を書いている。人間の仮面の切り替えを文章に落としていて、とても面白いと感じた。
ふたつめは蛙化現象について。よく聞く言葉だが、その語源となる話もかかれており、勉強になった。人生のピークで終わってしまったほうがいいというのは確かにわかる気がして、少しゾッとした。
みっつめは亡くなった祖父との追想と時間によって変わってしまったものについて。子供の頃、大きかったものが小さくなっていたり、大好きだった人がいなくなってしまったりと身近な気持ちを感じさせる話でした。
よっつめは心優しき探偵とコミュ力高めな相棒の話。生まれ持ったものが違くても、そこを超えて仲良くなる、そういった心温まる作品でした。
いつつめはアンチミステリ的な話。全てのものに意味がある、なんてことはなく、現実では伏線回収がされることもない。それは人生でも小説でも同じで、最後まで意味がなかったものもあれば、ふとした瞬間に光ることもある。そんな当たり前なことに気付かされる話でした。
全て通して読みやすく、読み手に優しいミステリーでした。 -
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いきなりですが、ワタシが昨今の流行りでどうにも苦手なモノが2つありまして。
1つめが、言語化です。
流行ってますなー、言語化。しっかし、なんでもかんでも言葉にしてしまう今の風潮…、流石に野暮っていうか、下品くないですか?
言語化出来る能力は素晴らしいとは思いますが、そこは余白を残して良いのではと多々感じます。すべてを言葉にするのは野暮ってもんです。シンプルに冷めます。
2つめが、伏線回収です。
これもよく見かけますなあ、アニメや小説などで伏線をばら撒けるだけばら撒いて、ドヤ顔で回収してる作品を…。
そら自分で撒いた伏線なんだから回収できるに決まっとるやろ…。阿呆かいな。
そもそも人生において感じたコトを、回収できるほうが稀ですよね。だからこそ回収できたときの感動はひとしおなのにね…。
で、本題の本書ですよ。そう、タイトルで言っちゃってます、ぼくらは回収しないと。
キター!!回収しないでー!!
いやー、回収への美学が炸裂してます。ワタシと同じ想いの方いるのねー!シンパシー!
前フリが長くなりましたが、結論メチャ面白かったです。
日常ミステリー主体の短編集ですが、新人さんのそれとは思えないレベルの作品でした。
そもそも文章が上手です、綺麗な日本語を使われるのでストレスを全く感じません。
また知識の幅の広さも感じました、若いのに大したものです。
肝心のトリックなどのミステリー要素も素晴らしいです。最後のルナティック・レトリーバーは短編とは思えない出来です。あのネタで長編書けたのでわ…。
あくまで個人的な感想を云わせて戴くと米澤穂信の初期の日常ミステリーよりレベル高くないか?です。
真門浩平さん、覚えておいて損はないかと。いや、近い将来とんでもない作品書きますよ、カレは。
と、伏線張っとくので、頼むから良い作品書いて回収させてくれー。おねがいします。
とにかく良作、期待も込めて星5です。 -
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ニュース番組で流れた街頭インタビューをきっかけに、SNSで起こった炎上。そのインタビューを受けていたのはクラスメートの姉だった。身内が理不尽な悪評の的になっている状況を救うために白羽の矢が立ったのは、人間観察眼が優れていることでちょっとした噂になっている伊達桐人だった。伊達はそのインタビュー映像に違和感を覚えるが。――「街頭インタビュー」
結成五年目のお笑いコンビ「井の中のかわズ」。篠原美紀はその片割れであるボケの古井省吾に恋をする。うまくいきそうもない恋だったが、「井の中のかわズ」のお笑いコンテストでの受賞、省吾の気持ちの変化もあり、ふたりは付き合うことに。だけど付き合ったことで、今度は美紀に心境の変化(蛙化現象)が起こり、ふたりは疎遠になってしまう。それが悲劇の幕開けだった。――「カエル殺し」
一作目を読んだ時、『日常の謎』でまとまった連作短編集かと勝手に勘違いしてしまったのですが、そんなことはなく、それぞれが世界観のまったく異なる独立した短編になっていて、そのどれもが切れ味鋭く、扱われる事件も『日常の謎』だけではなく殺人なども扱っていてバラエティに富んでいます。一面的な部分だけで他者を断ずることをよしとしないまなざしに貫かれているのがとても魅力的です。その視点があるからこそ、謎を解いた先に浮かび上がる光景が、時にビターで、時に読む側の心に波紋を作っても、心地良く胸に響くのではないでしょうか。素敵な作品集でした。 -
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1作目『各駅十三駅分の帰り道』が抜群に面白かった。
大学の友人との帰り道、電車の中で見かけた男子高校生に小さな謎を発見し、あれこれ推理するお話。
イヤホン、ネックウォーマー、ショルダーバッグを身につける順番から少年の動きを見事に推理。
些細なことなのに穴がなく、すごい。
日常の謎系かな?と思っていたら、しっかり死人が出る話も。
どれも派手ではないけど、あとから味がじわじわきて、いいなーと。
2作目より
「〜どうして自分たちだけにこんな不幸が、と思ったよな」
「けどぼくらは今までも、ときどき『不運』の出るくじを何回も引かされてきたかもしれないんだ。ただ、何でもない結果が出ているうちは、くじを引いていることにも気づかない。『不運』を前にしたとき初めて、自分がくじを引かされたことを知って、それが一回目のくじ引きだったような顔で『なぜ自分だけが』と疑問を持っているだけなんじゃないか⋯」 -
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少しの時間で物語を楽しみながら頭の体操もできるミステリー短編集、どなたにもおすすめできる秀作ぞろい!
