難波優輝のレビュー一覧

  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    新進気鋭の美学者が、社会に浸透する物語化へ無文別な態度対する疑問を呈する。
    登場する用語は、情動、陰謀論、考察、推し活、MBTI、SNSなど昨今様々な形で論考の題材となっているものである。現代重要ワードの詰め合わせである。これらの用語の解釈を経て、人生を自分ごととして取り戻す契機として、「おもちゃ」遊びへと到達する。

    私の人生はどのタイプなのだろうと思い返してみる。個人的には意外であったが、「ギャンブル」が当てはまるのではと本書による解釈を得る。

    若い時分は人生に意味や目的を持たずただ惰性で過ごしていた、何かを発散するわけでもなく昨日と同じ今日が無意味に繰り返されることにちょっとした絶望を

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    2026年02月22日
  • 性的であるとはどのようなことか

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    「性的なもの」にフォーカスした第一章は、街中の性的な広告についての論争を軸に、なるべく客観的に論点を整理する内容。一方「えっちなもの」についての第二章は、えっちなものを2つに分類分けした上で考察や展望(?)を述べていくという筆者の主観寄りな内容になっているので、読んでいる中で切り替えないと混乱しちゃうかも。
    タイトルのユーモラスさに惹かれてこの本を手に取った私としては、第二章のほうが新鮮な感覚もあり、筆者もノリノリで書いているように感じて楽しめた。


    個人的な話、車がグシャグシャになる動画を「えっちだ…」と思ってしまう自分の感性に、以前から疑問を抱いていたのだけれど、これって「崇高のえっち

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    2026年02月08日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    カオスで単一の生活があるはずもない世界を物語の力で平面化することの危うさを論じた本。おもろかった!
    何らかのフィルターを通して世界を解釈・整理しようとする試みは強制的に世界の「次元」を下げて単純化することに他ならない、という主張。この本では「物語」がメインで語られるフィルターとして取り上げられているけれど、きっとどのフィルターであっても同じことが起きるだろう。
    単一のフィルターを通した世界にとどまり、その短所を意識せずに過ごすのではなく、いくつもの世界を渡り歩いてそれぞれの世界の軋轢の様子を楽しんだり、創造的に世界自体を破壊してリビルドすることで複雑な世界を生きてゆこう、という考えはそうだなと

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    2026年02月08日
  • 性的であるとはどのようなことか

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     先日これを家内に読んでいるところを見つかり、不必要なほどにこれが知的に面白い本であることをアピールしてしまったが、そのような気まずさがなぜどのような事情で生じるかを改めて知ることができる本。どうしても下世話な内容を連想させるテーマだが、気取ったり奇を衒ったりするところのない誠実な語り口が心地良く、作者の主張がすんなりと頭に入ってくる。
     なぜ性的な概念はこれほどまでに気まずさを呼び起こすのか?筆者は、人が自らの手の届かない領域の「向こう側」に抱く憧憬と同化の欲求が美的判断である「えっちさ」の根幹を成すとし、巷間言われるような生物的な性欲が文化的な「えっちさ」を規定したのではなく、逆に「えっち

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    2026年02月06日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    タイパ、コスパ、という言葉や概念が、こんなに流行ったり浸透して、良いものとして受け入れられている背景には、人生を物語化している、またはそうさせるような仕組みのある社会があるのかな、と感じた。
    もっと遊ぼうぜ。

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    2026年01月25日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    このような本を読むたびに「それは貴方が可能性や善や自由を好ましいと思っているだけではないか」という感想が浮かぶ。

    歪んで閉ざされた自己理解で大いに結構である。

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    2026年01月02日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    世界は物語で溢れている。お湯を注げば誰でも美味しいカップラーメンができるような、ありもので定型的でわかりやすい物語にいい加減辟易している。しかし、物語を紡ぐことで私たちは歴史や価値観を伝承してきた。私たちは人の言葉を食べて、言葉で生き方を決められる生き物なのだ。
    物語は用法と容量を守って正しく服用を。そして、物語から逸脱した楽しい遊びに思いっきり自分を没入させよ。そうメッセージを受け取った。

