北村滋のレビュー一覧
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今書いているのは8日の午前四時前だ。去年の今日は大変驚いた。出版当初からとても注目された本だったが、その時点での俺の関心は薄かった。いくら回顧録と言えど、機微に触る発言や質問はさすがにないだろうと思っていたからだ。しかし読んだ人のレビューなんかを見ると、思いのほかしっかりとした本らしい。それで一度は読んでみようと思い、メルカリでなるべく安く購入した。たしか1500円くらいだったと思う。読んでみたら安倍政権のことがよく分かった。特にコロナ対応とか、選挙の話は興味深かった。ダイヤモンドプリンセス号が帰港し、乗客が日本に渡ったとき、コロナが流行するおそれを大いに感じたが、政府としてもとても危惧してい
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政治は難かしい
虚実で飾っている部分や、長として言へない内容もあるだらうが、裏話や正直なところもあり、おもしろい。
公明党が応援すると票が2割増えて、創価学会に低頭平身だと語ってゐる(笑)。黒川検事長よりも林検事長のほうが親しいと言ってゐて、英語の授業で政治の話ばかりしてゐた講師の話を思ひ出した(ひどいね)。コロナウイルス薬のアビガンを北朝鮮高官が欲したなんて話も、惜し気もなくバラす。
雇用政策のところを読むと、リベラルな考へも取り入れてゐて、ぜひこの調子で岩盤規制の撤廃や、同一労働同一賃金に取り組んで、メンバーシップを破壊してほしかったと感想してしまった。
政治は難かしい。他国、 -
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国の総理が漫画や小説ではなくノンフィクションとして政争や外交を語った本として、読む価値があると思う。2006年の第一次安倍内閣、2012年末から2022年までの第二次安倍内閣の総理大臣としての言い訳、手前味噌の自画自賛も入った回顧録。一生懸命に考えて、総理大臣という職を続けたことは判るが、考えの方向性が私と全く合わないことが良く判った。
・コロナ対応:厚労省の薬務課長が薬事承認の実質的な権限を持っているが、課長クラスの人事権は内閣にないので言うことを聞いてくれません とのこと
薬害エイズで課長クラスが有罪になったので、アビガンにハンコ押すと後から何言われるか判らないから・・・ 緊急時なのだから -
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日本の外事警察、インテリジェンスの代表的人物とも言える北村氏が記したリアリティのある記録書。
昭和後期以降の日本のインテリジェンスのメインストリームを捉えることができる。
日本の外事警察は国家の関心事項や治安・安全保障のリスクを捉えて活動している。
日本のインテリジェンスを事実上取り仕切っているのは警察と言っても過言ではないだろう。
対外的なインテリジェンス機関等との接点にもなる。
国内のスパイ活動も良く監視、検挙できているようにも思う。
海外との関係がある国内所在の団体へのアクションも適切と思われる。
北村氏の功績としては、第二次安倍政権で内閣情報官として特定秘密保護法の制定への貢献もある -
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二度の政権によって憲政史上最長の首相在任期間を過ごし辞任した後の安倍くんへのインタビューをまとめたという。欧米では大統領などを務めた人が退任後に回顧録をまとめておくことが半ば当たり前のことだという。在任中に何を思い何をなしたか、下した政治の背景に何があったかを記録しておくことが務めだからといった趣旨。政治家のオーラルヒストリーをまとめている御厨貴さんなども同じようなことを言っていた気がする。安倍くんがいまだ存命であれば、いくらこの本が話題になろうと嫌いなまま読まなかっただろう。よいタイミングという言い方は不謹慎かもしれないが、安倍くんが鬼籍の人となる前にこのようなインタビューが行われていたこと
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相変わらず敵味方をくっきり線引きし、敵に対してはある意味小ばかにしたような、しかし容赦ないばっさりとした物言い。これぞ安倍晋三である。彼は多数派の政治家だったので、その多数派に入れていた国民からすれば力強い不出のリーダーに映り、少数派に属していた人からすれば、最大公約数を探すことなく容赦なく切り捨ててくる最悪の悪魔に映ったのだろう。強い光は大きな影を生み出す。それでも、自分はこの偉大な政治家が好きだった。まるで安倍さんが生きていて、目の前で話をしてくれているような気分にさせてくれる。そんな一冊。
彼が各国をどう見ていたかも面白い。明らかに中国を仮想敵国としていた。各国首脳に対してトップダウン -
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現状変更させず、今日と同じ明日を無事に迎える事。平和とは、この政治的膠着状態をいかに創り上げ維持できるかという事だと、最近改めて考える。台湾有事しかり、ウクライナ侵攻しかり、かつての満州事変しかり。このギリギリの状態を崩させようと第三国が仕掛けたり、或いは内政的な事情、内事は、政治抗争という意味と、資源枯渇による国家破綻という意味で、常に現状変更のリスクがある。他国に支配されぬように変更せざるを得ない場合もあるのだろう。
戦略的自律性、戦略的不可欠性。経済安全保障を考える上で、至近の分かりやすい例では、マスク外交のようなものや半導体、ワクチン、レアアース。古くは石油。締め付けられれば、行動を -
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中国、ロシア、北朝鮮・・・。海外からの脅威に日本の「外事警察」はいかに対峙してきたのか――。警察官僚、前国家安全保障局長として、数々の修羅場をくぐり抜けてきたインテリジェンス・マスターと『見えざる敵』との闘いは、外事警察が抉る平成の裏面史でもあった。知られざるスパイとの闘い、水面下での極秘任務の数々がいま初めて明かされる!
我々一般人が見えないところで、国益を害さないようにこういったインテリジェンス・オフィサーたちが奮闘してくれているんだなと実感する。スパイとの情報戦というイメージがどうしても強いしその一面が最も大事なのだが、オウム真理教や山口組など国内の組織に関しても海外との接触がありうる場 -
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コロナになり病気が再発して首相を退任した後、本書の著者らによるインタビューを受けて在任中を振り返った内容を、死後に回顧録としてまとめた1冊。インタビューに答えている形式なので、普段の安倍元首相がざっくばらんに軽く話している雰囲気が感じられた。
よく言われていたように、味方と敵に分けて自分の意見に反対する考えには耳を貸さないような態度なんかも、別に隠さずに話している。ある意味とても素直で正直な人柄を感じたし、同じ方向を見て何かを一緒にするときに担ぐのにベストな人だと思った。
財務省との戦いだとか、自分のやりたいことははっきりさせつつ、戦略的に選挙なども乗り越えて長期政権を維持し、人も惹きつけたと