シンプルに、恥ずかしいなと思った。
そしてこのところ感じていた、この世の全てがまやかしで、本質的でないような感覚に的確な説明が与えられたようにも思えた。
必要以上にあふれるモノ、必要もないのに生み出されるモノ、そのモノのために頭を悩まし生きる我々。自らうみだした概念で自らを縛り、心を乱す我々。考える
...続きを読むばかりで、自分の身体と心で世界に触れようとしない我々…。
編者や訳者の文中には、ツイアビ氏の文明描写や、提示したりする考えを笑いやおかしみをもって受け止める様子が多く見られるが、ぼくには笑いが込み上げてくるような瞬間は一切なかった。不思議でしようがない。このどこに、そんな面白みがあったか、わからない。彼の言葉は常に賢明そのもので、かつシンプルにこの世の真実を描き出している。
訳者あとがきで取り上げられている、原書の挿絵をかいたエールト=シェンクの、自分たちはもう戻ることのできない流れの中にいる…そんな言葉が胸に残っている。実はぼくだけでなく、多くの人々が本当は戻りたい、立ち止まりたいと感じている。どうやったら、紛い物ばかりのこの文明の中で、生き生きと真実の魂の輝きをもって生を全うできるだろうか?今後生きていく上で重要なテーマを与えてもらったと感じている。
まずは、考えてばかりいるのはやめて、自分の身体と心で世界を感じることを、はじめなくては。