サラ・ピンスカーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんて言うか、もう、10冊分くらい読んだようなエネルギーを使いましたし、そのくらいの満足感に満ち満ちた読書でありました。
13篇収録。
話それぞれにみんな違ってみんな良い、想像力をフル稼働させないとあっという間に置いてけぼりにされそうな、とにかくひとつひとつの話にギュムッと想像の海が押し固められていて、その寒天状の海を分け入って分け入って、どうにかようやく理解が追いついた時にパァッと視界が開けるような、繰り返してばっかりですが、とにかく密度が高い一冊でありました。
以下、13篇全部の感想を書きたいのですが私の不徳の致すところ、ピックアップして記載致します。
《一筋に伸びる二車線のハイ -
Posted by ブクログ
ネタバレ好きなYouTuberさんが「海外SF」として紹介していて、表紙も素敵だったので読んでみた。
作者がまさかのシンガーソングライター。音楽の話が多数あって嬉しかった。ラッキー。
1話目はなんだか気持ち悪かったけど、2話目からは大体ずっと好きな世界観だった。
そしてわれらは暗闇の中
記憶が戻る日
いずれすべては海の中に
深淵をあとに歓喜して
孤独な船乗りはだれ一人
風はさまよう
オープン・ロードの聖母様
イッカク
そして(Nマイナス1)人しかいなくなった
が良かった。(ね、本当に大体全部でしょ。)
すごく引き込まれて「で、どうなるの?どうなるの?」と思いながら最後まで読むと、これといって -
Posted by ブクログ
ネタバレ13編の短編が収められている。うち3編はやや長め。
ほとんどがSF的な設定となっているが、SFを全面に押し出すのではなく、SF的世界の中における人間の感情や生き方が描かれているという感じ。
丁寧に静かな文体で書かれていてじっくりと浸りながら読める。
特に後半の4編はそれなりの長さがあることもありテーマに深みのある力作でとてもよかった。
1. 一筋に伸びる二車線のハイウェイ
事故で腕を失い機械義手をつけるが内部のチップに使われているソフトウェアがコロラドのハイウェイで使われていたもののリサイクルだったため、自分の腕がハイウェイと一体化したように感じる。手術でチップを交換するが、ハイウェイの記憶 -
ヴィナ・ジエミン・プラサド / ピーター・ワッツ / サード・Z・フセイン / ダリル・グレゴリイ / トチ・オニェブチ / ケン・リュウ / サラ・ピンスカー / ピーター・F・ハミルトン / ジョン・チュー / アレステア・レナルズ / リッチ・ラーソン / アナリーニューイッツ / イアン・R・マクラウド / ソフィア・サマター / スザンヌ・パーマー / ブルック・ボーランダー / ジョナサン・ストラーン / 市田泉 / 小野田和子 / 佐田千織 / 嶋田洋一 / 中原尚哉 / 古沢嘉通 / 細美遙子3.7 (6)
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SFってやっぱ面白い、と思わせてくれる16編と盛りだくさんの短編集。文庫も物価高騰のあおりを受けてこんなに高くなったか・・・と思いつつ買ったが、元は取れたと思う。
どの作品も味わい深いのだが、意識を持ったAIは物理的につながりさえできれば、ハード(シャーシ)を乗り換えていけるって設定が興味深い。人間が求めてやまない不死不老をAIなら実現できるという夢。
究極は「罪喰い」の世界で、人間はみな仮想空間(天国)に旅立ち、荒廃した地上にはロボットだけが残る。遺していく記憶を選べるってとこが業だ。
一方で、製品が成長したり、メンターがいたり、ロボット同士のいじめがあったりって世界の作品もあって、自意 -
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朝焼けを迎える宙なのか、それとも夕暮れに向かう海なのか、淡い彩色の装丁に包まれた物語の世界に浸ると空気の組成が少し変わり始める。忍び込んだ異質な空気が肺を満たすとき、追憶の中の未来- 辿り着くことのない、いつかどこか ーがゆらゆらと立ちのぼってくる。
それは旅先で目にした知らないはずの風景に感じる懐かしさと、それと同時に決してその風景に含まれることはない哀しみにも似て、心をさざなみが通り過ぎていく。
失われたものへの哀惜と失ったものを語るときの優しさが、“今”を生きる真っ直ぐな力強さと溶け合って余韻を残す、美しい作品が集められた短編集だった。
『一筋に伸びる二車線のハイウェイ』
オートメーシ -
Posted by ブクログ
ネタバレ普段あんまりSFは読まないんだけど、これはかなり好き。最初の「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」から、突然の事故で付けることになったハイテク義手が「自分は道路だ」と脳内で主張してくる…という突拍子もない調子で始まり面白いし、オチが秀逸。
「深淵をあとに歓喜して」の老夫婦の看取りの話も良かったし、「風はさまよう」の、人間と地球が何のかかわりもなくなったら、歴史とは、音楽とはいったいどういうもので、何の意味を持つのか、という重い問いかけに突っ込んでいくのもすごかった。それぞれの短編で設定は全部違うし今の現実とは乖離しているけど、出てくる人間の感情や行動に手でさわれるようなリアリティがあるから面白くな -
