あらすじ
★★中国との「見えない戦争」を制する
戦略と指針がここにある!
警察官僚として日本の技術を盗もうと暗躍するスパイと闘い続け、
前国家安全保障局長として経済安全保障の強化に心血を注いだ著者が、
軍備を拡張し、現状変更も辞さない中国の野望と戦略を分析。
「スパイ天国」とまで揶揄された無防備なこの国を守るための指針を提示し、
最新の経済安全保障事情を解き明かす。全篇、著者渾身の書き下ろし。
人工知能(AI)を搭載したドローンが襲い掛かってくる、人工衛星を攻撃されて陸海空のオペレーションが混乱する、遠隔から原発をメルトダウンさせる……。現代戦は、科学技術の戦いだ。令和の戦争の勝敗を決するのは、AI、量子技術、生物工学の力といっていい。軍民融合が当たり前の中国は、世界の最先端技術を吸い取り続けている。「見えない戦争」は始まっている。安全保障の危機が経済、科学の領域に拡大している。
目次
■1章 日本を狙うスパイ
■2章 経済、科学の領域に拡大する安全保障の危機
■3章 経済安全保障とは何か
■4章 米中激突の最前線
■5章 米国、欧州の政策
■6章 我が国の政策と経済安全保障推進法
■7章 中国の歴史的戦略思考と米国の誤算
■8章 習近平の「中華民族の偉大な復興」「中国の夢」
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Posted by ブクログ
現状変更させず、今日と同じ明日を無事に迎える事。平和とは、この政治的膠着状態をいかに創り上げ維持できるかという事だと、最近改めて考える。台湾有事しかり、ウクライナ侵攻しかり、かつての満州事変しかり。このギリギリの状態を崩させようと第三国が仕掛けたり、或いは内政的な事情、内事は、政治抗争という意味と、資源枯渇による国家破綻という意味で、常に現状変更のリスクがある。他国に支配されぬように変更せざるを得ない場合もあるのだろう。
戦略的自律性、戦略的不可欠性。経済安全保障を考える上で、至近の分かりやすい例では、マスク外交のようなものや半導体、ワクチン、レアアース。古くは石油。締め付けられれば、行動を起こさざるを得ない。国家と家族、自らを守るため。では、中国やロシアの内在的論理、変更に向けた動機とは何か。理屈を組み立てながらも、その心理を理解せねば、平和な明日は得られない。NATOや米国に煽られながら、相対性の中で一線を越えざるを得ないそのトリガーとは。もしくは、自発的にその一線を越えるならば、最も最適なタイミングとは。
台湾有事が現実化しそうである。起こる前、起こる原理を考えるフェイズから、起きた後を見据えておくフェイズへ。