早川世詩男のレビュー一覧
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外国で開かれた人型ロボットの競技大会の映像を見て、あれが軍事用に使われるようになってしまったら、SF映画のような世界になってしまうんだろうな、と思った。そんな矢先に「弱いロボット」というタイトルが目に入って、なんでそのようなロボットを作ろうとしたのか気になり手に取った。
あえて完璧じゃないロボットを作ると、人間はそのロボットのつたない動作に手を貸す。例えばゴミを感知してそばに行くことはできるけど、ゴミを拾って入れるためのアームは無いから文字通り「手が出ない」ゴミ箱ロボットがいるとする。人間はゴミの前で立ちすくむゴミ箱ロボをみて「……なんか、困ってるみたい。ゴミを入れて欲しいのかな?」と思って、ゴミを拾って入れてあげるという行動をとる。
なんでもやってくれる便利なロボットではなく、ちょっと苦手なことがあるロボットがそばにあることで、かえって人間の持っている、他者をわかろうとし、自分の力を活かして他者と共存しようとする部分が見えてくる。
得意なことを持ち寄って、苦手なところは補い合って、「してくれる対される」ではなく「同じ側に立って、同じゴールを見ているもの同士」で並んで立てる。キレイな理想に思えるかもしれないけど、日常に何気なく転がっている風景だったりもする。
人間らしさってなんだろうと考えるきっかけになり、興味深い本だった。子ども向けの本なのでサッと読めて、でも大切なことをわかりやすく言語化してくれているところもありがたい。
ちょっとだけ、ロボットを作ってみたくなったけど、電子工作ってむずかしそう。 -
Posted by ブクログ
予備知識なく手に取った連作短編集。
1話目はママがチアをする!っていう話で、エンタメ小説として「あぁこういう感じね知ってる知ってる」って思いながら読んだ。
そこから2話目、3話目とつながっていくんだけど、在日外国人だったり養子だったり、そういうエンタメにはおさめきれない社会問題が出てきて、かといって深刻になりすぎず、エンタメとしての面白さが十分にあって、なんていったらいいんだろう…私の生活の一部として読めた感じ。
そして最後『プロムへようこそ』のラストシーンでは思わず涙が…。楽しいだけじゃない、私が高校時代に置き忘れてきたものもくみ取って昇華させてくれる感じ。
おもしろかった。 -
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実際にういさんが当事者の方にインタビューしていて、大人が聞けないような質問もしてくれているので、こんな感覚なのか。と違う世界に踏み込めるような気がする。LGBTの話題は学校や社会でも主流になってきて、私の大学でもLGBTウィークというものが開催されていた。好きになる人や、自分の性を自分で選べる時代に、どんな自分になりたいのか。どんな自分を見てもらいたいのか。年代によってはまだまだ理解されなかったり、特殊な嗜好を持っていたりすると「気持ち悪い人、変な人」だと思われて、社会から疎外してしまうこともあると思う。アメリカに留学をしていた友達がいるが、アメリカでは(言い方が正しいのか分からないが)レズ、ゲイなど普通に受け入れられていたみたい。完全に理解するということは不可能だろうけれど、知ろうとすることはできる。もし、子どもや自分より年齢の低い子どもにLGBTについて尋ねられた時、1人の大人としてどう説明すれば良いのか、参考になった本だった。あと、イラストが髪の毛が紫だったり、緑を背景とした表紙だったり、色使いも自由でポップで可愛い。最初と最後のページに付いているういさん直筆のメッセージは、小学生ながらもしっかりとした文字で、意志の強さ、なるほどなと私たちに気づかせてくれる文章で、これから先、ういさんがどのような作家になっていくのか少し楽しみになった。
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ネタバレ文明社会への批判を込めた、南の島ツイアビの目から見た文明人たちの世界。
木も、青い空も、さわやかな風もない、たくさんの石の箱が立ち並ぶ中で暮らし、丸い金属と強い紙を集めることに固執し、新しい物を次々と作り出しては自分のものにすることを望む。
でも、「いったいだれが私たちより豊かだろう。だれが自然の大きな力が作った物を、私たちよりたくさん持っているだろう。見回してごらん。遠く、空と海がひとつになるところまで、すばらしい物に満ち溢れているではないか。(略)これらの物の上に、もっとたくさんの物を、どうして作らなければならないのか。自然の大きな力が作ったすばらしい物があるのに」。
「私たちは自然の大きな力からたっぷりいただいた美しい喜びで、じゅうぶんに満足している。自然の大きな力は、私たちが迷わないように、光で道を照らしてくれる。自然の大きな力が照らす光。それは愛しあう心、あいさつをいっぱいたくわえた心のことである」。
ただ、教育や知識に関しては、ここまで否定されるべきではない、と思う。詰め込み式で学ぶことには同意するが、本来、自然に沿った生き方を基本にした知識は、生活を助けることになったはずだ。
お金に支配されるのではなく、助け合い、分かち合いをしつつ、仕事をしていくことが、喜びや幸せに繋がっていくはずなのに。
これが最初に書かれたのは、第一次世界大戦直後のことだそうだ。
欧米人たちが南洋諸島に進出し、文明をと兵器で島々を植民地化していった頃のこと。島民たちを愚かだと決めつけ、自分たちの価値観を押し付けていった。
でも、今、地球はどうなっている?
文明社会は何を手に入れて、どこに向かっているだろうか?
本当に豊かなのは、どういうことか。
本当に幸せなのは、どちらか。
今こそ、考えさせられる。 -
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親世代、子世代それぞれの生が同じ大きな物語の中でつむがれるのが、日本文化の年齢性を超越しようともがく意志を感じさせる。先生と生徒というのもそうかな。
でもよく考えてみると、子供向けの小説の中で、子どもの姿が大人にはどう見えているかを描いていた古田足日なんかもある意味同じなのかな。今思えば、ああした小説(『宿題ひきうけ株式会社』など)を読んで育ったことが社会学者としての僕の現在につながっている気がする。
でもこの小説で描かれる親世代、子世代それぞれの世界は子ども向けの小説とは違って、より対等なものになっていて、それは現実の私たちの世界における若い世代がより大人の世界とつながっている部分を映しているように思える。
そのような中で、プロム開催のために爆走する女子高生たちは、悟りすぎている若い世代への私たちの期待を反映しているようだし、子育てをはじめてから、若いころの夢を実現させようとしている主婦たちの姿は、年齢の壁を乗り越えたいという私たち自身の野望を映しだしているように思える。
コロナの流行はシンデレラの12時の鐘のようだったけど、それならその現実を乗り越える新たな魔法を私たちは欲しいと切実に思った。
また全体的に女性視点が強く反映されたストーリーで、男性がそこにどう関わっていいんだろうという課題を課されているようにも感じられた。 -
Posted by ブクログ
小学生のういさんがLGBTQ+当事者に聴いたことや考えたことをまとめて自費出版していたものを、新規にインタビュー、挿絵も加えて絵本化したもの。
インタビューイーは、一般人と思われるさとうさん、フェンシング元女子日本代表の杉山文野さん、オードリー・タンさん、ロバート・キャンベルさんの4名。
「ふつう」も「あたりまえ」も、集団の中で同じものを指しているように思ってしまうけど、個々を取り上げればみんなそれぞれちょっとずつ違う。みんなが笑顔になれるように、自分ならなにができるか、「違い」を活かすことができるか、外側に向けた想像力が必要。
作:うい、絵:早川世詩男、監修:松中権