ヴィナ・ジエミン・プラサド / ピーター・ワッツ / サード・Z・フセイン / ダリル・グレゴリイ / トチ・オニェブチ / ケン・リュウ / サラ・ピンスカー / ピーター・F・ハミルトン / ジョン・チュー / アレステア・レナルズ / リッチ・ラーソン / アナリーニューイッツ / イアン・R・マクラウド / ソフィア・サマター / スザンヌ・パーマー / ブルック・ボーランダー / ジョナサン・ストラーン / 市田泉 / 小野田和子 / 佐田千織 / 嶋田洋一 / 中原尚哉 / 古沢嘉通 / 細美遙子3.7 (6)
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Posted by ブクログ
サラ・ピンスカーの短編・中編、全13編。これはジャケ買いしました〜
寝る前に少しずつ読んでいたのですが、起きると「…はて?…」となってほぼ毎回読み返してました。
全体的に淡々としていて、すごく突飛な事もあるんだけどそれも含めてやっぱり静かに進んでいくというか。どれもゆっくり旅をしてるみたいな…その世界がどんなふうなのかを探り探り読んだのが、寝る前にピッタリだったかも。
…と思いきや、最後に「そして(nマイナス1)人しかいなくなった」は、ここへきて急に目がバッチリ覚めるようなミステリ。すごいこと思いつくなぁ、この状況だからこその犯人の動機には妙に納得。
著者がミュージシャンでもあるそうで、音楽が -
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フィリップ・K・ディック賞受賞作。SFは作者によって設定や世界観が似かよってくるように思うのだけれど、サラ・ピンスカーはとにかく引き出しが多い!一篇一篇の設定がフレッシュで、また一篇の世界観が浮かび上がってくるのに時間をかけるのがすごい。
表題作は「いずれすべては海の中に沈むことについて、けれどいくつかのものがまた這い上がってきて、新しいものに変わることについて。」という一文で終わる。多彩な世界を展開しながらも、この短篇集全体には、この一文が通底しているように感じられるのがすばらしかった。あと、作者が絶対に音楽を愛する人だとわかるのもとても好ましい。 -
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★3.8
主に女性が主人公
やさしい雰囲気のSF短編集
というか SFなんだけどもSF的な要素はあくまでもギミックというかスパイスというかエッセンスというかでそれをベースにした物語なんだけども書きたいのはやはり「人」なんだなと
池澤春菜の紹介で知ったけれど 彼女の初短編集を先に読んでたせいか かなり影響受けてるんじゃないかな? と思った
文章のあちこちに、女性性や母性のようなものを感じるのだが、それは俺が男性だからだろうか?また翻訳で読んでいるので訳者がそういうところを意識した言葉を使っているのかもしれない。英語で読むとどういう風に感じられるんだろう。 -
Posted by ブクログ
繊細で不思議な物語。
本屋で表紙の美しさに目を惹かれて購入。13編の中短編が収めらています。
ひとつひとつの話はおもしろいですが、新たな話に移るたびに、時代背景や状況を理解するのにちょっと苦労します。
SF的なギミックやアイデアよりも、登場人物たちの心の機微の描き方がとても良くてそこに感動します。
説明が難しいですが、どの短編も共通して物哀しいトーンをまとってはいるけれど、ラストは希望を感じさせる作りになっています。
統一感のあるアルバムを聴いたような読後感。
翻訳文も、登場人物の口調など違和感なく表現していて読みやすいと感じました。
装丁が非常に綺麗なんで、ぜひ紙の本で手に入れてほしい -
Posted by ブクログ
解説込みで600ページちょいあるんだけど面白くて一気に読んでしまった!
不運にも現実とリンクするような世界観で読んでて頭がぐらぐらしたが、現実に重なるからこそ今絶対に必要な物語だった。
ルースの言葉が真っ直ぐで格好良くて私はこの言葉を待っていたんだなあと涙ながらに読んでいた。
感染症とテロによってライブができない世界で音楽を作り続けるルースと音楽を世界に届けようと奔走するローズマリー。
正反対の二人が導き出した答えに胸が熱くなった。
映画みたいな幕引き!
最高!!
この小説は音楽を作る人と音楽を届ける人の物語であり、創作活動をする全ての人に捧げた物語でもあると思うので全員漏れなく読んでほし -
Posted by ブクログ
宇宙に旅立ち、持っていった人類の文明のデータが消えた後の世界、船内で音楽を演奏するグループに参加している女性の話が特に良かった。
過去の名曲を再現しようとしても過去の作品全ては拾えない。
今同じ時間に存在しているものにも思いを馳せたり、これから新たに作り出すことに勇気をもらえる話だった。
「風はさまよう」の他
クジラを運転して旅する「イッカク」
多元宇宙のサラ・ピンスカーが集うサラコンで起きた殺人事件「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」
夫婦間の謎を妻が理解し進む「新縁をあとに歓喜して」などが良かった。
寝る前に少しずつ細切れに読むと、数日後に話の内容が追えなくなり、何度も止まった