    刊行イベントにお邪魔したが、難波さんは宇宙人だと自称し、確かにエピソードも浮世離れしていた。なぜ知らない人の顔のポスターを家に貼るのか、なぜ締め切りが頭にあるのに実行できないのかなど…優しい宇宙人が舞い

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    2025年12月27日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    私たちは「物語」を生きている。そして、「物語」は、きっと私たちを支配している。それは、不可解なことがらに出会ったときに、理由としての「物語」を求めてしまうように。

    いま、「物語」は権威的な、マジックワードになりつつある。著者は、その「物語」の看過されている特権性を指摘し、「物語化」からの逃亡を図る。本書は、「物語」ではない世界との接し方の提案を試みる意欲的な論考である。
    著者は、「物語」以外の理解の型として、「ゲーム」「パズル」「ギャンブル」「遊び」に目を向ける。重要なのは、単に代替手段として提案するのではないことである。これらにも、きちんと批判のまなざしを向けている。そして、結局は万能なも

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    2025年12月19日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    面白かったしびっくりするほど読みやすかった!

    自分語りは過去を再構築することである。創作である。
    歴史の再構築は訂正可能性があるのに対して、自分語りは真偽を確かめられる人がいないため、自己理解にも他者からの自己理解にも歪みが生じる。

    なぜ私たちは情動を感じたいと思うのか。それは第一に、私たち人間にとって、適切に情動を感じることそれ自体が喜びになりうる。それは、世界に対して適切に反応する、という能力だ。

    私は感情的にならないというのも論理的な気分なので、私たちは気分に支配され続けている。

    パズルは正解があるからジリジリ感が楽しめる。正解がないもの(例えば今月の予算など)を考えるのは全く楽

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    2025年12月16日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    物語化のバランスをとることから、オルタナティブな生き方としてのゲーム、パズル、ギャンブルへの展開、そしておもちゃへ

    この切り口おもしろい

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    2025年12月07日
  • SFプロトタイピング SFからイノベーションを生み出す新戦略

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    SF作家を私は知らない。けど村田沙耶香さんならわかるし『消滅世界』は読んでみたい

    いくつもある未来から意思ある未来を選んで描き出すSFプロトタイピング。多様な人たちと創りあげていく過程に意味があり、そのモデレーターが肝になる

    その素養がある人は罰に対する反応性が弱い、という指摘に驚きつつも納得

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    2023年05月02日
  • SFプロトタイピング SFからイノベーションを生み出す新戦略

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    近年、(主に米国の)先端産業の経営者がSF作品のファンであることにも起因して、SFというジャンルが注目されているようだ。
    そこで、SFを積極的に経営に活かしていこう、というムーブメントが生まれ、これがSFプロトタイピングとして市民権を得たものであろうと思う。
    「ドラえもん」、星新一から始まり、フランク・ハーバート、アイザック・アシモフ、神林長平、ウィリアム・ギブスン、士郎正宗、ダン・シモンズ、伊藤計劃などを濫読してきた身としては喜ばしいことだ。
    実は私が1990年代に所属していたSFコミュニティでは、「SFの終わり」が語られていた。
    もはや現実がSFに追いついたというのである。
    もちろん、現実

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    2023年04月08日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    「物語」の持つ力の功罪について関心があったので発売当初から気になっていた本。ちょっと遅れましたがやっと読みました。
    前半の物語篇は大枠として私も共通した問題意識や関心を持っていて、とはいえ私は考えていなかったような領域の話も含めて論点をうまく整理してくれた感覚が強い。
    後半のゲーム・パズル・ギャンブル・おもちゃについてはなかなか面白い問題提起だなと思ったけど、物語の持つ力の功罪に直接つなげる形で考えた方が良いテーマなのかはちょっとまだ保留。今後それぞれのテーマを深堀りしていくとのことなので楽しみにしたい。

    仕事柄「物語」を活用することは少なくない。傷ついた人や迷い悩む人が物語ることや物語を参

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    2026年02月22日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    「何者かになりたい」は呪いだというタイトルに惹かれて読みました。

    内容は、想像していたものよりも恐ろしいと感じました。

    今の自分って本当は何者なのか?と考えさせられました。

    自分は、どのような人物かを説明する就職活動の面接で語る内容は、面接用(合格するためのきれいな)の自分を作り上げていく。

    これについて本の中で話は進められていく。

    今思うと面接当時に作った自分を少しずつ修整してきて今の自分がある。

    この自分は、本当に自分なのか?それともよそ向けの自分なのか?