■きっと読みたくなるレビュー
本格ミステリー界に風穴をあける期待の新人、真門浩平先生の作品集です。これまで『バイバイ、サンタクロース』『ぼくらは回収しない』を楽しく拝読してきましたが、本作も面白いですね~
謎解きミステリーって長編も読みごたえがあっていいんだけど、短編もいいですよね。ちょっとの時間で物語を楽しみつつ、頭の体操もできるから。しかもどの作品もバラエティに富んでるから飽きずに楽しめます。特にミステリー初心者の方に、ぜひ手に取って欲しい一冊でした。
■各作品の簡単レビュー
●各停十三駅分の帰り道【超おすすめ】
大学生の聡子と瑠奈、電車で帰宅中に不思議な光景を見かけた。ある少年がひと駅分だけ各駅停車の列車に乗り換えたのだ。彼女たちは十三駅分の間に、その謎を推理するのだが…
ザ・日常の謎。こういう電車の乗り継ぎだったり、駅での他人の行動だったり、日頃なんとなく目に入っているところにあるミステリーって、身近にある感じがしてワクワクしちゃうね。
推理の議論フェーズがとにかく楽しい。途中出てきた図解の議論なんて、自分もかつて煩わしく思ってたことだったりして興味津々でした。まだ大学生なりたての友人二人の関係性も淡くて素敵だし、素晴らしい短編ミステリーでした。
●非運の死
事故で亡くなってしまった兄、残された家族は、悲痛な感情を原因追及することで解決しよとしていた。しかし母と妹が怪しげな団体と関係性を持つようになってしまい…
家族愛がテーマ、人間生きてると不運に見舞われることってどうしてもあるんだよね。いつの時代も胡散くさい団体ってはいるもので、心が弱っている奴に付け込んでくる。思った以上に深く哲学的なところまで入り込んでくる作品でした。
●天森町は今日も雨
雨が降り続ける村での物語。主人公の兄はコミュニティーセンターに傘を忘れたらしいのだが、果たしてそんなことは有り得るのだろうか?
少し前コロナ禍で世界中がロックダウンしてたなんて、もはや信じられない過去ですよね。とは言え、地震や大雨など、天変地異ともいえる災害が、突然我々に襲いかかってくる。世の中、いつ何時なにが起こるかなんてわかりませんよね…
本作はある時から雨がやまなくなった村での物語、家族や兄弟など思いやり描いているいい話。キャラクターも可愛らしいし、雨がやまないなんて、かなり画になるストーリーではないかと。映像化を希望します。
●夢落ち【おすすめ】
寝る前に食べてしまう悪癖を治したい主人公由佳、かつての友人から夢で感情をコントロールする方法を教えてもらう。さらに夢で明晰夢をみることで、未知なる秘密も知ることができるようになりつつあった。その後、仲間たちと合宿にいくのだが、なんと殺人事件が発生。由佳は夢の中で犯人の名前を知るのだが…
予知夢と本格謎解きを掛け合わせた、骨太ミステリー短編。人ってなんでこんなにも弱いんすかねー、かくゆう私もポテチを食べながら感想を書いてます。短編作にも関わらず、後半の謎解きフェーズが深くて読み応えあり。
●写真には写らない
テーマパークでデートをしていた高校生カップル、コースターに乗った直後、彼女が急に帰ろう言い出した… 嫌われてしまったと思った彼氏は、その謎について友人に相談する。
青いね~、でも若いっていいね~。気持ちわかるなー、ほんの些細な事だけど本人にとっては深刻な問題だったりしてさ。なーんて恋愛をベースにしたミステリーで、読んでると学生時代を思い出しちゃいます。 -
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ミステリーといえば、やっぱり人が死なないとそれを解明しなければならないという必然性が弱くなると言ったのが誰だったのかは忘れたけれど、必ずしも人が死ななくたってミステリーは成立するということを教えられる短編集。
もちろん個人的には殺人が起こるからこそのドキドキ感やらスリル、そして謎やトリックが解き明かされた時のカタルシスは大好物である。しかし、本作品には殺人も描かれてはいるが、日常の中に潜む謎にも魅力があふれている。
『街頭インタビュー』ではいきなり助走もつけずにぶん殴られたような感じの先制パンチを喰らわされる。「わかるわかるぅ」と読み進めていけば、最後に手のひらを返される。個人的にはこの物語が一番インパクトがあり、心に突き刺さってきた。
『追想の家』は、ややこの中には異色の味わいとなっているが、こちらはほっこりできる作品である。
『ルナティック・レトリーバー』は題名が含むところの意味と、本作の『ぼくらは回収しない』が対をなしてつけられていることに、舞城王太郎の解説を読んで気付かされる。というわけで、解説までしっかり読むとより味わい深い -
