岡崎照男のレビュー一覧
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シンプルに、恥ずかしいなと思った。
そしてこのところ感じていた、この世の全てがまやかしで、本質的でないような感覚に的確な説明が与えられたようにも思えた。
必要以上にあふれるモノ、必要もないのに生み出されるモノ、そのモノのために頭を悩まし生きる我々。自らうみだした概念で自らを縛り、心を乱す我々。考えるばかりで、自分の身体と心で世界に触れようとしない我々…。
編者や訳者の文中には、ツイアビ氏の文明描写や、提示したりする考えを笑いやおかしみをもって受け止める様子が多く見られるが、ぼくには笑いが込み上げてくるような瞬間は一切なかった。不思議でしようがない。このどこに、そんな面白みがあったか、わからない -
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2018/3/9
・「パパラギは、巻貝のように堅い殻の中に住み、溶岩の割れ目に住むムカデのように、石と石のあいだで暮らしている。」 p.34
→価値観、文化が違いすぎて凄い文章。この章は色んなモノがさまざまな表現で形容されていて普通に面白かった
・「ーーー息をするのにもすぐに丸い金属と重たい紙が必要になるだろう。なぜなら、あらゆるヨーロッパ人が四六時中、新しくお金をとる理由を探しているのだから。」p.51
→痒い所に手が届くいいサービスだーーと思っていたものが、この文章を読んでから、がらっと価値観が変わった。
・「もてなしをしたからといって何かを要求したり、何かをしてやったからといってア -
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サモアの酋長ツイアビが欧州視察の旅で見聞きした白人文化を、サモアの人々に語って聞かせる演説をまとめたもの。ほぼ100年前の話だが、不思議と現代と何も変わらない。忙しさ、お金、時間、仕事、機械、物欲、家族、住まい、都市・・・。白人(パパラギ)の家には光も風も届かない。腕に機械を巻きつけ、時間ばかりを気にしている。仕事を一つ覚え、一生その仕事から離れず魚も取れなければ畑を耕すこともできない。自然のままに生きてるサモアの人々から見ると、白人の生き方は不思議で危険なのだろう。ツイアビがサモアに人々に語りかける内容は、そのまま自分に言われているようで、なんとも気恥ずかしい気分。
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痛烈な文明社会批判。耳に痛いというか胸に痛いというか……。ツイアビが生きていたのは19世紀だけれど、今読んでもまさにその通り。技術力はどんどん向上しているけれど、人間は殆ど変わっていない。
でも最早文明社会でしか生きられない身としては、ここまで軽蔑されるのはやはり哀しい。
最初に彼らと触れ合ったパパラギたちが、もっと彼らを尊重し尊敬していれば、ツイアビもここまで頑なにはならなかったんだろうか。考えたところでどうしようもないけれど、つい考えてしまう。考え過ぎると不幸になるって、真理だな。
“自分探し”している人たち、自己啓発本を何冊も読み漁るより、これ一冊を読む方が色々ガツンと来るんじゃ -
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読んでると、生きるってシンプルなんだなと。
何かをできないととか、何かを持っていないと、という心配や悩みは、人間としての本質じゃないのかもしれないなと考えた。
…私、悩む方向性間違ってた?悩まなくていいとこで悩んでた??みたいな、自分の悩みが、実は悩む必要なんてないんじゃないかと思えたというか。笑
子どもの頃から詰め込まれた知識、教養。その環境でのみ適用される常識。
それらにがんじがらめになっているパパラギは、知識病である…
「たったひとつ、知識病にかかった人をなおす方法は、忘れること。知識を投げすてることである。」
最近、知らない国に旅に出たいなとおもっていたけど、旅って知識を投げすて -
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ネタバレ文明社会への批判を込めた、南の島ツイアビの目から見た文明人たちの世界。
木も、青い空も、さわやかな風もない、たくさんの石の箱が立ち並ぶ中で暮らし、丸い金属と強い紙を集めることに固執し、新しい物を次々と作り出しては自分のものにすることを望む。
でも、「いったいだれが私たちより豊かだろう。だれが自然の大きな力が作った物を、私たちよりたくさん持っているだろう。見回してごらん。遠く、空と海がひとつになるところまで、すばらしい物に満ち溢れているではないか。(略)これらの物の上に、もっとたくさんの物を、どうして作らなければならないのか。自然の大きな力が作ったすばらしい物があるのに」。
「私たちは自然の大き -
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西欧社会を原始的な生活をしている人からの視点で説明している一冊。
(以下、本を読んで現代社会に思ったこと)
人間はいつのまにか自然を忘れて自分だけが得するようにとばかり考えてしまうようになったのかもしれない。
世の中は資本主義、拝金主義、物質主義が蔓延っている。
現代はSDGsなどを掲げてはいるが個々人の理解を促進するには至っていないように感じる。
今や70億を超える人間の生き方というのは地球に合っているのだろうか。
きっと隣人を愛するだけでは事足り無い。
自然を愛するまではいかなくとも自然に触れていくことが現代に求められているような気がした。 -
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パパラギは靴を履いているから、足で木に登れないみたいなところが印象に残っている。
他の章もそうだけれど、文明が豊かにしたものと、それによって失ったものに、そしてここまでの文明を築きあげた人類の歴史に思いを馳せる。
別にどちらが良いとか悪いとか、正しいとか間違っているではなくて。自分の当たり前を疑うことは大切な視点だと感じる。というより単純に面白い。
文明社会に生まれたから当たり前に思っているだけのこと…というか結局当たり前なんてないのだと。
宇宙が存在してることすら奇跡だな…とぶっ飛んだけれど、そこまで飛ぶともうこの本とは関係ないか。と我に返った。
ありのままに物事を捉えられるように、受 -
Posted by ブクログ
独特なタイトルの本書だが、パパラギとは南太平洋の島サモアの言葉でヨーロッパ人のことを指すらしい。私たち日本人も含めた現代人のことを指すと思って良いだろう。この本は機械やお金、思考に支配されてしまったそんなパパラギから本当の幸せを知るサモアの人々を守るために語られた演説集であり、パパラギを病的で、悪魔に憑りつかれているとまで言っている。現代人が当たり前だと思っているものが、独特の言葉で表現され、その本質を見抜く表現には軽快ささえ覚える。
読み終わって、もう現代人はサモアの人々の感じる本当の幸せを感じることはできないのかもしれないという寂しさと、それでも少しでも本当の幸せを取り戻せたらなというほん