岡崎照男のレビュー一覧
-
サモアの酋長、ツイアビによるヨーロッパ紀行を通じて感じた文明批判。ツイアビのようなピュアな目でしか見えてこない文明がもたらす暗雲を浮き彫りにしている。
サモアにあるムシロ、ヤシの木などの少ないアイテムに例えて文明が生んだアイテムを語るとこに可笑しみを感じる。数少ないアイテムで約分して語ることができる...続きを読むPosted by ブクログ -
サモアの酋長ツイアビの文明批判。彼らがキリスト教徒なのが意外だった。白人すなわちパパラギは彼らにキリスト教をもたらし、彼らを救った。しかしパパラギ自身は神を信じてはおらず、金や物や時間を盲目的に信じ、人間至上主義で生きている。サモア人たちはキリスト教がもたらされたことで古くからの偶像崇拝を捨て、大い...続きを読むPosted by ブクログ
-
白人が作り上げた文明世界こそ進んでいて、島々で暮らすような未開発な土地で暮らす人々こそ遅れている。
一般的な認識はそうだ。
しかし、ツイアビ酋長は全てが魔法のような文明世界を目の当たりにして、その暮らしを羨むどころか、悲観した。
文明、科学が発達したことにより、物質的豊かさは手に入れたが、それ...続きを読むPosted by ブクログ -
サモア人の酋長が、20世紀初頭に、白人についてポリネシア人向けに語った話をドイツ人が翻訳し出版したもの。パパラギとはヨーロピアン(白人)のことをさす。サモア人酋長ツイアビは、ヨーロッパの国々を回り、白人社会の文化と生活様式を正確に理解し、その思い上がった文明社会に対する批判を仲間達に話した。その話に...続きを読むPosted by ブクログ
-
往来堂書店「D坂文庫 2013夏」からピックアップした一冊。
パパラギ(白人)の文明社会に触れた西サモアの酋長ツイアビが、島の人々に語って聞かせている内容をまとめたもの。現代文明への強烈な批判であり、アンチテーゼだ。でも、小手先ではなく、人間の根源に響く話になっているので、ただ批判に終始しているよう...続きを読むPosted by ブクログ -
南太平洋の島国サモアの酋長ツイアビが、ヨーロッパをその目で見て自国で語ったとされる100年ほど前の演説集である。
第三者の視点から近代ヨーロッパを見て、徹底的な観察と批評がなされる。
それは衣服や金銭、所有に依存した精神などに始まり、あげく時間そのものや、考えることへと移る。
確かにこれらは現代...続きを読むPosted by ブクログ -
「パパラギ」ツイアビ
白人の世界で1人の人間の重さを測るのは、気高さでも勇気でも心の輝きでもなく、1日にどれくらいたくさんのお金を作る事ができるか?どのくらいたくさんのお金をしまっているかである。
ギラギラ光り、ピカピカ輝き、しじゅう色目を使って自分を目立たせようとしている白人の物は、体を美しく...続きを読むPosted by ブクログ -
文明社会に生きることを、私たちは当たり前に思いすぎる。
今の生活が元来の人間にとっては異質であることを、考えさせられた。きっと人間にとっては機械も文明もなにも、なくたって生きていけるものなんだろう。だってそうやって今まで生きてきたのだから。
冷たく、疲弊し、生命感を失うことの恐ろしさを感じた。今の自...続きを読むPosted by ブクログ -
痛烈な現代批評。モノに溢れた現代について、とても考えさせられる。この考えること自体も批判されているわけだが笑少しでも他人と自分を愛せるようになれたらと思う。Posted by ブクログ
-
衣服、貨幣、労働といった、もはや人間存在そのものの根底から異なる西洋近代文明を、南の島の酋長が冷静に分析する。まずは根底から異なるようなものを平静に受け入れる精神力は尋常でないと思った。そのうえでその分析も正確だと思うが、特に近代文明の負の側面に特化した分析になっていたように感じた。こちら側の人間と...続きを読むPosted by ブクログ
-
「パパラギ~はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集~」
ウポル島、という。
オーストラリアの右上あたりに、サモアという地域があります。島々です。
その中の一つが、「ウポル島」。小さな島です。
少なくとも、この本が書かれたころは、大らかな原始共産制の暮しだったそうです。
1910年代のこと...続きを読むPosted by ブクログ -
本書は、ドイツ人エーリッヒ・ショイルマンにより1920年に発表され、その後1977年にドイツで復刊された原書を、1981年に日本語訳、2009年に文庫にて再刊されたものである。
著者は、まえがきで「この話は、ヨーロッパ大陸の進んだ文明から自分を区別し、解放しようとする原始の人びとの呼びかけであり、そ...続きを読むPosted by ブクログ -
何度も再読して浸透させたい。
印象的な言葉をメモしながら読むと、多くって手が疲れた。話し言葉で、一文ではなく長い前後の説明もあわせて一文になっているものあるけど。
印象的な文の中でも特に『考えるという重い病気』という言葉には驚いた。そんなこと感じたことなかったけど、言われてみれば確かにそれもあるよう...続きを読むPosted by ブクログ