Posted by ブクログ
一話一話が独立した形式のミステリ短編集。
同級生の姉が炎上したという街頭インタビューに隠された謎に高校生が挑む「街頭インタビュー」や、日食の日に大学の学生寮で起きた密室殺人事件を調査する大学生たちを描いた「ルナティック・レトリーバー」など、全五篇が収録されています。
個人的に特に推したいのは、「街頭インタビュー」。
「SNSでの炎上」という現代的なテーマとミステリとしての謎が見事に融合し、互いの魅力を引き立て合っているからです。
また、事件解決だけでは終わらない意外性のある展開も用意されており、読者自身の日頃の行いについても考えさせられる、ほろ苦さが印象的な一篇です。
青春ミステリや短編ミステリが好きな方は、ぜひ!
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。本格ミステリの構造的な部分を揺さぶってくるのが好みだった。
光文社による本格ミステリ作家の新人発掘プロジェクト〈カッパ・ツー〉第三弾作品。警察官の父親を持つ双子の小学生探偵が事件の謎を解く全6編の連作ミステリ。
特筆すべきは、主人公である双子の対照的なキャラ造形。論理的思考を重視し、時に冷酷とも取れる推理をする兄・圭司と、人間心理や感情に寄り添い、優しさをもって事件に向き合う弟・有人。この二人の対比が、各話の謎解きに厚みを出しており、より物語的な仕掛けにも多角的な視点を与えている。全編を通じて二人の推理対決(のような構造)がそのまま双子の関係性や、成長、探偵としての在り方を映し出している。
物語の構成は、日常の些細な謎から始まり、双子の成長に合わせて徐々に殺人事件のような重い展開へと移行していく。タイトルも示唆するような幼年期の終わりを感じさせるテーマを、連作という形を通して読者に追体験させる構造が巧みだ。
本格ミステリとしての完成度も非常に高く、満足感がある。全編ロジカルでクラシックな本格モノの要素を持ちながらもどこか独自性のあるプロットになっているのが楽しい。正直、解けるかというと怪しいレベルで捻った論理構造をしている気がしていて、その点は麻耶雄嵩のロジックの難しさを思わせる。
僕は個人的には気にならないが、小学生らしからぬ知識や言動と、小学生らしい行動原理が、どちらも見られるのがやや妙な拗れになってしまっているきらいはある。例えば名探偵コナンなどでは大人の行動原理が基本にあり、必要に応じて子供らしさを演じるという構造になるが、本作では実際に子供で、子供らしい部分がありながらも、大人のような振る舞いをする場面がどうしても発生するため、気になる人はいるだろうと思う。
個人的には、本格ミステリの良さの一つは「時に小説であること以上に本格ミステリであること」だと思っている。小説である以上、物語の面白さや自然さが必要だという一般論は理解できるが、「本格ミステリ」という細部化された道の果てには、物語としては歪な「人工感」や「緻密すぎる謎」や「メタ的な構造美」のようなものに良さを求める視線があっても良いのではないか。本作には、そういう本格ミステリの良さも詰まっている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレそれ目的で買い、彼の短編と解説部しか読んでいないため、白井智之の「誰も読めない」だけのレビューです
作品自体は先行して
「もの語る一手」講談社刊 アンソロジー
に掲載済みだが、購入を迷っていたところだったので安価なこちらは有難い
ストーリーは
プロ棋士が対局中に拉致され、ある男に冤罪を証明して欲しいと頼まれる
彼の正体は、弟子を取らないポリシーがかつて一度だけ揺らいだ、将棋イベントで出会ったことのある家庭環境の思わしくない少年だった
現在と過去の対局シーンや駒の動きが本気めで描写されているし、ミステリー要素にもゆるく絡んでくるので将棋が全くわからないという方には読みにくいかも
有名な戦術くらいは分かる自分でも読み流したけど、序盤から僅かに作風の違和感があるなと思った
エロ なし
グロ なしと言えるレベル
下品 微弱
げろ 異なる表現でアリ
やはり作風を変えているのかな
固有名詞の名前(全ておかしいが特に玉城ジャコモ海・玉城バルトロメオ洋)には声出して笑ったし、多重推理パズルに「らしさ」はあるんだけど
変化球を投げてきているので評価は分かれそう、はっきり言うと否が増えそう
乾くるみが、いみじくも黒白井ならぬ「白白井」と表現していたが、それダメなやつやん(笑)
