中島国彦のレビュー一覧

  • 断腸亭日乗 三 昭和四―七年

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    以下は、「断腸亭日乗(三)」の読書日記である。気に入った箇所を書写し、感想を添える。
    昭和の初めの頃の東京を、此処迄色濃く遺した文学は他にはない。永井荷風。親の遺産を運用して、気侭に帝都を闊歩する作家であり自由人であり放蕩人であり、50うん歳にして自らを晩年と称す心配性の知識人である。
    7500字超のレビューと相なった。読者の時間を奪うことは私の本意ではない。薄目で日記を眺め、興味ある項目のみを読むこと奨励す。

    R07/08/29 「残暑厳し‥‥とはいつ迄言わなくちゃいけないのでしょうね」「彼岸まで、じゃないですか」「甘いと思うわ」という会話が交わされた日

    昭和四年
    正月初九 晴れて好き

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    2025年09月24日
  • 森鷗外 学芸の散歩者

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    読んでて楽しかった。鷗外の足跡がよく分かり、いろいろな作品を取り上げながら鷗外の文学者としての偉大な功績が書かれている。
     13歳で今の東大医学部にら年齢をサバ読んで入学し19歳で卒業し、陸軍軍医におさまることからして驚異だ。明治の子供は幼くして漢文、漢詩、に接している。

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    2025年07月18日
  • 断腸亭日乗 三 昭和四―七年

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     女性を見下しつつ、女性との性的な関わりを楽しみ、いかがわしい場所への出入りを繰り返しつつ、こんないかがわしい女性の生き方が横行する現代は嘆かわしい、と、しきりに嘆く。なら、女遊びするな! このスケベジジイが! と読んでて苛々するのだが、まあとっくの昔に死んでる爺さんに苛々してもしょうがないので、この日記に描かれた昭和四年から七年にかけての東京の姿を楽しむ読み方で、一ヶ月以上かけてなんとか読み終わった。昭和七年になると荷風の日記の方針が大きく変わり、イラストを多用するようになる。なかなか絵心あるイラストで楽しい。

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    2025年06月27日
  • 断腸亭日乗 二 大正十五―昭和三年

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     今年(二〇二五年)の初めから第二巻を読み始め、読み終わったのは三月の終わり。赤の他人の日記、しかも百年近く前のものを読むのは、面白いんだけど、途切れ途切れに数ヶ月かけて読むくらいでちょうどいいのかも。さてこの第二巻は大正十五年から昭和三年まで。荷風四十八歳から五十歳にかけての日記。約百年前と考えれば、まあそうか、とも思うけれども、荷風はやたら死を意識している。そのくせ、自分でも認めているように、これといった症状は特になく、せいぜいタンパク尿を指摘されているくらいだ。そして、やたら死ぬ死ぬといい、自分の若い頃の原稿を川にわざとらしく放り投げてみたりするくせに、自分よりもはるかに若い女の子たち(

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    2025年03月31日
  • 断腸亭日乗(一) 大正六―十四年

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    以下は「断腸亭日乗」マイ読書日記なり。

    R06/07/26、炎天。車中温度37度を超える。
    荷風の断腸亭日記を紐解く。全9巻の岩波文庫化は初めての由。1巻目は大正6(1917)年39歳より、大正14(1925)年迄。手許にあることに意義を感じ買い求めしが、ざっと読むことを自らに課す。校注は豊富な人名紹介あり。疑問に答えて秀逸。
    難漢字多し。努力したが、書き写さなかったのは◯とせし。
    大正7年日記については、既にレビュー済み。8月の米騒動勃発から、友人来りて3日間「時事を談じて世間を痛罵」している。何を語ったのか。

    R06/07/27、酷暑。朝、室温31度より下がらず。
    大正7年11月21日

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    2024年08月04日
  • 森鷗外 学芸の散歩者

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    ネタバレ

    森鷗外は高校の授業で『舞姫』を読んで、「大塩平八郎」「護持院原の敵討」「堺事件」を読んだくらいで、あまり読んだことが無い。色々気になるのもあるので読んでみよう。
    ちょっと硬い感じのイメージだけど、子供たちには優しいパパだったというのが好印象。

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    2025年10月01日
  • 森鷗外 学芸の散歩者

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    森鷗外に関し、コンパクトに纏まった通史を知ることができる。
    紙面が限られるので、やむを得ないところがあるが、各作品の紹介は、情報としては不十分が否めない。
    なお、作品を読んでから、本著を読むべし。
    (これはMUST)
    エピローグに戦後の鷗外研究の書籍一覧があり、これは参考になる。

    以下抜粋~
    ・刷新を急いだ慶応義塾のために、荷風は鷗外と連絡を取りつつ、いろいろと相談にのってもらったことが、残された資料からうかがえる。二月、慶応義塾大学文学部教授永井荷風が誕生し、五月、「三田文学」が創刊される。鷗外は毎号執筆することを約束し、「スバル」、「三田文学」を拠点とする鷗外の創作活動が、一層加速される

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    2023年10月02日
  • 森鷗外 学芸の散歩者

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    鴎外の生涯について知っている、そして、著作についても大体の作品名と内容を知っている、という人向けかもしれないなと思いました。
    例えば、留学から帰国して書かれた「舞姫」のように、彼の人生のイベントとその時に書かれた作品には関連性が見出されたりするわけですが、本書は彼の人生を追いながら「この時期にはこの作品を、こういった雑誌を創刊し…。その頃の時世はこういうもので、当時交流あった文学者は…」と、タイミング毎に横串で紹介してくる形式なので、「森鴎外」という人物について「へぇ、こんな時期にこんなものを」的な気づきといいますか、すこし視野が広がって理解が進んだ気がします。面白かった。

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    2022年12月11日
  • 森鷗外 学芸の散歩者

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    没後100年ということで出版されたもの。近代文学の勃興期に、鴎外を始め、今も名を留める方達が、熱く活動する。今ならYouTuber ということになるだろうか。

    その後、鴎外の道は苦渋に彩られる。彼の作品にもそれは影を落としているように思う。

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    2022年09月07日