村枝賢一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
かつてアシモフが唱えた「ロボット3原則」に手塚治虫は悩み、アトムは苦悩した。漫画家として同期の石ノ森章太郎は童話『ピノッキオ』になぞらえて人形(機械)が人とならんとする為に悩むロボットの姿を描いたのが『人造人間キカイダー』である。子供向けのアクションヒーローとしてテレビ放映され、またシリアスでハードなストリー展開でオリジナルOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)としてもリメイクされた傑作は、2013年、新たにベテランエンタメ作家の松岡 圭祐の手によって現代を舞台に更なるリアリティーを持って小説版としてリメイクされたのが本書。
原作者石ノ森の描く漫画の基本ストーリーを踏襲しつつ、ビジュアル的な設定はテレビ版の設定やプロットを生かしながら松岡の持ち味である現代のロボット工学のテクノロジーも加味することで説得力のある綿密なシノプシスの構築がなされテンポの良い展開は「大人の鑑賞に堪えうる」質の高いエンターテイメント小説として蘇った。
映像化を前提にしたノヴェライズはシーンごとに章が割り振られ、読むほどに場面を脳内ビジュアルとして描ける計算された文章は数々の作品を映像化されてきたヴェテラン作家松岡の真骨頂とも言えよう。昨今濫作されるキャラクターアイテムのリメイクの中で安直なノベライゼーションで終わらせることなく、しっかりした小説版は『-The Novel- 』を謳っても納得できる。