※ど素人の個人の感想です
読み終わる前から星5確定の「ぼくは化け物きみは怪物」を併読しているところなので、相対評価なら星3かな
大ファンというバフが掛かっていても星4どまりです -
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麻坂家の双子の小学生・圭司と有人は一見そっくりだが、性格は正反対。論理を重んじ傍若無人で辛辣な圭司と、人間の心理を重んじる優しさを持った有人は、それぞれの観点から事件の解決に挑む。なんとも言えない読み心地の連作ミステリです。
小学生が主体のミステリなので、穏やかな日常の謎ミステリだろうな、と思っていました。実際最初の二話はそうなんですよね。日常の謎だし、解決してからもほっこりゆったり。ところが三話の「サンタクロースのいる世界」では、なんと殺人が起こってしまいます。だけどこの解決はある意味優しさを持っていました。「時限爆弾」として真相を残すところがとっても素敵です。
ただ、その後も人死にが続く……しかもどんどん不穏な雰囲気に突入していくのは気のせいではないですよね。圭司の冷酷な推理も、それに対抗しながら見守る有人も、とにかく危うい。そしてラストの「ダイイングメッセージ」では……なんてこったい、としか言いようがありません。もう誰も、サンタクロースを信じていた無邪気な時代には戻れないのですね。その意味でこの本のタイトルが刺さりました。 -
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双子の小学生のロジカルぶりに驚愕! 二重三重にも展開される濃密ミステリ #バイバイ、サンタクロース
■きっと読みたくなるレビュー
双子の小学生である圭司と有人が中心となり、学校の友人たちと日常の謎や事件を解決していく連作短編集。学園モノのふんわりとしたミステリーと思いきや、ロジックガチガチの超本格モノです。
館、密室、死体消失、ダイイングメッセージ、雪の足跡など、ミステリー好きが泣いて喜ぶ素材もたっぷり。特に双子の主人公の議論のやり取りは、多重推理を思わせるほどの論理展開です。
謎解き以外では、やはりキャラクターが推しどころ。小学生とは全く思えないほどの推理がエグいんですが、性格や特徴が違うところが面白いところなんです。特に最終話のプロットは想像以上だったし、作家先生のチャレンジ精神を感じました。
まだ20代前半の若手先生で、これだけの作品を書かれると、今後も期待せずにはいられませんね。
●最後の数千葉
入院している同級生、病気を不安に思う彼女とクラスメイト達の物語。
日常の謎ミステリーで、ありがちなストーリーかと思いきや、ガッツリ本格です。ロジカルな圭司と、人の行動心理の洞察が深い有人、この二人の特徴がめっちゃでてる!
●消えたペガサスの謎
教室から消えたフィギュア、転校生の犯行と思われるが果たして…
ロジックも凄いけど、短編なのにこのレベルで物語を成立させますか。ちょっとスゴイ。転校生が男前すぎてカッコイイですね~、私もこんな小学生だったらモテてただろうな。
●サンタクロースのいる世界
サンタクロースの存在証明と雪の足跡の謎。
物語は一気にリアルな殺人事件になってくる。雪の足跡トリックは、これまで様々なパターンがありましたが、本作は目から鱗でしたね。そして小学生とは思えない圭司のセリフにひっくり返りました。
●黒い密室
館ものミステリー、元サッカー部メンバーとマネージャーたちが久しぶりに会って…
結構無茶なことになりますが、発想力に感服しました。伏線もしっかりしてるし、ヤラレタ感が満載。
●誰が金魚を殺したのか
理科室で起こった出来事、死体消失の謎が解けるか?
おもろいけど、これも結構無茶なことになります。読んで驚いてください。有人の優しさに、少しだけ救われる作品でした。
●ダイイングメッセージ
最終話、これまで以上に無茶なことになります。相変わらず謎解きは面白い。詳しく書けないので、ぜひ読んで欲しいのですが、今まで何を読んできたのか迷子になること請け合いです。
■ぜっさん推しポイント
本作のイチ推しポイントは、プロット、条件設定、トリックの発想が新しい点なんです。古き良き本格ミステリーの題材を用いつつも、スパっとこんな短編つくりましたけど。てなかんじで、提示されるんですよね。特に最後2作はプロットは、想像の斜め上を行ってて痺れました。
この発想力と論理展開を読むと、いつか本格ミステリーでTOPをとるのではないかと思えてなりません。次回作も楽しみに待っています~