早川世詩男のレビュー一覧
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実際にういさんが当事者の方にインタビューしていて、大人が聞けないような質問もしてくれているので、こんな感覚なのか。と違う世界に踏み込めるような気がする。LGBTの話題は学校や社会でも主流になってきて、私の大学でもLGBTウィークというものが開催されていた。好きになる人や、自分の性を自分で選べる時代に、どんな自分になりたいのか。どんな自分を見てもらいたいのか。年代によってはまだまだ理解されなかったり、特殊な嗜好を持っていたりすると「気持ち悪い人、変な人」だと思われて、社会から疎外してしまうこともあると思う。アメリカに留学をしていた友達がいるが、アメリカでは(言い方が正しいのか分からないが)レズ、
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ネタバレ文明社会への批判を込めた、南の島ツイアビの目から見た文明人たちの世界。
木も、青い空も、さわやかな風もない、たくさんの石の箱が立ち並ぶ中で暮らし、丸い金属と強い紙を集めることに固執し、新しい物を次々と作り出しては自分のものにすることを望む。
でも、「いったいだれが私たちより豊かだろう。だれが自然の大きな力が作った物を、私たちよりたくさん持っているだろう。見回してごらん。遠く、空と海がひとつになるところまで、すばらしい物に満ち溢れているではないか。(略)これらの物の上に、もっとたくさんの物を、どうして作らなければならないのか。自然の大きな力が作ったすばらしい物があるのに」。
「私たちは自然の大き -
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親世代、子世代それぞれの生が同じ大きな物語の中でつむがれるのが、日本文化の年齢性を超越しようともがく意志を感じさせる。先生と生徒というのもそうかな。
でもよく考えてみると、子供向けの小説の中で、子どもの姿が大人にはどう見えているかを描いていた古田足日なんかもある意味同じなのかな。今思えば、ああした小説(『宿題ひきうけ株式会社』など)を読んで育ったことが社会学者としての僕の現在につながっている気がする。
でもこの小説で描かれる親世代、子世代それぞれの世界は子ども向けの小説とは違って、より対等なものになっていて、それは現実の私たちの世界における若い世代がより大人の世界とつながっている部分を映してい -
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小学生のういさんがLGBTQ+当事者に聴いたことや考えたことをまとめて自費出版していたものを、新規にインタビュー、挿絵も加えて絵本化したもの。
インタビューイーは、一般人と思われるさとうさん、フェンシング元女子日本代表の杉山文野さん、オードリー・タンさん、ロバート・キャンベルさんの4名。
「ふつう」も「あたりまえ」も、集団の中で同じものを指しているように思ってしまうけど、個々を取り上げればみんなそれぞれちょっとずつ違う。みんなが笑顔になれるように、自分ならなにができるか、「違い」を活かすことができるか、外側に向けた想像力が必要。
作:うい、絵:早川世詩男、監修:松中権 -
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6編からなる連作短編集。
なつみは、若々しい美鈴ママにちょっとだけ嫉妬していた。
女王蜂(クイーンビー)の美鈴ママ。
でも、美しさは見た目だけではなかったのだ。
歳を重ね「おばさん」になるのは罪なのか?
初未は二つの名前を持つ。
佐藤初未とキム・スンエ。
15歳の平凡な女の子に知らされた在日韓国人という事実。
ままならない日常。
出自も性別も、自身ではどうしようもない。
映画の印象的なシーンに絡め、それぞれの登場人物が明るく力強く
そして前向きに描かれている。
吉川トリコさんは名古屋在住作家さん。
地名など馴染みのある場所ばかりで、それも楽しかった。 -
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女性を取り巻く、あれこれに、とても敏感な作家さん。
初めて読んだ「ベルサイユのゆり」は、ふざけているのかと思ったけれど、
ちゃんと「ゆり」の意味を込めていたんだよね、あれ以来、
気になる作家さん。
私から見たら、若手だけれど、世の中では中堅か。
本作は、連作短編集。
彼女の世代爆発、映画や海外ドラマが次々登場し、
その上の世代の私にはよくわからないところも多々あり。
それでも、40代主婦がチアダンスチームを作り・・・
そこから仲間が広がり、今の世で、マイノリティゆえの何かを
抱えている人物が次々にスポットを浴びる。
こういった世の中の切り取りが、本当に、この人は上手。
ちゃんと物語の中で読