    深く考えたことがないテーマであり、とても面白かったです。

    また、時間を空けて読むとまた違う面白さが出てくる本であると思

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    2026年02月14日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    ネタバレ

    ギャンブルの面白さについて、現実そのものへのアクセスという視点が面白かった。
    具体的には、
    私は以前から、ギャンブルに狂信者の如くのめり込むキャラクターなどを見たとき、そこまで駆り立てるものは何なのかと思っていたが、
    それは著者のいうような、やれることをやった上で可能となる制御不能でどうしようもなく壮大な現実との接触なのかもしれないと思うと、かなり納得できるり
    というのも、私の趣味である学問も、それを通してそのような現実の巨大さ・崇高さを実感することが魅力だと個人的には思うため。

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    2026年02月12日
  • 性的であるとはどのようなことか

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    「えっちさ」についての考察がとても面白かった。崇高のえっちさと崩れのえっちさ。わたしは崩れのえっちさの方がよく感じるような気がする。また、「この行動って他人からはどんなえっちさに見えてるのかな」などと生活の中で新しい視点を得てしまった。
    下ネタが大好きなのだが、えっちだなあと思うことの中身を細分化し言語化してくれたこの本を読んだお陰で、日常がさらに楽しくなりそう。

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    2026年02月10日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    事前に予測していた内容と少し違っていたが、過度に物語的な枠組みに当てはめて人物・事物を理解することを「物語的不正義」という概念で説明しているところと、筋の通った物語が存在しない「ギャンブル」に関して論じているところが面白かった。
    「むしろお金というのはギャンブルをするために作られた紙と言ってもいいほどです。」という名言を吐いた芸人がいたとは。

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    2026年02月08日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    人生は物語ではないというビックリする提唱から、ゲーム・パズル・ギャンブル、そしておもちゃへと論考が移ろう。
    物語がもたらす危険性とそこからの脱却をするための考え方が語られ、盲信的に自分を物語ってばかりいたことに反省した。何も物語が悪いわけではないが、世間が求める物語に自分を当て込んでしまっていることに愕然としたのだ。
    日々様々な役割を演じ、自分が見えづらくなっている実感があるなかで、それをいかに壊してまた新しい自分を手に入れることができるのか、それを求めていきたいと考えさせられた。

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    2026年02月05日
  • 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために

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    ネタバレ

    本屋をプラプラしていてタイトルに惹かれて手に取る。自分は物語やナラティブについて肯定的に捉えていたので、それらをどのように批判するのか興味がでた。物語信仰の危うさは納得。物語的徳という言葉、頭の片隅に残しておこう。物語思考と並べて、ゲーム、パズル、ギャンブル、おもちゃ遊びを比較。
    おもちゃ遊びは、軽やかさ、破壊力、偶然、無秩序、浮遊などの要素が他の主体を怒らせがっかりさせる。しかしそれを超越したとき、それぞれの世界の論点がずれ、その場に朗らかな関係が生まれたときおもちゃ遊び的連帯が生まれるのでないか、と主張。それって素敵だよねってニュアンスだと思う。新たな視点を得られた気分。でもこの獲得の流れ

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    2026年01月31日
  • 性的であるとはどのようなことか

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    まず「性的である」というものを三つに分けて考え、それを使いながら性的雰囲気や性的ペルソナの性質を考察。言語行為論などを用いてそれらが「性的である」ことによりどう悪さをしているかを解説している。
    その次はえっちさについての考察と「性的である」ことと「えっちさ」の比較が行われ、大胆にもえっちさを用いて他人との分かり合えなさを味わう方法を模索している。

    内容は面白いが、一つ一つのテーマがざっくりとした印象で、まだまだ議論の余白がたくさんありそうな一冊。それ故これから先の哲学の中でどんどんと枝葉のように発展していきそうな感じがする。特に最後のえっちさを用いた世界との関わり方に関してはかなり大胆な印象

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    2026年01月23日