北村滋のレビュー一覧
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安倍元首相が、最初に首相の座に就いたのは、ご本人が52歳の時であった。政治家一家に生まれたエリート政治家は、史上最年少で首相の座に就くことになったが、しかし、第1次安倍政権はうまくいかず、ご本人の病気もあり、わずか1年で退陣することとなる。エリート政治家が初めて味わう挫折だった。しかし、ご本人がインタビューの中で応えているように、この経験が、政治家・安倍晋三を成長させ、第2次安倍政権をつくり、そして、その第2次安倍政権も成長させ、史上最長の政権にしたのである。
本書のインタビューでは、その間の出来事について、安倍元首相が忌憚なく話しておられる。私自身は、「アベノミクス」を始めとした安倍元首相の -
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『安倍晋三回顧録』──「国家とは何か」を問い続けた男の記録
『安倍晋三回顧録』は、単なる元首相の回想録という枠を超え、「日本のかたち」を根源から問い直すような、強い力を持つ一冊だと感じた。政治の舞台裏、外交の緻密な駆け引き、そして一人の人間としての覚悟と苦悩が、飾らない率直な言葉で綴られている。
本書は、生前に36時間にわたる綿密なインタビューに基づいて構成された。安倍氏は、自身の功績も課題も、ありのままに語る。政策の失敗、誤解されたことへの悔しさ――それら全てが、「いかに国を守るか」という強い信念によって貫かれている。読んでいると、こちらも自然と襟を正すような気持ちになる。
「戦後レジー -
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総理大臣は、そんな事を考えて仕事をしているのか、ということを端的に知ることができた。
数多の決断の中にはミスや失敗もあったのではないか、それでも話の辻褄が合うように上手に誤魔化して話している部分もあるのだろうと想像した。
それでも、一部には発言のミスなどについて正直に謝罪を述べる箇所もあり、総じて正直な内容をお話しされたのだろうと感じた。
いわゆる保守派が何を大切にしているのか。理想を語るだけでいい野党と、現実とのすり合わせをして政策に落とし込まなければならない与党・政府との立場の違いも描かれていたように思う。
最後に掲載されている野田元総理の追悼演説は、よく言われているように非常に良い文章で -
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安倍晋三がどれだけ日本の国益を守るために闘っていたかという事がよく分かる。左翼やメディアに嫌われ続けたが、それでも国民の支持が強かったからこそ、憲政史上最長の任期を務めた日本の歴史に残るリーダー。
特に興味深いのは外交や各国首脳に関する記述。メディアを通じてしか知らなかった、外交の真の舞台裏が描かれており、それだけでも読む価値はある。
理知的で実務派の元弁護士オバマ大統領は、ジョークにも反応せずに直ぐに本題に話を戻したという。銀座次郎でのすし会食では米国の自動車が道中で1台も走っていない事を安倍に文句を行った処、安倍はドイツ車はたくさん走っている、彼らは日本の実情に併せて右ハンドル車を作っ -
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岸田文雄の安倍晋三への弔辞泣いた
1900
480P
★4.5・・・3053
安倍晋三 回顧録
by 安倍晋三、橋本五郎、尾山宏、北村滋
第1次内閣で内閣広報官を務めていた長谷川榮一氏の誘いで、2008年春に高尾山に登ったことが大きい。そこで多くの人から声をかけられました。「安倍さん元気になったんですか」とか「頑張ってください」と激励されました。それが自信を回復することにつながりました。厳しくマスコミに叩かれ、自信も誇りも砕け散った中から、だんだんともう一度挑戦しようという気分が湧いてきました。
皇室の政治利用とは、 牽強付会 の議論ですね。欧州ではどこの国も王族が前面に出ていますよ -
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2次にわたる安倍政権7年9ヶ月間の内政、外交、国会論戦について、その時々で安倍元首相がどう考え、決断したかが、意外なほど率直に語られている。
聞き手も、タブーを設けることなく、答えにくい事柄についても適切に問うている。
本文だけで約400ページだが、内容に惹かれ、ほぼ一気読みだった。
本人の逝去(暗殺)後間もないこのタイミングで、網羅的な回顧録が出版されたのはほとんど奇跡といえる。
が、この本では語り切れなかった様々なことが、この十倍はあったに違いない。
毀誉褒貶はあるとしても、約8年間激動の状勢の中で自ら国の舵取りをした人物の知見は、今後の国の運営に大いに役立つはずだった。
我が国の -
ネタバレ
ただただ、涙・・・。
2023年7月読了。
出版されて直ぐに買ったのに、どうしても手が伸びなかった一冊。
先日、「元番記者」を自称する元NHK解説委員の方の『実録…』とやらを読み、「それでは本人自身のお話を伺いましょう」と決意し、本を開いた。
読み始めて直ぐに、あの懐かしい舌っ足らずで、幾分セカセカと話す口調の、故人の声が聞こえてきて、一気に読了した。
まるで安倍さんが目の前で喋っているのを聞いているようだった。
「回顧録」として読むには幾分生々しい話題が多く、「もう済んだ事」として受け止められない部分は有るが、もう二度と話を聞く事の出来ない人の語りだと考えれば、より多くの善男善女に読んでほしい一冊だと、強 -
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安倍晋三元首相の言葉や話し方の巧みさに改めて感銘を受けた。オバマ氏やトランプ氏といった各国首脳に対して、必要な主張ははっきりと伝えつつも、相手を逆撫でしない絶妙なバランスでコミュニケーションを取る姿勢には、まさに「外交の安倍」と呼ばれる所以を感じた。
また、各国の首脳の個性や特徴が具体的に描かれており、外交の舞台裏を垣間見るような興味深さがあった。さらに、あの安倍元首相ですら大切なスピーチの前には何度も練習を重ねていたというエピソードを知り、強い親近感を覚えた。
もともと政治に深い関心があったわけではないが、この本を通して政治や外交への興味が大いに高まった。特に日本の外交体制については、今後も -
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『安倍晋三回顧録』は“是々非々で評価するための素材”を与えてくれる一冊です。支持・不支持の感情をいったん脇に置き、政策ごとの狙いと帰結、そしてその際に生じたコストをていねいに見ていく――その視点で整理すると、次のように読めました。
まず、第一次政権期に動いた教育基本法改正、防衛庁の省昇格、国民投票法、集団的自衛権の法整備は、保守色の強いアジェンダであり、批判を招きやすい領域です。一方で、日米同盟の再定義や安全保障の現実対応として一定の妥当性を主張できる領域でもあり、賛否は“価値観”に大きく依存します。回顧録はこの価値判断の根拠(歴史観・危機認識)を提示しており、賛成であれ反対であれ、論点を可