早川世詩男のレビュー一覧
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6編からなる連作短編集。
なつみは、若々しい美鈴ママにちょっとだけ嫉妬していた。
女王蜂(クイーンビー)の美鈴ママ。
でも、美しさは見た目だけではなかったのだ。
歳を重ね「おばさん」になるのは罪なのか?
初未は二つの名前を持つ。
佐藤初未とキム・スンエ。
15歳の平凡な女の子に知らされた在日韓国人という事実。
ままならない日常。
出自も性別も、自身ではどうしようもない。
映画の印象的なシーンに絡め、それぞれの登場人物が明るく力強く
そして前向きに描かれている。
吉川トリコさんは名古屋在住作家さん。
地名など馴染みのある場所ばかりで、それも楽しかった。 -
Posted by ブクログ
女性を取り巻く、あれこれに、とても敏感な作家さん。
初めて読んだ「ベルサイユのゆり」は、ふざけているのかと思ったけれど、
ちゃんと「ゆり」の意味を込めていたんだよね、あれ以来、
気になる作家さん。
私から見たら、若手だけれど、世の中では中堅か。
本作は、連作短編集。
彼女の世代爆発、映画や海外ドラマが次々登場し、
その上の世代の私にはよくわからないところも多々あり。
それでも、40代主婦がチアダンスチームを作り・・・
そこから仲間が広がり、今の世で、マイノリティゆえの何かを
抱えている人物が次々にスポットを浴びる。
こういった世の中の切り取りが、本当に、この人は上手。
ちゃんと物語の中で読ませてくれる。
そして、必ず、人と人とのつながりの暖かさを感じさせてくれる。
そこが好き。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ青春映画な小説だった。
プロム開催に奔走する女子高生達と周りの大人達。
これはこれで羨ましく、そしてかなり眩しい。
だが、暴走する女子高生達に共感出来ないのは、プロム開催を思い付く動機がぼんやりしてるから、なんだろうな。校長への直談判の台詞は立派で良かったが。
同じ理由でチアガールもうーん?となっている。もう少し心情に切り込んだものを期待していたが、短編なので深掘り出来なかったという事だろうか。
ただ逆にその短さによって暗い話になりそうな題材が、この表紙のような明るさを保っていると感じた。
表面は明るく、しかしそれぞれ闇はあり、それが様々な青として表現されているのかなと思う。
個人的には甘利くんの母が一番心配だな。彼女のあの孤独感は世の既婚者に結構あると思うが、彼女の場合それが赤ちゃんを育てたい欲求に変貌を遂げていて、メンタルの曲がり方がかなり怖い。将来孫が犠牲になるパターンは回避されそうでそこは良かったが、それはそれできっと彼女は今度こそ崩壊してしまうのではないだろうか。
……でも、それもこれも短編なのでね。
闇の入り口をちょっと見せて読者に想像を委ねる作戦は成功していると思います。 -
Posted by ブクログ
チアダンスチームを作って周りに冷ややかに言われようとも日々練習に励む主婦。
15才のときに在日韓国人だと告げられて、戸惑いながらも韓国の文化に触れていく女性。
母子家庭で映画館が唯一の居場所だと感じていた男子高生が、同級生たちと好きな映画を通じて芽生えた気持ち。
手術することになり、子供を授かれなかったことや養子で迎えた高校生の息子のこと、お見舞いに来てくれたチア仲間と、自分が周囲にしてあげられること。
高校の卒業式でプロムをやりたいという女子高生たちの熱意に圧倒される教師。
自分が在日であることへの拒絶感と、青春を謳歌する女子高生たちを見て思うこと。
卒業式でアメリカ映画で観るようなプロムをやるために学校に働きかけた女子高生。
コロナというウイルスによってかなわなかった悔しさと、友達と先生と過ごした最後の高校生活の終わり。
自分の気持ちと周囲の反応への不安。
みんなつながっている登場人物たち。